マシュー・サイドの多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織の書評

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多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織
著者:マシュー・サイド
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

本書の要約

多様な枠組みの集団(反逆者の集団)をつくることで、難しい課題の解決策が見つかるようになります。新たな観点に立ち、それまでとは違った角度から視野を広げることで、組織に高い集合知がもたらされ、イノベーションを起こせるようになるのです。

多様性の欠如が組織をダメにする?

我々はもうすでに多様性の時代に突入しているといっても過言ではない。(マシュー・サイド)

世の中が複雑になり、多くの課題が次々と生まれる現代において、複雑で1人で解決できることは少なくなっています。人々の様々な知識や体験・集合知を活用しなくては、課題を解決できなくなっているのです。今、多様性がキーワードになっているのも、組織が集合知の力を理解し始めているからです。

本書の原題は「The Power of Diverse Thinking」ですが、多様性がもたらす思考を取り入れることで組織が強くなることを『タイムズ』紙の第一級コラムニストである著者のマシュー・サイドは明らかにしています。多様性という視点によって、著者は様々な失敗事例の原因を説明します。エベレストの遭難事故、9・11のテロも多様性の欠如がその原因になっていると言うのです。

認知的多様性は、数百年前まではそれほど重要視されていませんでした。課題が単純な時代には、直線的な思考や課題を小さく分解することで、解決策を見出すことができました。しかし、現代のように課題が複雑になった時代には、 組織が認知的多様性を持たなければ、最適解を導けなくなっています。

新製品の開発から疾病の治療まで、さらには気候変動や貧困の問題まで、一筋縄ではいかない問題を解決しようとする際には、正しい考え方ばかりでなく「違う」考え方をする人々と協力し合うことが欠かせなくなっているのです。

人は不完全なものの見方をするが、違う見方をする者同士が協力し合えば、1人のときよりも多くの発見を得られる。個人個人で見れば見落としは多いかもしれない。いわばみな間違っている。しかしその間違いの方向はそれぞれに異なる。つまりそれらを共有し合えば、濃密かつ精密な全体像を描き出せる。 

多様なメンバーが集まり、自由に意見が言える環境を作り出すことで組織は強くなります。メンバーが協力し合うことで、よいアイデアが生まれるようになり、イノベーションを起こせるようになるのです。

一方、多様性があっても心理的安全性が低い組織では物事はうまく進まなくなります。たとえ、優秀で多様なメンバーが揃っていても、リーダーが支配的な環境をつくってしまうと現場の多様な意見が通らなくなり、大きな失敗が起こってしまうのです。

多様なメンバーが集まる反逆集団が組織を強くする!

多様な人々を集めれば、集合知の幅も深みも増す。人を理解するという点においては特に効果を発揮する。一方、多様性に欠ける画一的な集団は、ただパフォーマンスが低いというだけにとどまらない。同じような人々の集団は盲点も共通しがちだ。しかもその傾向を互いに強化してしまう。

アメリカの経済学者チャド・スパーバーの調査によれば、司法業務、保健サービス業務、金融業務において、職員の人種的多様性が平均から1標準偏差上がっただけで、25%以上生産性が高まることがわかりました。

また、コンサルティング会社のマッキンゼーがドイツとイギリスの企業を対象に行った分析では、経営陣の人種および性別の多様性の豊かさが上位4分の1に入っている企業は、下位4分の1の企業に比べて自己資本利益率が66%も高いことが明らかになりました。

ものの見方が似た者同士は、まるで鏡に映したように同調し合います。このミラーリング効果が起こると、リーダーは不適切な判断や完全に間違った判断にも自信を持つようになります。リーダーがまわりの同意を受けて、自分の意見が正しいと信じてしまうのです。結果、組織は間違った方向に進み、大きな失敗を引き起こしてしまうのです。

弁護士の事務所でも、軍の上層部でも、公務員でも、閣僚でも、IT企業の幹部でも、それが「画一的な集団だ」と言うときには、いくら優秀なメンバーが集まっていても、リスクが高いと考えるようにしましょう。9・11のテロ事件の時のCIAは、優秀なエリートの白人男性ばかりのメンバーで組織が構成されていました。ムスリムのメンバーがCIAには一人もいなかったために、ウサーマ・ビン・ラーディンが計画したテロの予兆を何度も見逃していました。2001年のCIAの組織に多様性があれば、あのテロは防げていたかもしれません。

個人個人がいくら頭脳明晰でも、同じ枠組みの人ばかりが集まると近視眼的になり、複雑な課題を解決できなくなります。しかし、多様な枠組みの集団(反逆者の集団)をつくることで、様々な視点から難しい課題を考えられるようになります。新たな観点に立ち、それまでとは違った角度から視野を広げることで、組織に高い集合知がもたらされます。多様なメンバーを集めることで、組織が頭数以上の力を発揮できるようになるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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