野口悠紀雄氏の書くことについての書評


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書くことについて
著者: 野口悠紀雄
出版社:KADOKAWA

本書の要約

クリエイティング・バイ・ドゥーイング、3層構造のアイディア農場、多層構造で書くという3つのステップで、本を書けるようになります。50字程度の「たね」=「考えの断片」をまとめ、1500文字程度の「作物」=「基本ブロック」をつくり、それを積み上げることで、出版という大きな目標も達成できるのです。

書くために必要な3つの要素

「文章を書く」とは、「自分の考えを伝える。意見を言う。主張を述べる」ことを指します。(野口悠紀雄)

文章を書くことが苦手だった私は「書評」という切り口を手に入れることで、文章を書くことを仕組み化できました。本を読む→著者のメッセージやアイデアをメモし、それを再構築する→自分の意見や体験を付加し、文章化することで、この書評ブログを毎日欠かさず書けるようになりました。

多くの本を読み、考え、整理し、書く時間を持つことで、私はアイディアづくりも上手くなりました。文章を書くことが、実はアイディアをつくるための早道だったのです。

野口悠紀雄氏は文章を書くための仕組みとして、つぎの3つの手法を紹介しています。
(1)クリエイティング・バイ・ドゥーイング
とにかく仕事を始める。そのための仕組みを整えること

(2)3層構造のアイディア農場
思いついたアイディアをすぐに捉えて、迷子にしない仕組みを作る。

(3)多層構造で本を書いていく
1500字程度のブロックを100個積み上げて、15万字の構造にする。

この3つを組み合わせることで、自分オリジナルの「アイディア製造工場」を作れます。

 

文章を書く際に最も厄介なことは、テーマ決めです。私は毎日この書評記事を書いていますが、本について書くというルールを決めたことで、書くことのハードルが下がりました。テーマについて悩むことがなくなり、すぐに書き始められるようになったのです。

「何について書くか?」、「何を目的にするのか?」という「テーマの選択」、あるいは「目的の選択」こそ、最も重要だと著者は言います。

適切なテーマが見つかり、問題を設定できれば、仕事は8割はできたといっても過言ではないでしょう。物書きにとって、「テーマ」とは金鉱のようなものです。それをうまく探し当てられれば、そこを採掘することによって、大量の金を掘り出すことができます。

しかし、よいテーマが最初から見つかるわけがありません。本当に書きたいことは、試行錯誤しながら見つかることが多いのです。

私はベンチャーの社外役員やアドバイザリーをしていますが、彼らの課題を解決するために、日々本を読み、アイディアをつくる必要があります。その思考の整理のためにこの書評ブログを書いているのです。「とにかく何か書いてみる」、「すると成長する」と野口氏は言いますが、読んで書くことを習慣にするうちに、脳の中で情報がつながり、様々なことが見えるようになりました。書くことを続けるうちに、自分の脳を強化できていたのです。

本を書くためにアイディア農場を耕そう!

異質な考えに接するために最も効率的なのは、本を読むことです。そして、そこに述べられている考えに対して質問をすることです。もっといえば、そこで述べられている考えに反論することです。それによって問題を掴むことができます。これは、普通考えられている読書法とは異質なものです。

著者は読書の仕方を変えるべきだと言います。多くの人は、本から教えを受けようとしますが、受け身の読書はやめるべきです。より積極的な姿勢で、喧嘩腰で本に臨み、著者に異議を唱えるようにするのです。私はジャンルの違う様々な本を大量に読むことで、何が正しい情報なのか?を考えるようになりました。時に著者への反論を試みることで、自分の意見がまとまるようになります。

私は定期的に自分の書評ブログを読み返し、過去の自分と対話するようにしています。以前、読んでいた本を思い返し、当時の課題を考えることで、新たな課題が発見できたり、課題解決のヒントが見つかるようになります。アイディアを生み出すために、過去の自分のブログ記事がネタ帳になり、役立っています。

著者は本書でアイデアの生み出し方を紹介しています。頭の中にある知識のストックと、外から来る情報(書籍情報、新聞記事、ブレインストーミング、自分がメモした情報)とが反応することによって、新しいアイデイアが生まれます。
1、アイディアが生まれやすい環境を作ること。
関連する情報を頭に詰め込んでおいて、ひたすら歩くことでよいアイディアが生まれます。ただ漫然と歩くだけでは何も浮かんできませんが、事前にいろいろな情報を詰め込んでおくと脳の中で情報がつながり、そこから新しいアイディアが生まれます。私も歩きながら考えることを習慣にしているので、このメソッドにとても共感を覚えました。

2、浮かんできたアイディアを逃さずに捉える仕組みを作ること。
寝入りばなに、あるいは朝起きたときに、アイディアが浮かぶことがよくあります。寝る前に情報を詰め込んでおくことと寝ている間に脳が活動してくれます。寝ている間に脳の中で情報が組み合わされ、アイディアが生まれるようになります。

思いついたアイディアはすぐに忘れてしまうので、これを逃さずに捉えておく仕組みを作る必要があります。それが、「コメント式アイディア農場」です。そのために、グーグルドキュメントに多層構造のファイルを作ります。ここに、コメントの形で新しいアイディアを書き込んでいきます。リンクを張る必要がないので、手軽に新しいアイディアを付け加えられます。これによって自分自身との対話を繰り返していくと、ほぼ自動的に本を書くことができます。

アイディアを忘れないために、グーグルドキュメントに情報をストックし、すぐに探せるネタ帳をつくるとよいと著者は言います。アイディアを成長させるには、できるだけ早くデータをデジタル情報にして、グーグルドキュメントに上げるようにするのです。

まず、150字程度の「たね」=「考えの断片」をいくつもつくります。次に、その「たね」をまとめ、1500字程度の「作物」=「基本ブロック」をつくり、ブロックを積み上げていくとよい「作物」を生産できるようになります。豊富な作物が植えられた自分オリジナルの「アイディア農場」をつくることで、私たちは結果を出せるようになるのです。 

1500字のブロックを100個組み上げれば、一冊の本を作れます。実はこの手法を使って、私は最初の本を出版できました。このように一冊の本も小さなネタを組み合わせることで、生まれてくるのです。10万字という大きなゴールを達成するためには、1500字の小さなブロックを書くことから始めるべきです。

私たちはデジタルの力で、文章能力を飛躍的にアップできます。オンライン上でコラボしながら、本を仕上げることも可能な時代を生きています。オンララインブレーミングストーミングをしながら、新たなアイデアを生み出し、グーグルドキュメントを使って、複数の人間で本を書くことも可能です。グーグルドキュメントをアイディアのプラットフォームにすることで、私たちはアイディアづくりが上手くなり、生産性を高められるようになるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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