脱日本入門(加谷 珪一)の書評


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脱日本入門
加谷珪一
文藝春秋

本書の要約

「失われた30年」を漂流する日本をあきらめて、将来を明るくするために、「脱日本」を実践しましょう。日本にいながらにして海外の富を取り込む海外株式投資や「副業」「本業」「場所」について、脱日本を実践することで、老後の不安を減らせます。

貧乏国家に落ちぶれた日本

厳しい話ですが、日本は今後、かつて経験したことのないレベルの人口減少時代を迎えます。そして人口の減少は、経済成長にとって極めて大きな逆風となります。日本経済は当分の間、低迷が続く可能性が高いと言わざるを得ません。(加谷珪一)

海外に行くたびに日本の物価の安さを実感していましたが、それは日本が貧乏になった証と言い換えられます。オーストラリアやドバイで昼食を取れば、2000円から3000円が当たり前で、日本の3倍ぐらいのお金を払わなければ、まともな食事を取れなかったことを思い出します。海外での労働者の賃金は日本よりはるかに高く、それが価格に反映されています。

一方、日本は賃金が低く抑えられたままで、この数十年デフレ状態が続き、いつの間にか海外に比べ、貧乏な国になっていたのです。仮に賃金が安くても、国内の物価が安ければ生活は苦しくなりませんが、輸入品を買う際には痛みを感じます。iPhoneや輸入車の価格は毎年上がっていて、多くの日本人は高いと感じるようになっています。最近の円安や原油高が輸入品の値段を上げ、多くの企業や消費者が痛みを感じています。コロナ禍の中、経済は回復せず、物価が上がるスタグフレーションが進行しています。(スタグフレーション=景気停滞を意味する「スタグネーション(Stagnation)」と「インフレーション(Inflation)」からの造語。)

トヨタ自動車の1台あたり平均販売価格は世界経済に歩調を合わせ、約20年で約1.5倍に上昇しましたが、日本人の賃金はその間、ほとんど上がっていません。iPhoneは高い機種は1台20万円くらいしますが、初任給が20万円の日本人と50万円の米国人では負担感の違いが大きすぎます。

基本的に私たちが消費している製品の多くは、世界共通のものですから、国によって大きな違いは生じません。一方で賃金は国によってバラバラですから、賃金が安い国の国民は豊かな生活を送れないというのが現実なのです。近年、食品などにおいて価格を据え置く代わりに内容量を減らすという隠れた値上げ(いわゆるステルス値上げ)が増えていますが、これも世界経済に合わせて高騰する食材価格に日本人の賃金が追いついていないことが原因です。内外の賃金格差というのは、こうした形でジワジワと日本人の生活を苦しめているのです。

また、賃金が上がらない中、老後への不安を感じている人も多くなっています。日本の年金は財政状況が厳しく、これからの時代は個人的な資産運用が必須となると経済評論家の加谷氏は指摘します。日本経済の見通しが今後も明るくない中、投資先を多様化すべきです。

脱日本は海外投資から

とにかく金というものは雪だるまのようなもので、はじめはほんの小さな玉でも、その中心になる玉ができるとあとは面白いように大きくなってくる。少なくとも4分の1天引き貯金ではじめた私の場合はそうであった。だから私は確信を持って人にも勧めてきた。どんなにつらい思いをしても、まずは千円をお貯めなさい。(本多静六)

本多静六氏は、東京農業大学助教授になった 25歳の時から、通常収入の4分の1を天引き、臨時収入も加えて貯金する「4分の1天引き貯金」を実践しました。結果、巨大な富を得ることができたと言います。本多氏は、ドイツ留学時に師事したドイツ人教授からこの方法を教わっており、著名な経済学者のケインズも、長期の株式投資で大きな資産を築きました。(本多静六氏の関連記事

私たちはこの姿勢を真似、令和の時代の資産運用を考えるべきです。日本にいながらにして海外の富を取り込むもっともシンプルな方法は海外投資を実践することです。

年金長期の資産形成の王道は株式投資であり、それは今も昔も変わらない原理原則です。本気で資産形成をしたければ株式投資に取り組むことはほぼ必須となりますが、株式投資で成功するためには、伸びる市場に投資することが絶対条件となります。

私は収入の一定額をアメリカ株やETFへの積み立てに回しています。サラリーマンを辞めてから、年金がわりにこの積み立てを行なっていますが、継続投資によっての将来への不安を失くせました。

株式はその国のGDPの成長分だけ上昇するという事実を信じれば、投資できるエリアはアメリカになります。著者は、その国でいちばん有名な会社で、5年間の営業利益が黒字の会社を買うようにすべきだと述べています。

「失われた30年」を漂流する日本をあきらめて、将来を明るくするために、「脱日本」を実践しましょう。日本にいながらにして海外の富を取り込む海外株式投資や「副業」「本業」「場所」について、脱日本を実践することで、老後の不安を減らせます。

ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大の5冊目のiPhoneアプリ習慣術がKindle Unlimitedで読み放題です!ぜひ、ご一読ください。

 

 

 

 

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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