ビジョンを作るために必要なたった3つのこと

ビジョンは、私たちの未来を指し示すものです。したがって、ビジョンは、これから訪れるであろう未来を想定してつくらなければなりません。(江上隆夫)


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カンブリア爆発級の爆発的な進化がテクノロジーで起こる?

江上隆夫氏はTHE VISION書評を続けます。インターネットによって世の中は急激に変化しています。最近では AIやロボティックスの発達に人間が追いついていない印象があります。技術の進化のスピードが早すぎ、領域も拡大し、その道の専門家でもない限り、もはや理解不能になっています。そして「今」というこの時代は歴史の転換点であることを覚えておきましょう。

テクノロジーの発達による景気循環の波がほぼ50年ごとに起きることがわかっています。これを「コンドラチエフの波」と呼びますが、歴史を見ていくと50年ごと、おおよそ前後10年ずつに大きなテクノロジーのブレイクスルーが起きていることが分かります。

18世紀後半から起こった産業革命を起点とすると、2045年は6回目の波の時期に当たります。この循環の法則にならうなら、いまはその前の中間地点にあたります。とすると、私たちが想像もしないような次の新しいテクノロジーの出現は、2045年をはさみ、2030年代後半から始まり、2050年代半ばまで続くことになります。始まったばかりの6度目のイノベーションの出発点をチャンスの入り口だと捉えれば、経営者にはたくさんのチャンスが広がっていることがわかります。

この時期に300年近く前の産業革命に匹敵する変化が起こる可能性が高い。いわば多様な生物がいっせいに出現・進化したカンブリア爆発を思い起こすような、テクノロジーの爆発的な進化が起きる可能性があります。それは確実に社会構造や人間観にまで大きな影響を及ぼすことになります。

過去の歴史を振り返るとこの情報化の流れはまだまだ始まったばかりで、情報化の本当の姿は誰にもわからないのです。

日本は人口減少社会に入り、かつての勢いを失っています。ビジョンを持たなければ、目の前の課題をただただ解決するだけで、新しいことを生み出せない悲しい国家になってしまいます。成長の可能性がなければ、ますます衰退の速度が始まり、未来を暗いものにしてしまいます。

私の周りを見ても、現状維持でビジョンを持たない会社は負け組になっています。一方、未来を自分たちで変えるという意志を持ち、それを言語化している会社はどんどん成長しています。会社を成長させるためには、明るい未来を描き、それを顧客に伝えなければなりません。

ビジョン作りの3つのポイント

現状維持は、一見、選択回避に見えますが、実際は「停滞」「後退」あるいは「先延ばしした失敗」を選択しているのに過ぎないのです。厳しい言い方を許していただけるなら、問題にうっすらと気づきながらも、ぼんやり毎日を過ごしているのが、私自身も含めた、いま現在の日本人ではないでしょうか。

企業の過去の成功体験やインターネット時代には合わなくなっている旧態依然の社会の仕組みが、ミスマッチを起こし、イノベーションを阻害し、日本を閉塞状態にさせています。今、エストニアからこのブログを書いていますが、時代に適合するために電子政府という選択をしたこの国には多くのクリエイティブ・クラスが集まり、エストニアの未来を明るくしています。エストニアはイーエストニア(e-Estonia)というビジョンを掲げる事で、短期間のうちに国民や企業の意識を変え、成長国家に生まれ変わったのです。日本のように現状維持を選ぶのではく、テクノロジーの変化に適合することでエストニアは勝ち組になったのです。

今の日本は国家も企業も個人もビジョンを失っているように感じます。これでは未来を明るくできません。

人間は考えてイメージし、言語化し、そして思い描いたものを実現するように行動して初めて、何かを現実化していきます。

富士山に登るには頂上に立つことをイメージし、そこまでのルートを調べ、登山道具を整え、スケジュールを組み、交通機関や徒歩でふもとまで移動しなければ登ることはできません。都合よくいきなり富士山の頂上に居ることは絶対にありえません。エストニアたのも自分のビジョン「スタートアップやベンチャー企業を応援し、日本の未来を明るくする」ための一環です。自分の仕事やプライベートのビジョンを書くことで、人は正しい選択をし、ゴールに近づきます。

ビジョンを作るときにテクノロジーの変化を意識し、人の課題を解決するようにするとよいと著者の江上氏は言います。
■知性の外部化
■VRやARによる感覚と能力の拡張
■P2Pなどの分散化
■所有から共有
この4つのテクノロジョーが人間の生き方を変えていきます。GAFAが一人勝ちする中で、多くの人々は「公」を意識するようになりました。ウーバーやエアビーアンドビーの登場でシェアへのシフトが始まっています。ビジョンを描くときにも、テクノロジーの発達だけでなく、人の感性の変化を捉え、共有や公共を意識した方がよさそうです。

優れたビジョンは、未来への洞察と自らの信念の上につくられている。であるからこそ、未来を夢見たい私たちのエネルギーを結集する力を持っているのです。

著者の江上氏はビジョンには3つの性質があると述べています。
1.自らが心から達成したいと願う未来像
2.「公共の夢」として人々を巻き込む力がある
3.未来への洞察と自らの信念の上につくられている

「多くの人に共有・共感される、未来への洞察を信念にまで高めた末に生まれた、自らが心から達成したいと願う、あるべき未来像」がビジョンです。経営者は人々の幸福につながるような価値の創造を通じて、自分たちの目標を達成すべきです。そのためには顧客の応援が欠かせません。人々が応援してくれるような未来を明るくするビジョンを作り、それを社員と顧客に共有することが重要になってきました。

まとめ

ビジョンを作るために必要なたった3つのことを経営者は意識しましょう。1.自らが心から達成したいと願う未来像 2.「公共の夢」として人々を巻き込む力がある 3.未来への洞察と自らの信念の上につくられている この3つが含まれるビジョンによって、顧客から応援してもらえるようになります。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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