スコット・ソネンシェインのストレッチ 少ないリソースで思わぬ成果を出す方法の書評

ストレッチとは、目標を達成し、チャンスをつかみ、目の前の素材を最大限活用するためのワークスタイルであり、ライフスタイルである。チェイシングをやめ、ストレッチを身につけることで得られる果実、それはあなたの手の届くところにある。(スコット・ソネンシェイン)


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「リソースの優れた活用=優れた成果」であるという考え方を身につけよう!

多くの経営者は今あるリソースを有効活用しないという失敗をおかします。ライス大学の教授のスコット・ソネンシェインストレッチ 少ないリソースで思わぬ成果を出す方法の中で、2つのビール会社を比較しました。一社は全米3位の規模を誇ったストロー・ブルワリー、もう一社は名もなきブルワリーのD・G・イングリング&サン。前者は膨大なリソースにアクセスし、規模を追求することで債務を膨らませています。後者は今あるリソースに執着し、既存の資源を有効活用することをルールにしたのです。たいがいの人はストロー・ブルワリーが成功したと考えるでしょうが、結果は異なります。勝ち組であったストローは破綻し、弱小メーカのD・G・イングリング&サンはアメリカ資本最大のビールメーカーになったのです。

D・G・イングリング&サンのディック・イングリングは持てる資産を徹底的に活用することで、成功を手に入れました。設備は中古のものを使い、マーケットを絞ることで、製品の希少価値を高めたのです。この戦略があたり、D・G・イングリング&サンは熱狂的なファンを獲得しました。同社は入手困難なビールというブランドを手に入れ、優良企業に変身しました。

ストレッチとは、たんに制約を克服するための創意工夫ではない。それは問題解決をサポートするだけでなく、つねに成功を収め、よりよい人生を過ごすためにはどうしたらよいかという「人生観」にもつながるのだ。

新たなリソースを探すのではなく、既存のリソースを最大限活用すると大きな成果をあげられます。人生で達成感を得たければ、「ストレッチ」について、真剣に学びましょう。ストレッチとは、多くのリソースを望むのではなく、手持ちのリソースの可能性を受け入れ、それを行動の手がかりにする考え方であり、技能です。

そのために「豊富なリソース=優れた成果」であるという常識を捨て、「リソースの優れた活用=優れた成果」であるという考え方を身につけるのです。「プロジェクトを早く完了させたければ、スタッフを増やせ」「仕事での影響力を高めたければ、立派な肩書をつけ、広いオフィスを構えろ」など多くの人はすぐに新たなリソースを要求します。しかし、この考え方(チェイシング)は間違っています。必要のないリソースを追い求めると、すでに手元にあるリソースのポテンシャルを見逃してしまうのです。新たなリソースを探す前に、既存リソースの有効活用を考えましょう。

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制約により、新たなアイデアが生まれる!

ドットコムバブルの頃のITベンチャーは、早く大きくなるために多くのリソースを求め、規律を失います。報酬増、資金増、顧客増を意識するあまりに、次々に人材やお金というリソースを投入しました。収益性を無視し、成長だけを考えたために、彼らは破綻します。

ハーバード・ビジネススクールのニティン・ノーリアとランジェイ・グラティは次のようにチェイシングの問題点を指摘します。

人や資金などのリソースが豊富だと、相応の理由がなくてもそれを使わなければならなくなる。すると、不要な人材を雇い、広大かつ高価なオフィススペースを借りて、むやみやたらにプロジェクトを立ち上げたり、うまくいっていないプロジェクトを続けたりしてしまう。また、リソースが多すぎると、人は現状に満足して緊迫感が足りなくなる。重要なプロジェクトも見送ってしまう。現金などのリソースが入ってくる消火ホースがあるのだから、心配はいらないというわけだ。(ニティン・ノーリアとランジェイ・グラティ)

「制約条件があると良いアイデアが生まれてくる」と私はあるスタートアップ経営者から学びました。リソースが増えれば増えるほど、時間やコストが無駄遣いされます。制約があるほうが良い結果が得られるという研究結果もあるほどです。製品の設計や作成をただ誰かに依頼しても、よいアイデアはなかなか上がってこないものです。しかし、予算枠を決めて依頼すると、創意工夫に精神的エネルギーが注がれ、往々にしてよい結果が生まれます。

実際、ある研究グループが新製品の設計、料理、玩具の修理をテーマに実験したところ、予算を設定したほうが創意工夫が発揮され、好結果につながったとのことです。制約を受け入れれば、現状と折り合いをつけられるばかりか、様々な成果をあげることができるのです。

経営者やリーダーは新たなリソースを探すことをやめ、ストレッチを意識しましょう。ストレッチの基本は、すでにあるものを重んじることです。既存の設備やスタッフの力を再確認し、どうすれば結果を出せるかを考えるようにすればよいのです。

めざすゴールはさまざまでも、生きていれば誰でもたいてい、何らかの制約や制限に直面する。出したい成果と手元のリソースにもたいていギャップがある。金銭的な限界や、仕事の契約、情報、スキル、スタッフなどの制約……。こんなとき、大半の人はそれを苦にする。だが、ストレッチャーはそんな制約などものともしない。代わりに「どうすれば手元のリソースでやるべきことをやれるだろう」と自問する。

あなたが、ストレッチ・マインドを身につければ、リソースが足りないという不安から解放され、新たなアイデアを生み出せるようになります。結果を出したければ、既存リソースの価値を再発見するプロセスから始めましょう。
 
ストレッチャーには他人が見出せない場所に利点や美点を見つけ出すという共通点があります。ストレッチ・マインドとは手元のリソースの潜在的価値を知り、その育成・開発に労力を注ぐことなのです。

まとめ

ストレッチ・マインド(既存のリソースを活用すること)を養うことで、目標を達成できるようになります。多くの人は新たなリソースを探しがちですが、リソースが増えることでコストが増大します。他人が見出せない場所に利点や美点を見つけ出すことで、結果を出せるようになるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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