ハーバードの 人の心をつかむ力
ローラ・ファン
ダイヤモンド社
本書の要約
「自分」には数々のバージョンがありますし、他人がこちらに期待する人物像にも数々のバージョンがあります。しかし、あなたが真の自分をきちんと理解さえしていれば、他人が自分をどう見ていようと、エッジの力を活用すれば、望む方向に誘導することができるようになります。
人生をよりよくするために、EDGEを獲得しよう!
EDGEの基本 がんばっていれば、報われる(こともあるが、そうとはかぎらない)。(ローラ・ファン)
イーロン・マスクとの面談を設定した著者は、わずか30秒で彼から「出ていけ」と冷たい言葉を浴びせられます。しかし、彼女はすぐに土壇場で形勢を逆転させ、イーロンに気に入ってもらえました。
著者は「エッジ」(EDGE)を獲得することで、イーロン・マスクの認識を変え、優位な立場に立てたのです。人はだれしもその人独自の観点で、他人を判断しています。私たちはそれぞれのフィルターを通して他人を評価し、認識していますが、それをエッジの力で変えられることを著者はイーロンとの面談で実証しました。
「エッジをつくりだす」とは、不利な形勢を逆転し、独自の強みに変えることを指します。エッジをつくりだす能力を身につけることで、あなたはよりよい未来を描けるようになります。以下のエッジ(EDGE)のフレームワークを身につけましょう。
EDGEを獲得できる人は、相手を豊かにし(Enrich)、楽しませ(Delight)、こちらが望む方向に誘導する(Guide)ことができるうえ、このサイクルを繰り返して、いっそうの努力を続ける(Effort)。
■相手を豊かにする(Enrich)
・あなただけの才能をみつける――強みと弱みを明確にする
・輝ける場所を探す――「人と違うところ」に目を向ける
・チャンスは「制約」から生まれる――視点を変える
・直感力を磨く――本質を見抜く目を養う
■相手を楽しませる(Delight)
・「驚き」や「意外性」のパワー――心の扉をひらく
・「準備」と「即興」――柔軟に相手を楽しませる
・ありのままの自分を見せる――真摯に人と向きあう
■こちらが望む方向に誘導する(Guide)
・あなたのダイヤモンドを輝かせる――他人の認識を把握する
・偏見を味方に変える――「こう見てほしい」方向に誘導する
・自分の枠組みをつくる――周囲にあわせない
・「これまで」と「これから」――自分の価値を伝える
■ 努力する(Effort)
・ エッジを強化する――不利を力に変える
エッジを獲得するためには、次の2点を実現させればよいのです。
1、あなたが相手を豊かにし、価値をもたらす。その価値は、あなたがいなければもたらされないものだ。
2、ほかの人も、そう考える。 さらに ほかの人も、あなたが価値をもたらし、そのおかげで自分も豊かになると思う。
他人からの同意を上手に得られるようになりたければ、 自分の基本材料を見極めましょう。自分の強みと両方にフォーカスするのです。自分の弱みと基本材料がわかれば、エッジをつくりだせる場所もわかるようになります。
エッジをつくりだすには、まず自分の基本材料がなにかを見定めることです。自分の「能力の範囲」をしっかりと見極め、その範囲のなかで活動するのです。
スティーブ・ジョブズは、「提供する機能をすべて1つにまとめたエレガントさ」を基本材料にし、その強みをストーリーにし、顧客に語りかけました。iPhoneの新しいバージョンを発表するときにも、新機能を追加するときにも、この基本材料を守り続けたのです。 アップルは今後も「エレガントでシンプルかつ機能的」という基本材料を忠実に守り、新製品を展開していくことで、顧客を魅了していくはずです。
スイスの時計メーカーも自分の基本材料を吟味し、復活を果たしました。腕時計のスタイル、その深い意義、先進的なエンジニアリングの伝統を再び押し出し、高価格帯のマーケットでポジションを獲得したのです。彼らは「人と違うところ」に目を向けることで、勝利を手にしました。
他者からネガティブな偏見を貼られても、エッジを活用することで、それを覆すことも可能になります。高校や大学を中退しても、自分の強みを描くことで、起業で成功することも可能になります。実際、私もアルコール依存症だったという弱みを見せ、そこから復活したストーリーを相手に示すことで、他者とのコミュニケーションがうまくいくようになりました。
エクスポネンシャル思考を身につけよう!
第六感に関する研究で、私は直感に関するこれまでの概念をとらえなおした。私たちが「勘」と呼ぶものには潜在意識以上の力があるし、「不合理」ではないと考えたのだ。
特異な場面や変則的な出来事に直面した場合、直感はとんでもない力を発揮することがわかっています。第六感を働かせれば、あなたはこれまでの経験と能力を結びつけて、直線状でも段階的にでもなく、予期せぬプロセスで成果をあげることができます。
私たちは直線的(リニア)に物事を考えがちであり、よりよい思考ができないことがあります。リニア思考が直線の上を1歩ずつ進んでいくものだとすれば、指数関数的なエクスポネンシャル思考は飛び跳ねたり、ジグザグに進んだりしながら物事を眺めるという違いがあります。
直線だけで物事を眺めていると、実際には可能性が潜んでいても気づかずに終わってしまいます。 一方、指数関数的に考えれば、これまでの自分の経験に可能性をプラスし、思考を大きく広げていけます。自分の価値を高め、周囲を豊かにする技術に磨きをかけ、それを習慣にしていくうえで、エクスポネンシャル思考は最強のツールになります。
自分の直感とこれまでの経験に信頼を置けば、物事の本質を見極め、エクスポネンシャル思考ができるようになる。
一定の量を増加させることを目的にしないエクスポネンシャル思考は、私たちが固定観念を「ひっくり返す」ところから生まれます。反転させ、ひっくり返し、ときには上下逆さにすると、障害物の正体を把握し、そうした邪魔物をどけて、成功に近づけます。
私は自分の未来から逆算し、何度も失敗を繰り返すことでセレンディピティを得てきました。人との出会いや偶然の力が、エクスポネンシャルな結果をもたらしてくれたのです。
企業のナラティブ(物語)と売上などの数字の2点に目を向ければ、一見、それらしく見えるものの、実際には矛盾しているものの正体を見やぶる直感を養えます。「どこかおかしい」と、第六感で察する感度を高められるようになるのです。ナラティブと数字を結びつけたり、数字からナラティブを見ることで、価値を高める方法を見極められるようになるといいいます。
本書で紹介されているライアンエアーとサウスウエスト航空のケーススタディから私たちは大きな学びを得られます。ナラティブと数字を結びつけることで、価値を高めるアイディアやイノベーションを実現できるようになります。
私たちはだれもが、相手を豊かにする能力をもっている。そして、相手を楽しませることができれば、魔法が起こる。すると相手はあなたに心をひらき、それではお手並み拝見と、力を示すチャンスを与えてくれるのだ。
あら探しばかりする人、非難ばかりする人に直面したら、まずは相手を楽しませ、喜ばせてみましょう。偏見を持たれたら、まずは相手を驚かせることを考えるのです。ステレオタイプとは異なる行動をすることで、相手の印象を変えられます。他者との新たな関係を構築し、価値を提供することで、相手を豊かにすることを提示するのです。
真摯な気持ちで相手を喜ばせ、人を驚かせるようにしましょう。楽しませることはお世辞を言うことではありません。相手に自分が本気だと伝わることで、初めてあなたはエッジを得られます。人は自分を楽しませてくれたことを、覚えていものです。結果、人々はあなたに好感をもち、真の価値をもたらすチャンスを与えてくれるようになります。
他人が自分をどう見ているかを把握し、それを受けいれたうえで、他人の言いなりになったり、他人に振りまわされたりせずにすむよう、みずから力をつけよう。そうすれば、エッジをつくりだせるようになる。他人の認識を理解したうえで、みずからその認識に変化を起こし、場合によっては立ち向かっていくのだ。けっして、ただ言いなりになってはならない。
相手との関係を強化したければ、偽らずにありのままの自分を見せることを意識すべきです。相手を楽しませるためには、場を読む能力を発揮し、本音を話したり、本当の自分を見せるようにしましょう。その場の状況に応じて、相手を誘導する能力を鍛えられれば、自分の価値を相手に伝えられるようになります。
「自分」には数々のバージョンがありますし、他人がこちらに期待する人物像にも数々のバージョンがあります。しかし、あなたが真の自分をきちんと理解さえしていれば、他人が自分をどう見ていようと、エッジの力を活用すれば、望む方向に誘導することができるようになります。
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