脳の不調を治す食べ方 THIS IS YOUR BRAIN ON FOOD
ウーマ・ナイド
KADOKAWA
本書の要約
食べ物は腸内細菌に影響し、結果、脳の働きにも大きな変化を及ぼします。健康なメンタルを取り戻すためには、食べ物のなかのプロバイオティクス(ヨーグルト、味噌、納豆など)とプレバイオティクス(豆類、ベリー類、玉ねぎなど)を増やすことが重要です。逆に脳の働きに悪影響を及ぼす、砂糖や人工甘味料、ジャンクフードなどを摂りすいないように注意を払いましょう。
腸の働きをよくする食生活が脳によい影響を及ぼす理由
食べ物と精神衛生(メンタルヘルス)は切っても切れない関係にある。しかも、両者は互いに作用し合う。食べ物の選び方を間違えば精神的な問題の発生が増えるし、その一方では、精神の障害が貧しい食生活につながる。食生活を見直さない限り、どれだけ薬を使っても、心理セラピーをやっても、現代社会における精神疾患の蔓延を食い止めることはできない。 (ウーマ・ナイド)
日頃の食生活を改善することで、脳の働きをよくできます。健康な人の体は脳と腸の両方の働きがよいことがわかっていますが、化学物質が多すぎたり少なすぎたりすると、腸と脳のつながりが乱れてバランスが崩れます。
重要な化学物質の濃度が正常でなくなると、気分が落ち込み、集中ができなくなり、免疫力も下がります。腸の防御壁が損なわれて、本来なら腸の外に出てはいけないはずの代謝産物や化学物質が脳へ侵入してしまい、体に異変をきたすとウーマ・ナイド(精神科医で栄養学の専門家)は指摘します、
体内で起こる「化学的な混乱」は、鬱病や不安症、性欲の減退、さらには統合失調症や双極性障害にいたるまで、さまざまな精神疾患を引き起こします。
長年の研究を通じて、マイクロバイオーム(腸内細菌叢)が、私たちの健康、特にメンタルヘルスに大きな影響を与えていることがわかってきました。
細菌類のエシェリキア、バシラス、ラクトコッカス、ラクトバシラス、ストレプトコッカスの比率と働きに変化が生じれば、ドーパミン濃度にも変化が現れ、パーキンソン病やアルツハイマー病の発症リスクが高まります。
腸内細菌の特殊な組み合わせにより、アセチルコリン、ヒスタミン、エンドトキシン、サイトカインの濃度が異常に高まり、脳組織に損傷を引き起こすこともあると言います。
腸内細菌叢は腸と脳のつながりに影響します。既存のニューロンの存続や新しいニューロンの成長と接続を促すという重要な働きをもつ脳由来神経栄養因子の産生にも関与していますし、腸壁の働きと腸のバリア機能にも影響しています。
脳は健康で安定して働くのに化学物質を必要としている。その化学物質をつくるには、適切なバランスの腸内細菌が欠かせない。一方の腸は、腸内細菌のバランスを最適に保つために、健康で安定している脳を必要としている。この輪がどこかで途切れると、腸と脳の両方に悪影響が出る。つまり、腸内細菌叢が不健全と、脳も不健康になり、脳が不健康だと、腸にも乱れが生じるのだ。
食べ物が微生物の働きで発酵し、消化されると、その成分がセロトニン、ドーパミン、GABAなどの神経伝達物質に直接作用します。それが脳に届いて私たちの考えや感情を左右します。
食べ物は腸内細菌に影響し、結果、脳の働きにも大きな変化を及ぼします。特定の食材は細菌の増殖を促し、別の食品は抑制します。腸によい食べ物を摂取することで、脳の働きを改善できるのです。
脳の働きをよくする食事とは?
昔から、「心をつかむには、まずは胃袋から」と言われる。この格言を少し言い換えると、大きな真実にたどり着く。男も女も関係なく、私たちの胃に入る食べ物には心を温かくして、さらには脳を変える力があるのだ。
ジャンクフードなど特定の食習慣の結果、腸内の細菌に多様性が失われ、それが引き金になって悪い細菌が善良な細菌よりも多くなり、最後には健康にさまざまな悪影響を及ぼします。
うつ病になる原因のひとつも悪い食事であることがわかっています。うつ病になるリスクを減らしたければ、食生活を見直すことも選択肢の一つだと思います。
健康なメンタルを取り戻すためには、食べ物のなかのプロバイオティクスとプレバイオティクスを増やすことが重要です。
・プロバイオティクス・・・食べると健康にいい生きた細菌。プロバイオティクスに富む食品(ヨーグルト、味噌、納豆など)には、体と脳を助ける有益な細菌が多く含まれています。
・プレバイオティクス・・・基本的に細菌にとって有益な食料(豆類、ベリー類、玉ねぎなど)。人間は消化できませんが、腸内の善良な細菌の食べ物になる特定種類の食物繊維になります。
細菌であるプロバイオティクスが効果的に働くには、彼らのエサとなるプレバイオティクスが腸内にあることが必要です。プロバイオティクスがプレバイオティクスを短鎖脂肪酸に分解します。この短鎖脂肪酸が炎症を鎮め、腫瘍細胞の成長を抑え、健康な細胞の増殖を促してくれるのです。
私はプロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせた食事を摂ることで、自分のパフォーマンスを高めています。脳によい食事を習慣にすることで、脳の働きがよくなったことを実感しています。
オメガ3脂肪酸を多く含む食品(サーモン、サバ)、ビタミンが豊富な食べ物、鉄分などのミネラルに富む食品、マグネシム、亜鉛を摂取することで、うつ病になるリスクを下げられます。野菜、果物、オリーブオイルが中心の地中海式の食事を定期的に摂ることでうつ病だけでなく、糖尿病や心臓病に対する予防効果があることが明らかになっています。
逆に以下のような気分を損なう食べ物はできるだけ控えるようにしましょう。
・砂糖
・血糖値を上げるパスタやパンなどの炭水化物
・人工甘味料(アスパルテーム)
・揚げ物
・悪い脂肪(マーガリン)
・添加硝酸塩
不安な気持ちを軽減したければ、以下のような食事が効果的です。
・豆類、玄米ベリー類、洋梨、バナナなどの食物繊維
・アーモンド、クルミなどのナッツ類
・オメガ3
・ヨーグルト、コンブチャ、味噌などの熟成・発酵食品
・ビタミンDなどのビタミン類
・マグネシウム
ウェスタン食(高脂肪・高炭水化物職)、質の悪い脂肪 、カフェイン 、アルコール 、グルテン 、人工甘味料などは不安を増加させるので、できるだけ摂取しないようにしましょう。
著者のアドバイスに従い、腸によい食事を摂ることで腸内細菌を増やせます。食物繊維や発酵食品などを習慣にすることで、脳と体の健康を改善できます。本書巻末の「集中力を高めるメニュー」や「睡眠をよくするメニュー」はとても参考になります。
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