Mature couple photo created by teksomolika – www.freepik.com
定年破産絶対回避マニュアル
加谷珪一
講談社
本書の要約
人生100年時代をエンジョイするためには、一定の経済力を持つ必要があります。経済力を身につけるためには、生涯労働を選択し、若い頃から長期分散投資を行い、年金だけに頼るのをやめるべきです。自分のスキルをアウトプットし、会社以外のコミュニティに参加し、収入を増やす努力をスタートしましょう。
人生100年時代に後半戦をどう生きるか?
日本における諸制度が寿命100年時代に対応しているのかというとそうではない。従来の雇用制度、社会保障制度は、寿命が短かった時代を基準に設計されており、寿命100年時代においてはうまく機能しない可能性が高い。(加谷珪一)
人生100年時代、私たちは日本人は急速に加速する高齢化という問題を抱えています。日本政府は財源不足に陥っており、個人負担は年々増加しています。日本人の寿命が短い時代に設計された雇用制度や社会保障制度は、現状には適合しておらず、多くの国民が未来を不安視しています。
昭和の時代は、今と比較して年金が手厚かったのですが、寿命も短く、老後をエンジョイすると言う考え方はありませんでした。定年後は引退するのが当たり前でしたが、今は自らの意思で老後のライフスタイルを選べるようになりました。自分のマインドセットを変え、働き方を変えれば、長くなった人生を楽しめるようになります。
著者は、定年破産を回避し、寿命100年時代を上手に乗り切る最良の方法は2つあると述べています。
①一定の経済力を確保すること(生涯労働を意識し、生活資金を常に稼ぐという考えを取り入れる)
②制度をよく知ること(国の制度を理解し、徹底的に利用する)
生涯労働が当たり前となれば、生活資金はつねに働いて稼ぎ、運用も日常的に行うという考え方が主流になってくるはずだ。これは、若い人の資産運用の考え方と同じであり、定年(もしくは年金受給開始)後に運用を始めるという時間軸は意味を失うことになる。老後を迎える前から定常的に運用を続けるということになると、長期的な視点を持つことが重要となってくる。
寿命100年時代においては、収入の一定割合をつねに貯蓄し、長期分散投資を行うべきです。長期的に、かつ安定的に資産から収益を生み出すスキルを身につけることができれば、老後の見通しはかなり楽観的になります。
40代からは新しい生き方を追求しよう!
寿命100年時代にスムーズに対応するためには、一定の経済力を持つ必要があるわけだが、経済力を身につけるには二つの方法がある。ひとつは、稼ぎを多くすることで、もうひとつは支出を少なくすることである。毎年の年収を大きく増やすことは難しいかもしれないが、生涯労働であることを前提に、仕事のキャリアパスをより長い視点で構築できれば、トータルで得られる収入を増やすことは十分に可能である。
一定の経済力を身につけるためには、収入のアップと支出を減らすことです。
著者は、40歳前後で人生を前半と後半に分け、できるだけ早いタイミングで老後の準備を行うべきです。入社した会社での出世の可能性がないなら、自分のスキルを磨きながら、転職や副業を行なうことを選択しましょう。
一生涯、働き続けるとなると、60歳(あるいは65歳)で定年となる現在のキャリアパスは根本的に見直す必要が出てきます。退職金と年金で老後の生活を成り立たせるのではなく、定年後も働くことを意識しましょう。
私は44歳の時に、自分のライフプランを見直し、パーソナルブランディングを行いました。48歳の時に出版を行い、51歳の時に社外取締役、アドバイザーとして独立できました。結果、定年を気にせず働けるようになり、老後への不安を減らせました。
幾つになっても、自分のスキルを伸ばせると考え、自己投資を続けることで、仕事を得られるようになります。その際、狭い会社という組織にこだわるのではなく、自分のネットワークを広げましょう。自分を他人に紹介するスキルと、他人を信じるスキルがあれば、新しいコミュニティに参加できます。
SNSなどを通じて、自分がどんな人間で、どのような仕事ができるのか、的確に説明できる人の方が、圧倒的に仕事を得やすくなるだろう。これからの時代は、「会えば分かる」といった感覚は捨て去った方がよい。自身をしっかりプレゼンテーションできない人は、キャリア上、圧倒的に不利にならざるを得ない。
知らない他人を見極め、そして信用する「能力」は、寿命100年時代における必須のスキルになります。ソーシャルメディアやブログで自分の価値を発信し、他者とのつながりを強化しましょう。私はアウトプットを通じて、出版やネットワークの強化に成功しました。自分のスキルをアウトプットすることで、よいご縁に巡り会えるようになります。
コメント