おいしいものだけを売る-奇跡のスーパー「まるおか」の流儀 (丸岡守)の書評

おいしいものだけを売る-奇跡のスーパー「まるおか」の流儀
丸岡守
ディスカヴァー・トゥエンティワン

本書の要約

スーパーまるおかはおいしいものと健康にこだわり、商品を選択します。また、食べたいと思える品物だけを取り揃え、顧客から圧倒的な支持を得ています。おいしいものが体だけでなく、心の健康にも影響し、まるおかの店内はいつも笑顔で溢れています。

小さなスーパーまるおかが顧客から圧倒的に支持される理由

食べものは 安さや便利さだけでは選んではいけない。なぜなら食べものは、命を未来へとつなぐ大事なものだから。(丸岡守)

群馬県高崎にある小さなスーパーマーケット「まるおか」をご存知でしょうか?「食は命なり」を理念に、安全・安心でおいしい食品だけを提供し、多くの生活者の支持を集めるスーパーが「まるおか」です。

店舗を移転する際、あえて大手流通チェーンのイオンモールの隣に出店し、店のブランディングに成功します。私は本書によって、この類まれな食品スーパーの存在を知りましたが、著者の丸岡守氏からパーパス経営の重要性を学べました。

丸岡氏は、食品が工業製品のようにつくられ、安全・安心が二の次とされていることに危機感を抱き、まるおかでは本当に良いものだけを売るようにします。

彼は誠実なものづくりに励む生産者、その価値を理解するお客様、その双方が人と人とのつながりの中でお互いを支えあうことで、ハピネス経営を実践しています。まるおかでの買い物の楽しみを理解しているファンに応援されることで、日々幸せを感じていると言うのです。

おいしいものを食べると、人は幸せな気持ちになります。 おいしいものを食べると、人は元気になります。 おいしいものを食べると、人は明日へ向かう活力が湧いてきます。

丸岡氏はおいしいものと健康にこだわり、商品を選択します。また、食べたいと思える品物だけを取り揃え、顧客から圧倒的な支持を得ています。おいしいものが体だけでなく、心の健康にも影響し、まるおかの店内はいつも笑顔で溢れていると言います。

小さな店なので、隅から隅まで手を抜けないと丸岡氏は言います。少しでも手を抜いてしまえば、お客様は二度と足を運ばないと考え、顧客を喜ばすことを最優先します。「買物が楽しい!」とワクワクする時間を過ごしもらうために、POPにも工夫を凝らしています。

旬な食品にこだわる理由

おいしいものを探すために全国の産地を訪問しているうちに、気づいたことがあります。それは、商品の知名度とおいしさにはまったく関係がないということです。

おいしさに妥協しなかったことが、まるおかを特別な存在にします。大手スーパーが扱う商品とは異なる良い品がまるおかに行けば、手に入るというクチコミが高崎を中心に広がっていったのです。取扱商品は5000品ほどで、どれもオーナーの思い入れのある商品ばかりです。

テレビで宣伝されている大手食品メーカーの商品が美味しいわけではないことを「まるおか」の従業員はブラインドテストを通じて発見します。丸岡氏やスタッフは本当においしいものを探すために、全国の生産者とのつながりを強化します。彼らはテレビコマーシャルや広告ではなく、自分の舌で感じた「おいしい」を大切にし、その感覚を品揃えに以下しています。

素晴らしい生産者の皆さんが生み出した商品を、お客様にお伝えするのが私たちの仕事です。限られた小さな店の中で、生産者の思いや現場で感じた情熱を少しでも多くお客様にお伝えしたいと工夫を凝らし、「おいしい」を通じて買物する喜びを感じていただきたいと日々取り組んでいます。

全国の生産地を訪問し、現場の情報を伝える努力を続けます。 毎月、全国の産地を訪問し、それを「まるおか社長のくいしんぼう紀行」という連載記事にすることにしたのです。写真と共に作り手の思いや生産に対するこだわり、苦労、情熱、そして味や食べ方などできる限りの情報を盛り込むことで、生産者のパッションを伝えることに成功します。

まるおかでは、おいしいを追求するために、旬の食材にこだわります。店舗を入ってすぐの棚には、その時期にしか手に入らない旬の野菜が並びます。季節を感じられる、その日一番のお薦め食材です。特に愛知県渥美半島の「寺田さんの甘いキャベツ」は大人気で12月の風物詩になっているほどです。

旬な食材は、いつでも手に入る利便性はありませんが、その時にしか味わえないおいしさがあります。顧客をまるおかを通じて、旬の食材の素晴らしさを見つけ、それを楽しみにするのです。

スーパーまるおかでは、従業員の生活をよりよくするために、日曜日を休業にし、正月休みも他より長く設定しています。従業員が健康で、幸せな家庭を築けるようになり、パートの定着率が高まったと言います。

「食べ物は工業製品ではなく、顧客においしさと幸せを届けるもの」だという丸岡氏のメッセージが響きました。顧客に健康を届けるスーパーがもっと増えたら良いと思います。



この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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