先日、理央周さんから一冊の良書をご紹介ただきました。
古い本でしたので、すぐにその場からアマゾンのiPhoneアプリでオーダーしました。
ミーティング中すぐに、中古の良書を買えるのは便利ですね。
以前であれば、購入を忘れてしまうことが多く、チャンスロスでしたが
今はアプリのおかげで、たいがいの本が購入できるので、助かっています。
昨日、その本アメリカの心―全米を動かした75のメッセージが届いたので
早速読み始めたのですが、これがすこぶる面白く、一気に引き込まれました。
本書はアメリカのユナイテッド・テクノロジーズ・コーポレーションが
1979年から『ウォールストリート・ジャーナル』に
掲載してきた意見広告を集めた一冊で、75本のメッセージが掲載されています。
製品広告ではなくあえて同社は、意見広告で勝負していきます。
そして、この『ウォールストリート・ジャーナル』の意見広告は
アメリカが変換を余儀なくされた80年代に多くの反響を生んだのです。
経営者のハリー・グレー氏が発信したメッセージは
教育、常識、礼儀、生きがいなど多方面に及び
当時の多くのアメリカ人の心を揺さぶったと言います。
グレーマターキャンペーンと言われるこの広告で
無名だったユナイテッド・テクノロジーズ・コーポレーションは
有名企業の仲間入りを果たします。
私が本書で一番感動したメッセージが
「忘れないで欲しい 君に最初のチャンスを与えてくれた人を」です。
誰かがある日
君の中に何かを見つけた。
今日の君の何分の一かは
そのおかげだ。
その誰かは思慮深い両親、
洞察力のある教師、
きびしい軍隊の教練隊長、
思いやりのある雇い主、
それともきっとポケットの中をまさぐって
何ドルかを探し出してくれた君の友達。
それが誰であろうと、
君の将来に賭ける親切さと
先見を持った人だった。
人間とオランウータンとを区別するのは、
この二つの美徳なのだ。
これからの24時間の中から
10分間だけとって、
君を助けてくれた人に
感謝の言葉を書こう。
それで一つの素晴らしい友情が
これからも生き永らえるだろう。
そうだ、それからもう10分間だけとって
今度は他の誰かに
チャンスを与えてあげなさい。
いつの日か
君にも素敵な手紙が届くかもしれない。
それは君が今までに読んだ
もっとも心あたたまるメッセージの一つに
なるかもしれないのだ。
「詩」のようなこの広告メッセージを読んだ瞬間に
私の心はジーンとして、涙が出そうになりました。
過去が走馬燈のように、現れ、自分の人生を振り返らずにはいられませんでした。
多くの人が私の中に何かを見つけてくれたから、今の自分がある!
過去の恩人に感謝の気持ちを持つこと
そして、以前、自分がしてもらったように
他の人にもチャンスを与えなさいというメッセージは
私の中でキーワードとなり、行動指針になったのです。
いつの日にか自分の手元に素敵な手紙が届くように
他者を意識しながら、貢献をしていきたいと思います。
本書はグレーマターに感動を受けた3人の電通社員が翻訳した一冊です。
今、こうしてこのメッセージを読めるのも
ハリー・グレー氏と3人の翻訳者のおかげです。
翻訳者の一人の岡田芳郎氏は本書の価値を以下のように説明しています。
良識を持つ企業人が同じ世代を生きる人に向かって贈る「人生の応援歌」としての価値
企業が一人の人間と等身大になって同じ大きさの市民に語りかける「肉声豊かなコーポレート・コミュニケーション」としての価値
本書を読みながら、このグレーマターキャンペーンは
ソーシャルメディア時代の先駆けだと思えました。
ユーザーに何を提供できるのか?を考えた結果
ハリー・グレー氏は、読者を考えに誘い込むという方法を取ったのです。
このグレー氏の生き方の質問に対して、読者は感動しながら巻き込まれ
新聞全盛時にも関わらず、双方向のコミュニケーションが可能になったのです。
ちなみに、この「忘れないで欲しい君に最初のチャンスを与えてくれた人を」に対して
一回で13320通の手紙が届き、50315枚がリプリントされたそうです。
今ならFacebookでシェアされまくる人気の広告になったはずです。
本書にはソーシャルメディア時代のヒントが隠されています。
人を感動させる広告のお手本が75本揃っているのです。
広告視点だけでなく、人生をよくする一冊として本書をおすすめします。
グレー氏の温かいメッセージにより、人間とは何かを考えられます。
このメッセージを読むことで、やる気のスイッチがオンになるはずです。
理央さん、良書のご紹介をありがとうございまさいた、
コメント