フィンランド教育水準の高さと九九の不思議な関係。

小さな子どもたちに数学を無理やり教えるのは大きな誤りです(フリーマン・ダイソン)

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フィンランドでは、就学年齢が他国と比べて1年遅い。1日の授業コマ数も授業時間も少ない。テストも宿題も少ない。そして子どもたちは学校が楽しいと感じていたのだ。(シェーン・スノウ)

シェーン・スノウの著書のSMARTCUTSの中で
フィンランドの教育レベルがなぜ一気に高くなったのか?が
アメリカの問題点をあぶり出しながら、わかりやすく解説されています。
これは日本の教育システムにも当てはまることなので
本書を引用しながら、紹介していこうと思います。

わずか人口500万人の北欧の小国フィンランドが、教育現場で驚くほどの成果を残しています。
数学、理科、読解力の国際的な調査で、フィンランド人の学生は
常に世界のトップかそれに近いレベルを維持しています。
それも最小限の努力だけで、トップをキープしているのです。
とにかく、フィンランド人の教育効率は驚くほど高いことは間違いありません。
アメリカの半分の教育時間で、それ以上の結果を生み出しているのです。

フィンランドの教師が授業に費やす時間は年間600時間。1100時間の米国と比べるとおよそ半分だ。フィンランドが教育に成功している根拠は、何もテストの点数に限った話ではない。教育の成功が経済にも波及している。国民1人当たりの研究者数も他国より多いし、各種調査でも技術革新は世界トップに挙げられている。失業率は平均より低く、成人の82%が高卒または同等の学歴を持っており、先進国の平均を12%上回っている。

実は、フィンランドの教育水準は、短期間で今のレベルにアップしました。
無駄な努力をやめることで、教育改革のスマートカットを実現したのです。

一方のアメリカは、教育に関しては完全にフィンランドの後塵を拝しています。
著名な物理学者でプリンストン高等研究所名誉教授のフリーマン・ダイソンは
アメリカの教え方は完全に誤っていると指摘しています。
米国の学校教育は、でこぼこの野原での運転術ばかりを指導し
ハイウェイの走り方を教えないようなものだと彼は言います。

アメリカの最大の敗因は、暗記重視の教育スタイルで
これが子供達の勉強をつまらなくしています。
ダイソンは、本当にアメリカの子供に必要なことは
数学という道具の使い方を教えることだと断言しています。
なんと九九は不要で、学校では電卓を持たせればいいと彼は言い切っているのです。
この説を信じれば、日本の小学2年生は無駄な時間を過ごしていることになります。
彼らはひたすら九九に時間を使っているのですから!

数学はおもしろくなければならない。(フリーマン・ダイソン)

ダイソンは、子どもたちを勉強好きにさせたいなら
遊びの要素が欠かせないと言います。
例えば、レゴで何かを組み立てるとか、博物館を訪れるとか
いろいろな道具を使って実験をする方が九九を学ぶよりはるかに価値があるのです。
この体験や共同作業を通じて教師や友達から
多くのフィードバックを得ることで、確実に、自分を成長させています。
遊びの中の体験はしっかりと記憶に残り
未来のアイデアの素が脳内にストックされていくのです。

実は、電卓を使用する学生は、そうでない学生と比べて
数学に対する意識が高いことが明らかになっています。
さらに、科学、技術、エンジニアリング、数学の分野で
高度な計算能力が求められる仕事を志望する可能性が高いこともわかってきました。
最近では電卓だけでなく、iPadなど多くのツールが
子供達の周りにあるのですから、これらを積極的に活用すべきです。
iPadを使うことで、暗記行為を高いレベルの思考に置き換えられるのです。

一方日本では、今でも電卓否定派が大手を振って、教育界を闊歩しています。
旧態依然の一方通行の授業が子供達のやる気を失くさせているのです。

実は、計算機に関する学術研究の圧倒的多数は、電卓のような計算ツールを活用することで概念的な理解力が高まると結論づけているのだ。つまり、道具を最初に学んだほうが、その科目を早くマスターできるのである。

多くの日本の受験生が計算によって、数学嫌いになっている現状を見ると悲しくなります。
体験とツールの活用が、学びたい気持ちが芽生させるのです。
暗記するよりも、体験を通じた迅速なフィードバックの方が価値があるのです。

著者のシェーン・スノウはネット時代の教育は
プラットフォーム型に移行したと主張しています。

今はプラットフォーム時代だ。計算能力よりも、独創性豊かな問題解決策を編み出すことのほうがずっと意味がある。つまり、プラットフォームを活用すれば、1から基礎を身に付けるよりも速く基礎をマスターできるのだ。

教室での電卓使用を長年研究してきた研究者らは
道具の使い方を教えるのは早いタイミングが肝心だと警告しています。
低年齢のうちに教えないと、青年期になっても能力が身に付かないのです。

世の中が進化すれば、教育のあり方も常に見直す必要がある。そのときどきのプラットフォーム、つまり与えられた環境を踏まえて、最低限やらなければならないことを見極めるべきだ。今の子どもたちなら九九ではなく、エクセルが使えるようになったほうがいい。

確かにエクセルを教えた方が、計算が速く終わり
その分、クリエイティブなことや自分の好きなことに時間を使えます。
子供達は深く考えること学ぶことで、創造力を養えます。
九九を覚える時間をエクセル教育に使った方が
日本の小学校2年生の未来を明るくできるはずです。
エクセルを使いこなすスキルを養って
クリエィティブな発想のための時間を使えばよいのです。
九九の暗記やエクセル技を磨いてはいけないのです。 

すべての科目を隅から隅まで教えるよりも、プラットフォームの使い方を最初に教え、あとは本人が興味を持った分野を深堀りさせるほうが効果的だ。

フィンランドの公立学校にはハーバード大学のメンター制度と
同じ仕組み(魅力的で効果的な制度)が導入されています。
フィンランドでは、教師という職業の魅力を高めた結果
優秀な人材が教師になり始め、教育水準が高まったのです。
なんと小中高のすべての学校で修士号が教員採用基準になっており
フィランドの教師は非常に権威ある職業になっています。

また、しっかりと養成された教師は子どもたちに
暗記ではなく、「学び方」を教えるのがうまいと言います。
彼らは「どのように考えるか」を教えることで
フィンランドの学校をおもしろく、有益な場に変えているのです。

修士以上の優秀な教師が、暗記ではなく
ツールの使い方と課題解決型の教育を行うことで
いきなり高い位置から学習をスタートすることで、短期間で成果を上げているのです。
これこそが教育の近道=賢い選択なのです。

私たちもこのフィンランドの教育システムから多くのことを学べます。
時間を短縮して、成果を早く得るために 優秀な人がが集まる場所に参加しましょう。
学校、都市、ネットやリアルのコミュニティなどのプラットフォームを選択し
先人の知識や体験を徹底的に利用し、ラテラル思考を鍛えるのです。
人や場所、ツールでレバレッジをかけながら、成功のための最短距離を探すのです。

旧来型のムダな努力をコツコツ続けるのはやめましょう。
新しいプラットフォームで、自らの創造性によって世の中に貢献することを考えれば、
一気に自分のブランドを確立できるのです。

日本の教育現場とのギャップを考えると暗澹たる気持ちになりますが
勇気を持って、日本の学校もフィンランドのスタイルを取り入れるべきです。

今日もお読みいただき、ありがとうございました。
時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人 SMARTCUTS
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今日もお読みいただき、ありがとうございました。

     

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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