私には信じてくれる友人がいて、彼を失望させないようにしてきたから、いま成功しているのだ。(リンカーン大統領)
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リンカーン大統領はなぜ人気があるのか?
アメリカの歴代の大統領でもっとも人気があるのは誰でしょうか?ケネディやジェファーソンなど多くの大統領の名前が頭に浮かびましたが、私はリンカーンをもっとも評価しています。アメリカでもリンカーンの人気は高いようで、先週19日にニューヨークタイムズのオピニオン欄のアメリカ大統領の格付けランキングでも、第1位はリンカーンでした。次いで2位にワシントン、3位にはフランクリン・ルーズベルトが選出されていました。現職のトランプはここでも評価が低く、最下位という結果でした。前回調査(2014年)に18位だったオバマも今回は8位に躍進しました。
リンカーンは自分と異なる考えに対してとてもオープンで、控えめに行動していたといいます。エリック・バーカーは残酷すぎる成功法則の中でリンカーンの長所を紹介しています。彼は提案される戦略内容に精通していられるように、膨大な時間を費やして陸軍省に入る電報に目を通したそうです。リンカーンは新しいアイデアに非常に関心が高く、部下のアドバイスや意見を傾聴していました。彼のリーダーシップに焦点をあてた研究によると、おそらくリンカーンはアメリ力史上、最も近づきやすい大統領でした。彼は職務時間の75%以上を人と会うことに費やしていたそうです。南北戦争初期に志願したすべての北軍兵士と会うなど人を大切にしていたのです。
諸君よ、もしあなたが誰かを味方につけたいなら、まずあなたが彼の誠実な友であることを納得させよ。
リンカーンは友達と接するように部下に接していたのです。彼は敵対的な相手に対しても、友人のように振る舞いました。リンカーンは謙虚に行動し、何のためらいもなく自分の過失を認めました。政敵の北軍総司令官ユリシーズ・S・グラントに充てた書簡でも、自分の非を認めて、彼との関係を重視していました。リンカーンのように弱みを認識し、自分を過小評価する上司が最も優秀で人気があるのです。
セルフ・コンパッションが重要な理由
私たちは、リーダーにはナルシシズムの傾向があると思いがちだ。また、すでに見てきたように、たしかにナルシストや自信家がリーダーに選ばれやすい面もある。だが彼らは結局リーダーとして成功しない。ナルシストの仕事ぶりは、彼らがかっこよく見える機会がどれくらいあるかに左右される。これは、リーダーとして致命的だ。事態が悪化し、今こそリーダーが求められるというときに、彼らが熱心に仕事をする可能性は低いからだ。(エリック・バーカー)
ナルシストで自分をよく見せたいリーダーは成功しないことがわかっています。逆に部下の話を聴くリーダーが成功するようです。スタンフォード大学ビジネススクールのフランク・プリンによると、自責の念を抱く人は、仲間から好ましいリーダーとして見られるそうです。また、アメリ力海軍での調査では、人望のあるリーダーは、民主的で、話をきちんと聴く技能にすぐれた人物だったと言います。乗員たちは、緊急時を除いて(海賊と同様に)、上官が意思決定に際し自分たちの意見を
聞いてくれることを望んでいる。エリック・バーカーはセルフ・コンパッション(自分への思いやり)が重要だと指摘します。
セルフ・コンパッションには 、自尊心のプラス面がすべて含まれるが、マイナス面は含まれない。良い気分で仕事の成果を上げられ、高慢ちきになることもなければ、自己の改善を怠ることもない。自信と異なり、自分への思いやりは妄想につながることもない。
自分への思いやりのレベルが高い人は、現状認識も正確で、自分自身や世界を正確に把握できます。何かで失敗したときに も自分を過度に責めることもありません。一方、自尊心に重きを置く人びとは、自分を欺くことがあります。他者からの有益なフィードバックを退けることで、成功のチャンスを逃してしまうのです。彼らは現実を受けいれるより、自己の価値を証明することに執着することで、失敗を重ねてしまいます。問題があっても自分への思いやりを育むと、他者への思いやりも増すことが神経科学の研究によって証明されているそうです。
では、どうすれば思いやりの心が育まれるのでしょうか?
生涯でただ一人、四六時中あなたに寄り添い、優しくケアしてくれるのは誰だろう?そう、あなた自身だ。(クリスティン・ネフ)
ものごとがうまくいかないとき、自分を責めたり、批判したりするのはやめるべきです。人間はあやまりをおかすものですから、完璧主義にならないようにすべきです。リンカーンのように自分の非を認め、他者との関係をよくすべきです。研究によると、時間を取って、自分への語りかけを書きとめると、気分が晴れて、自分を思いやる気持ちが高まります。自分との対話の時間を持つことで、自分に優しくなれます。瞑想やマインドフルネスも効果がありますから、書くことと併用するとさらに効果を得られます。私も毎日、感謝日記を書くことで自分との対話を重ねています。他者への感謝の気持ちを持つことで自分に優しくなれました。瞑想を習慣化することで心が落ち着きます。
エリック・バーカーは成功するためには、楽観主義と悲観主義の両方が必要になると述べています。
私たちは前進し続け、他者を味方につけるために楽観主義と自信を必要とする。しかし、問題点を見つけて改善するには、否定的な考え方と悲観主義が必要だ。つまり、成功するには、楽観主義と悲観主義の両方が欠かせないのだ。
リンカーンのように楽観主義と自信を両立させ、他者のアドバイスを取り入れるようにしましょう。真のリーダーは部下と友人付き合いができる人なのです。
まとめ
成功している人は自信過剰ではありません。彼らは部下を怒鳴り散らしたり、傲慢な態度を取ったりしないはずです。彼らは平静で、思いやりがあり、寛容な存在なはずです。優秀な人たちの賢明さを身につけるためには、自分への思いやりが欠かせません。失敗した時に自分の非を認められ、他者のアドバイスを聞き入れられる寛容さが自分を大きくしてくれます。ナルシストではなく、自分に優しく接することが成功の秘訣なのです。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
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