ヤヌスコーンのフレームワークを使い倒せ!ゼロからつくるビジネスモデルの書評


Design vector created by macrovector – www.freepik.com ゼロからつくるビジネスモデル

著者:井上達彦
出版社:東洋経済新報社

本書の要約

ヤヌスコーンのフレームワークでは、過去のビジネスの経験や自分が大切だと思った出来事をプロットします。一つの領域に拘らず、点と点を結ぶことで、トレンドが見えてきます。ヤヌスコーンのフレームワークを活用し、大きな流れを意識することで、未来を予測できるようになります。

ヤヌスコーンのフレームワーク

ヤヌスは、ローマ神話の門を守る双面神で2つの顔を持ち、出口と入口、前と後ろを見ることができます。左は過去の領域とし、右は未来の領域として、それぞれコーン(三角錐)で示します。過去の出来事は双方が交わる現在に収束していきます。そして、未来に向かって広がっていきます。(井上達彦)

ビジネスモデルを解説した良書であるゼロからつくるビジネスモデル(井上達彦のなかに、「ヤヌスコーン(Janus cones)」のフレームワークが紹介されています。スタンフォード大学工学博士のタマラ・カールトン教授によって開発されたこのフレームワークは、スタンフォード大学のデザインスクールやアメリカ政府の国防にかかわるワークショップでも活用された実績のあるものです。

アイデア発想は技術で、ある程度の訓練をつめば習得できるようになると著者は言いますが、ヤヌスコーンのフレームワークを身に付けておけば、新たなビジネスモデルを生み出せるようになります。

ヤヌスコーンのフレームワークは、過去と未来の双方に目を向け、過去に起こった出来事から将来起こりうる出来事を予測しようとするものです。一見すると、無関係に見える出来事であっても相互に関連し合って将来を形づくくります。このフレームワークを使うことで、関心のあるトピックのトレンドを理解できます。関連する出来事を並べることで、その中にパターンを見出せるようになります。  

ヤヌスコーンに記入すべき出来事
・自身のビジネスに影響を及ぼすもの
・自身が大切だと感じる出来事
・一面的な理解に陥らないように複数の領域にまたがる出来事を記入

ヤヌスコーンのフレームワークでは、ビジネスでの経験や自分が大切だと思った出来事をプロットします。一つの領域にこだわらず、点と点を結ぶことで、トレンドが見えてきます。まさに、スティーブ・ジョブズのConnecting the dots (点と点をつなげる) で、自分の過去を振り返ることで、未来を予測できます。ヤヌスコーンのフレームワークを使い、過去と未来を自由に行き来することで、ヒット商品の芽が見つかります。

ヤヌスコーンのフレームワークでヒット商品の芽を見つけよう!

ヤヌスコーンの3つの特徴  
①過去のトレンドから未来を予測する
②定性的なフレームワークである
③簡便さを武器にしている  

①過去のトレンドから未来を予測する
5年先を見据えるためには10年以上前の過去を、10年先を見据えるためには20年以上前の過去を振り返るとよいと著者は指摘します。

②定性的なフレームワーク
ヤヌスコーンは、印象に残った出来事を記入しながら未来を予測します。断片的な事実を多面的に洗い出し、それをイメージに従って配置して線で結ぶことによって、トレンドを描き出します。

③簡便さを武器にしたフレームワーク
普段の業務で見聞きしたことを書き出すだけでトレンドを見ることで、手間隙を省けます。筆記用具とメモがあれば、このフレームワークが活用でき、すぐにアイデアを導けます。

1つ1つの出来事というのは点のようなものです。しかし、その点をプロットして線で結べば、トレンドが浮かび上がってきます。ヤヌスコーンは、その線としてのトレンドを描き出すためのフレームワークです。それゆえ、まず自分のビジネスにかかわる出来事から、複数の線を描き出していくことが大切です。線としてのトレンドが見えてくれば、今度は、それらの線が相互に影響を及ぼし合うという可能性が浮き彫りになります。特に、複数の流れが1つに収束していくようなトレンドは見逃してはなりません。大きな流れを意識することで未来についての予測がよりはっきりと見えてくるはずです。

トレンドを描き出すためには、以下の4つのステップを踏むことが重要です。
①定点観測を行うことで、世の中の変化がわかる
②世の中の出来事と自身の感覚とのギャップを疑うことで、ポイントが定まる
③トレンドを象徴するような出来事が見つかる
④ある出来事と別の出来事を結ぶ(Connecting the dots)

過去の自分に影響を与えた複数の出来事を結び、いくつもの線を描きます。それらの線の流れを収束させ、1つにすることで、トレンドが明らかになります。そのトレンドから、新たなビジネスのネタを見つけられれば、ヒット商品を生み出せるようになります。過去と未来を行き来するヤヌスコーンのフレームワークを活用し、ヒット商品の芽を見つけましょう。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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