2030年、テクノロジーの進化が広告の未来を変える?


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2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ
著者:ピーター・ディアマンディス、スティーブン・コトラー
出版社:NewsPicksパブリッシング

本書の要約

この20年でグーグルとフェイスブックが広告の世界を激変させましたが、今後10年でテクノロジーがコンバージェンスされることで、それ以上の変化が起こる可能性があります。街中で「カメラを向ける、撮る、買う」という体験が当たり前になることで、既存の広告ビジネスの役割は確実に後退するはずです。

テクノロジーが、広告の勢力図を激変させた!

ドットコム革命が始まった当初、それが広告業に及ぼす破壊的影響を理解していた者はほとんどいなかった。(ピーター・ディアマンディス、スティーブン・コトラー)

私は長年、広告会社で働いていましたが、2000年前後はインターネットが広告業をポジティブに変えると信じていました。しかし、2007年にiPhoneとツイッター、フェイスブックに出会ったことで、その考えを変えることになりました。ソーシャルメディアによって、広告会社は壊滅的な打撃を受けると考え、自分の人生の後半戦の仕事について真剣に考えるようになったのです。

自らソーシャルメディアやブログで情報発信することで、新しい働き方が見えてきました。7年前に広告会社をやめ、その後、ベンチャー・スタートアップの経営者のサポートをしていますが、今は広告会社をやめるという選択をした過去の自分に感謝しています。

ユーチューブ、フールー、ネットフリックス、アマゾンなどのデジタル動画サービスが、TVコマーシャルの力を次徐々に削いでいきました。日本ではまだまだTVメディアはパワーを持っていますが、アメリカの3大ネットワークは見る影もないほどの凋落ぶりです

現在、インターネットの登場から20年も経たずに、グーグルとフェイスブックだけで地球上のあらゆる紙メディアを上回る広告収入を稼ぐようになっています。 グーグルの2019年の広告収入1348億ドル、フェイスブックのそれは697億ドルに上ります。この2社の売り上げが世界の広告費の売り上げを左右するようになっています。アマゾンやユーチューブの広告費も年々増加しています。

オープンソースのeコマース・プラットフォーム、モバイルデバイス、そしてオンライン決済インフラの進歩を味方につけたソーシャルメディア・マーケティングは、伝統的な広告産業そのものを駆逐したといえる。それも15年足らずのうちに。

グーグルとフェイスブックの時価総額も巨大になっています。昨年2020年には GAFAM5社の時価総額の合計は東証1部の時価総額より大きくなっています。これほどの規模に成長したのは、グーグルやフェイスブックの事業が、私たちの個人データや、私たちの検索が生み出す有益な情報がその土台になっているからです。

テクノロジーの変化は今後ますます加速し、私たちの行動や情報が価値を持つことで、広告の未来を激変させようとしています。

テクノロジーの進化が広告の未来を変える?

広帯域の5G接続、AR視覚装置、数兆個単位のセンサー、そしてそのすべてを結びつける強力なAIのコンバージェンスによって、物理的環境の上にデジタル情報を重ね合わせることが可能になった。その結果、広告は2次元の画面の呪縛から解放された。

5G、AI、AR、センサーなどのテクノロジーがコンバージェンスされることで、広告の戦いは3次元にシフトします。イケアは新しいテクノロジーで顧客の購買体験を変え始めています。イケアのスマートフォン用ARアプリを使うと、居間の完全な配置図がつくれます。すべての家具の大きさが正確に反映された、居間のデジタルマップが画面で確認できます。

新しいコーヒーテーブルが必要になったら、このアプリを使っていろいろな大きさやスタイルのものを試してみることができます。欲しいものが決まったらスマート決済が行われ、希望どおりのテーブルが自宅まで届けられます。組み立て方も、ARアプリがナビゲートしてくれます。家具を買いたければ、検索をしたり、オンラインショップを見るよりもイケアのアプリを開いた方が、はるかにベネフィットがあります。広告業界はこういったデジタル技術と戦っていかなければならないのです。

ビジュアル検索の競争が激しくなるなか、テクノロジーの開発スピードは一段と速まり、消費者がそれを使い始めます。システムを利用する消費者が多いほど、それを動かすAIにはより多くのデータがフィードバックされるようになります。顧客からのフィードバック・ループのおかげで、2018年秋までにビジュアル検索のクエリー数は月10億件を超えました。

グローバルブランドはほぼ例外なく、「カメラを向ける、撮る、買う」の世界への備えを進めている。これがショッピングモールの終わりが近いと予想されるもう一つの理由だ。身のまわりの世界そのものがショッピングモールになるのだから。 私たちが向かっているのは、AIが買い物の意思決定の大部分を担うようになる未来だ。

私たちは今後、テクノロジー経由で様々な商品を体験します。「カメラを向ける、撮る、買う」という体験が、ショッピングモールや広告ビジネスを変えていきます。ARによって実際の風景に連動した広告が目の前に表示されることで、新たな商品やサービスと出会えるようになります。やがてカメラを向ければ、商品をその場で買えるようになります。街中あらゆる場所で商品を購入できるようになれば、既存の広告の役割は変わり、コミュニケーションの設計も今とは全く違うものになっているはずです。

ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大の5冊目のiPhoneアプリ習慣術がKindle Unlimitedで読み放題です!ぜひ、ご一読ください。

 

 

 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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