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エマニュエル・トッドの思考地図
著者:エマニュエル・トッド
出版社:筑摩書房
本書の要約
「入力(インプット)→思考→出力(アウトプット)」のフレームワークを活用することで、新しいアイデアを生み出せるようになります。思考の土台を築いた上で、脳に様々な刺激を与えるのです。多様性のある人脈、幅広い読書、移動の最大化が、私たちに新しいアイデアを生み出す力を与えてくれるのです。
エマニュエル・トッドの知的活動のフレームワークとは?
道徳と宗教の崩壊は、国家による過失致死という事態をも引き起こしたのです。そしてマクロンのような高度な教育を受けたはずのエリートは、将来を予測するどころか、現代世界の問題にまともに対処することもできず、そもそも現実に何が起きているのかということすら十分に理解できていないように見えます。(エマニュエル・トッド)
フランスも日本も国の支配層やエリートと呼ばれる人々も混迷しています。エマニュエル・トッドはネオリベラリズムがもたらした荒廃によって、様々な問題が噴出していますが、多くのリーダーがそれに対処できずにいると述べています。
著者のトッドはマクロン大統領やエリート官僚養成校であるENA(フランス国立行政学院)出身の人物や社会の上層部にいる人間を徹底的に批判します。フランスの教育では基本的に、重要な論点を型通りにまとめてみせるという特殊な方法を習得することが求められます。これはあくまで学ぶテクニックに過ぎず、特に新しいアイディアを生み出さなくてもできてしまいます。つまり、思考を必要としない教育によって、生み出されたリーダーたちが、フランスの政策をつくっているのです。
しかし、社会は非常に複雑で、今は多様な課題を素早く発見し、それを解決する能力が求められています。今回のコロナパンデミックは予想外の出来事で、フランスや日本のリーダーたちは、間違った政策をとり続けています。社会は分断され、弱者への思いやりがない政策が実行されることで、先進国では国民の不満が高まっています。フランスではイエローベスト運動が起こり、日本ではツイッターデモで、政治家や官僚に対する抗議が毎日のように行われています。
では、どうすれば、新たな視点を持ち、課題を解決できるアイデアを生み出せるようになるのでしょうか?今までにイギリスのEU離脱、リーマン・ショック、ソ連崩壊など数々の予測を的中させてきた著者は、知的活動のフレームワークを使えばよいと言います。「入力→思考→出力」3つのフェーズを経ることで、私たちは新たなアイデアを生み出せるようになります。
あらゆる知的活動は、基本的に「入力(インプット)→思考→出力(アウトプット)」という3つのフェーズで構成されています。
1、「入力」→読書などを通じたデータの蓄積
2、「思考」→脳内での処理プロセス。「着想」「モデル化とその検証」「分析」などに細分化できます。
3、「出力」→話す、書く、伝える。
この当たり前のステップを丁寧に踏むことで、私たちは新しいアイデアを生み出せるようになります。
脳のデータバンクをつくり、新たな刺激を与え続けよう!
本を読み続け、さまざまな情報を収集し、自分の頭のなかにデータを蓄積していくと、ある時点で自分の脳がデータバンクのようになってきます。
著者は頭の中にデータを蓄積し、それをまとめ、仮説を立てたり、解釈のために図式化したりする作業を長年行ってきました。長い間、知的活動の3つのフェーズを実践することで、未来を予測できるヒントが見つかるようになったと言います。
歴史書や専門書を読み、人々が発信したデータをひたすら取り入れたり、知識を蓄積していると、ある日突然アイディアが湧く瞬間があります。この偶然の出来事によって、新しいアイディアが浮かんでくるのです。これは理性的に計画された出来事とは真逆にあるもので、様々なインプットとアウトプットが必要になります。
アイディアを得るためには自分自身に自信を持つことが重要です。そうしなければ思い切ったアイディアも湧いてきません。自分に対してポジティブなイメージを持ち、そんな自分には何ができるのか把握することです。
著者はその上で、以下の4つの行動を実践すべきだと述べています。
①思考の面では自分の国に留まらず、外へ行ってしまいなさい。
②SFを読み、想像の世界へ行きなさい。
③すでに死んだ人の作品をより多く読みなさい。
④恋愛面で危機にあるときほど研究に逼進しなさい。
いつもとは違う刺激が脳に与えることで、新しいアイディアが浮かぶようになります。外的な刺激によって、思考がルーティンから出ることを習慣化しましょう。本を読み、データを蓄え、土台を築いた上で、自分の体験とは異なる刺激を与え続けるのです。多様性のある人脈、幅広い読書、移動の最大化が、私たちに新しいアイデアを生み出す力を与えてくれます。
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