コロナ禍でチャンスを奪われた若者たちに資産を再配分すべき理由


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不安に克つ思考 賢人たちの処方箋
著者:エマニュエル・トッド ほか
出版社:講談社

本書の要約

コロナ禍は若者の行動の自由を奪い、彼らの未来を暗くしています。富の流れは老人に向かい、政治家たちも若者よりも資産家や高齢者を優遇し続けています。この状況を改善しなければ、世の中から活力が奪われてしまいます。今こそ、「富の再分配」や「平等」、「所有権」の問題を政策の中心に据えるべきです。

コロナ禍が若者にもたらす不平等とは?

コロナ禍の直前、富の流れは高齢者へと向かい、平均消費年齢が平均生産年齢を全体として上回りかねない状況だったのです。若者の活動を助け、彼らの生産を支援するのではなく、老人たちを養う社会。人類学的な観点からも、このような異常事態を続けられる社会など存在しません。そして今日、この困難な状況はさらに極端になっています。(エマニュエル・トッド)

不安に克つ思考 賢人たちの処方箋書評を続けます。今日はフランスの統計学者・歴史学者エマニュエル・トッドのインタビューを取り上げます。今回のコロナ禍は若者の生活を脅かしています。若者は比較的コロナにかかりづらいのに関わらず、政治家は彼らの行動の自由を奪っています。コロナ禍の若者たちは10代、20代で体験すべき学校生活や旅行などの体験ができずにいます。これだけでなく、資産格差と言う問題が若者たちに襲いかかっています。

2015年に、現役世代に対する引退世代の所得の優位性はピークに達したと言います。ロナルド・リーとアンドリュー・メイソンは、世代間での資産の移転をモデル化しています。彼らはモノやサービスを生産する人びとの平均年齢と、それらを消費する人びとの平均年齢を計算しました。

普通の世の中であれば、消費する人の平均年齢は、生産する人の年齢よりも低く、富は子どもたちや若者たちに流れていきます。しかし、コロナ禍の直前、富の流れは高齢者へと向かい、平均消費年齢が平均生産年齢を全体として上回りかねない状況になっていました。現代は、若者の活動を助けたり、彼らの生産を支援するのではなく、老人たちを養う社会になっていたのです。

今回のコロナパンデミックが、若者の自由を奪い、彼らは自己投資の時間を失っています。高齢世代による富の支配に加え、政治権力は若者たちに終わることのない外出制限を命じています。若者は学ぶことも働くこともできず、貴重な時間を無為に過ごし、チャンスを逸してしまったのです。

富裕層がより強くなる中で、弱者は今回のコロナ禍で苦しい生活を余儀なくされています。政府は資産のない高齢者や若者を守ることをやめています。強者と弱者の格差を解消しなければ、未来の活力は確実に失われていきます。

若者の支援を急ぐべき理由

未来の世代も含めた世代間での交渉が必要です。今日、若者たちは高齢者の保護という重荷を背負い、犠牲を払っているーそれは実際、英雄的とも言えます。彼らはそれに同意しているのです。その「代わりとして」、高齢世代は資本力や選挙での影響力を通して、若者たちに住みやすい社会を用意する義務があります。コロナ禍の後には、経済的・社会的な改革が起こるでしょう。

トッドは、世代間格差を解消するために、若者たちが背負っている負債を取り除くべきだと言います。そのためには、ここ40年にわたって、就職する若者たちや労働者たちの生活を圧迫してきた経済政策を変えていく必要があります。

世代間で交渉し、「ディール(契約)」を取り交わすことは、経済には効果的であり、倫理的には正しいものです。それがおこなわれなければ、私たちは老いも若きも区別なく、人類学的、歴史的な大惨事に飲みこまれてしまうとドットは指摘します。

戦後数十年、イギリスはゆりかごから墓場までという福祉国家を目指しました。その際、第一次世界大戦前の制度を修正して、健康保険と失業保険、老齢年金などについて、全国民を等しく対象とするよう求めた「ベヴァリッジ報告書」を基軸に政策が実施されました。歴史を振り返り、良き時代の政策を参考にするのもありだと思います。

経済のシステムを変えられなければ、環境問題も不平等の問題も差別の問題も解決できないわけですからね。どうすれば資産を分散化できるのか、どうやって企業の利害関係者が権力を分かち合えるようにするのか、経済のシステムの中心部に切り込まなければなりません。(トマ・ピケティ)

本書の中で、トマ・ピケティも「富の再分配」や「平等」、「所有権」の問題を政策の中心に据えるべきだと述べています。一部の富裕層や高齢者に富が集中することで、若者のやる気や活力が削がれています。未来を担う世代への支援を政治家はそろそろ考えなければなりません。これはフランスだけの問題ではなく、当然この日本でも政策に取り入れられるべきです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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