リタ・マグレイスの競争優位の終焉 市場の変化に合わせて、戦略を動かし続けるの書評


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競争優位の終焉 市場の変化に合わせて、戦略を動かし続ける
著者:リタ・マグレイス
出版社:日本経済新聞出版社

本書の要約

企業が競争優位を生み出したければ、①継続的な事業の再構成・再構築 ②衰退事業からの速やかな撤退 ③資源配分の見直し ④イノベーションへの習熟 ⑤新しいリーダーシップ・マインドセットの習得 ⑥個人スキルの発揮という6つのシナリオを組み合わせるべきです。

競争優位を生み出すための6つのシナリオ

競争優位は、一時的なものに過ぎない。(リタ・マグレイス)

この数年でコロンビア大学ビジネススクール教授のリタ・マグレイスが指摘していたことが現実になり、彼女が主張した戦略論が正しかったことが明らかになっています。昨日までの自社の強みが通用しなくなり、予想もしないスタートアアップやベンチャー企業のディスラプションに多くの大企業が苦しめられています。

VUCAの時代には、「持続的な競争優位を構築して、そこから長期間にわたって利益を得る」という考え方は、もはや通用しなくなっています。かつての大企業中心の競争優位は終焉し、当たらな戦略シナリオを作る必要があります。市場の変化に合わせて、経営者は戦略を動かし続ける必要があるのです。

著者のリタはその上で、以下の6つのシナリオを組み合わせるべきだと言います。
①継続的な事業の再構成・再構築(安定性とアジリティの両立)
②衰退事業からの速やかな撤退 
③資源配分の見直し、効率性を高める
④イノベーションへの習熟
⑤新しいリーダーシップ・マインドセットの習得
⑥個人スキルの発揮

優位性はつかのまのものにすぎないから、既存のモデルは絶えずプレッシャーを受け、優位性の再構成・再構築や更新(基本的には新たな波を起こすこと)が必要になる。一時的優位性の環境では、「再構成」のプロセスは成功への重要なカギだ。というのも、再構成を通じて、資産、人員、能力がある優位性から別の優位性へ移行するからである。

平穏と安定は間違った反応を引き起こします。必要なのは、時代の変化に適応し、イノベーションを起こし続けることなのです。既存の優位性に頼るのではなく、リーダーは新たな優位性を確保するために、資源を確保し、再構成する必要があります。

同業種だけがライバル企業ではなくなり、思わぬところから競争相手が登場する時代になっている以上、新たなライバルと戦うために、企業はしなやかに動かなければなりません。同時に個人も自分の一時的な優位性に固執するのをやめるべきです。

優位性を維持するための個人スキルの高め方

私は、競争優位は衰えるものだと覚悟を決めるよう企業に勧めている。個人にも同じように、腹を固め、そのつもりでキャリアを計画するよう勧めたい。要するに、現実的に見てキャリア・マネジメントに終わりはないということだ。企業が次なる優位性の波を発見すべく投資しなければならないように、個人も自身のスキルを維持し、必要とされる存在でありつづけ、自分の価値を他人に売り込むための輝かしい業績の物語を生み出すべく投資する必要がある。つねに次の職を探しているのだと考えて準備を整えていれば、しかるべき宿題を怠っていたところに不意打ちを食らう可能性はずっと低くなる。

著者は衰退する会社と運命を共にする必要はないと述べています。自分の価値を絶えず高め、転職や起業を選択肢にすべきです。その際、フォード・R・マイヤーの「職探しツールキット」を活用し、準備を怠らないようにしましょう。

■これまでの実績リスト
■ポジショニング・ステートメント(市場における自分の位置づけを記した書面)
■職務経歴(3人称で記した書類一枚)
■働きたい企業リスト
■人脈リスト
■身元照会先一覧
■推薦状
■ネットワークへの参加準備
■活動の記録を後追いできるしくみ
■履歴書

一つの職種にこだわるよりも、様々な経歴を持った人の方が、VUCAな時代には優位なポジションを得られます。

人々は、決まったレールに沿ってスキルを磨きながら前進するのではなく、仕事から仕事へと渡り歩く。それぞれの仕事の期間は比較的短いが、スキル、人脈、能力が身につく。これらは次の仕事に役立つし、ひいては次の雇用主にとって彼らの価値を高めることにもなる。一時的優位性の経済において、いくつもの異なる組織環境を経験することが有益なのは、見つかるチャンスの数が増えるからだ。

優位性が長続きしない時代においては、新たなスキルを蓄積し、それらを組み合わせることが重要になります。人との出会いから新たなチャンスが生まれることも多いので、会社以外のネットワークも大切にすべきです。自分の価値を高めるために自己投資を続け、その価値を活用して他者に貢献しましょう。会社に頼るのをやめ、成長する人材になることで、個人でも競争優位性を発揮できるようになります。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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