フレデリック・ラルーのティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現の書評


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ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現
著者:フレデリック・ラルー
出版社:英治出版

本書の要約

ティール組織をつくるためには、①自主経営 ②ホールネス ③エボリューショナリーパーパス(進化する目的)の3つの要素が欠かせません。エボリューショナリーパーパスのもと、お互いが信頼できる組織をつくることで、企業は持続的に成長できるようになります。

ティール組織の3つのブレイクスルー

階層型組織と同じく、自主経営組織でも、生産的で喜びにあふれた協力関係を実現するには、信頼が鍵となる。(フレデリック・ラルー)

このGWに、フレデリック・ラルーティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現を再読しました。エグゼクティブ・アドバイザー/コーチとして活躍するフレデリック・ラルーは、組織の発達段階として「進化型組織」を「ティール組織」と表現しました。進化型組織のティール組織には、階層や序列、管理業務、売上目標は存在しません。

ラルーは進化の過程を5つの組織モデルに分類し、以下の5つのカラーで説明しました。
レッド(衝動型)・・・自己中心的
アンバー(順応型)・・・自分の属している組織中心
オレンジ(達成型)・・・世界を中心に物事を考える
グリーン(多元型)・・・個人個人の価値観と多様性、人間らしさを重視
ティール(進化型)・・・信頼で結びつき、命令系統がない

進化型パラダイムでは、判断と寛容という対立を超越できる。進化型以前の段階では、私たちはほかの人々と意見が異なると、「自分たちが正しく、彼らが間違っている」と決めつけて対峙することもある。そうなるととるべき選択肢は、説得する、教えて間違いを正す、解雇するということになる。あるいは寛容という名の下に(これは多元型組織では理想的な態度であるが)、意見の違いをうまく取り繕って、すべての真実は等しく価値があることを認める。進化型パラダイムでは、この対立性を超越し、決めつけないことでより高次の真実にたどりつける。私たちは自分の信念を点検し、実際にはそれが優れていることを発見するのだが、同時にほかの人のことも、基本的に等しい価値の人間として受け入れることができる。

ティール型組織は、従来型の組織とは以下の3つの点で異なります。
■セルフマネジメント→仲間との関係性でシステムを動かす
■全体性(ホールネス)の重視→自分をさらけ出して職場に来させようという気にさせる一貫性
■存在目的→組織のメンバーは、将来を予言し、統制しようとするのではなく、組織が将来どうなりたいのか、どのような目的を達成したいのかに耳を傾け、理解する場に招かれます。進化する目的(エボリューショナリーパーパス)を組織が生み出すことで、持続的に成長できるようになります。

信頼をキーワードにティール組織をつくろう!

ティール組織においては、「信頼」がキーワードになります。セルフマネジメントを行うためには、社員に大きな裁量を与える必要があります。経営者やリーダーの仕事は、社員同士の信頼を築き、お互いが信頼できる職場をつくることになります。目的を進化させ、社員一人ひとりが自律的に思考し、お互いの価値を積極的に提供する組織をつくることで、イノベーションが起こるようになります。

私たちが職場に信頼を求めるのであれば、あるいは深くて、豊かで、意味のある人間関係を望むのであれば、自分をもっとさらけ出さなければならない。

社員一人ひとりが自分の物語を話すことで、組織がまとまっていきます。ほかの人の人生の旅について知れば知るほど、その人を疑いの目で見たり、嫌いになったりする可能性が少なくなります。お互いの物語を知っているからこそ、他者を認めることができ、その人を信頼できるようになるのです。

信頼関係があるから、お互いに意見を言うことができ、スピーディに意思決定することで、組織は成長します。自分だけが正しいという考えを捨て、他者を信頼できる組織をつくることがリーダーの仕事になります。

ラルーは小説家のパーカー・パーマーの以下の言葉を引用しますが、ティール組織をつくりたければ、彼のメッセージを参考にすべきです。

お互いをもっとよく知ることだ。単純な質問から相手を知ってそれを仕事に生かすのだ。そして単に人を雇用しているのではなく、仕事のプロセスの中で互いの魂を尊重するような職場をつくり出すのだ。これこそ、共有の関係を紡ぐ方法だ。その関係があれば、危機のときでも回復力を発揮でき、必要なときに資源を有効に活用できる。危機や必要性が生じたあとに、混乱の中でコミュニティーを築こうとしても遅い。共有の関係とは、手遅れになる前に紡いでおくべき織物なのだ。人々だけでなく仕事の周りに、役割だけでなく魂の周りに、言葉や慣行を通じて、だれもが協力しあうコミュニティーをしっかりとつくろうではないか。(パーカー・パーマー)

個々のメンバーがストーリーを語ることで、組織の垣根を取り払えます。お互いが感謝の言葉を伝え、褒め称えることで、組織に共感が生まれます。「この組織はどこに行きたがっているのだろうか?」と目的を進化させ、お互い話し合う場をつくることで信頼が生まれます。

お互いを信頼し、全ての情報をオープンにし、組織を運営することで、企業はイノベーションを起こせるようになあります。個人と組織の目的が合致し、メンバー全員が自律的に行動することがティール組織を生み出す秘訣なのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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