戦略コンサルタントが大事にしている 目的ドリブンの思考法(望月安迪)の書評

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戦略コンサルタントが大事にしている 目的ドリブンの思考法
望月安迪
ディスカヴァー・トゥエンティワン

本書の要約

目的という未来のあるべき姿を設定し、そこからバックキャスティングすることで、目的を達成する道筋が見えてきます。望む未来は待っていればやってくるものではありません。「目的」が明確であれば、仕事のあらゆる局面において「選択と集中」ができるようになり、企業の成長を加速させます。

バックキャスト思考が重要な理由

過去の延長線上に未来を見るのではなく、望む未来を最初に描くこと。その未来像から現在に立ち戻り、その実現に必要な手段を見つけ出すこと。これは言いかえれば、過去起点の「バックミラー思考」を抜け出し、未来起点の「バックキャスト思考」にシフトするということだ。時代は、この思考の転換を僕らに要請している。(望月安迪)

変化が激しいVUCA時代には、過去の延長線上で思考し、行動しても正しい答えは見つからなくなっています。現在は未来起点で物事を考えることが重要になていますが、未来の目指す目的、自社のあるべき姿をリーダーは設定し、それを部下に示す必要があります。

目的という未来のあるべき姿を設定し、そこからバックキャスティングすることで、目的を達成する道筋が見えてきます。望む未来は待っていればやってくるものではありません。リーダーが実現の意思を示し、そのストーリーをバックキャスト思考でメンバーに提示することが、明るい未来を実現するスタートラインになります。

組織・チームの意欲や使命感に訴えかける共通善としての目的を掲げること。組織を突き動かす強力な〝Why〟を打ち出すこと。それが、これからの時代を生き抜く僕らのパワーの源泉だ。逆にそのような旗印を持たないとき、僕らは決定的なパワーの源泉を失うことになる。

リーダーがWhyから施工し、目的を設定することで、以下の4つの効果を得られます。
① 解決すべき問題を絞り込むことができる(=価値のない仕事を省ける)
② スピーディに優先順位を判断することができる(=判断に迷わなくなる)
③ 目的に直結するアクションがとれる(=無駄な活動をなくせる)
④ 成果創出のために組織やチームを動かすことができる(=ワンオペから脱却できる)

[第一層]Why ・・・成し遂げるべき「目的」を設定
[第二層]What・・・目的を成し遂げるために達成が必要な「目標」を設定
[第三層]How ・・・目標の達成に必要な「手段」が基盤となって受け支える

Why、What、Howの三層ピラミッド構造をつくることで、抽象的だった目的を「実務として〝制御可能〟かつ〝有効な〟対処を打てる状態」にすることができます。この三層構造で目的を達成するストーリーを描くことで、成果創出の確度を飛躍的に高めることができるようになります。

バックキャスト思考とは「望む未来像」を起点に現状に立ち戻り、未来像を実現する方法を考える逆算の思考であった。これは「目的」を起点として、その達成に必要な「目標」や「手段」を打ち立てようとする三層ピラミッド構造の考え方に他ならない。  

「バックキャスト思考」は「三層ピラミッド構造」をつくることで実践できるようになります。 目的とは「新たな価値を実現するために目指す未来の到達点」であり、バックキャスト思考の中核要素、思考の起点になります。

リーダーの本当の仕事とは何か?

「目的」が明確であれば、仕事のあらゆる局面において「選択と集中」ができるようになる。それは、目的を果たすために解くべき問題を絞り込み、最優先の打ち手を判断し、適切なアクションにフォーカスすることを可能にするものだ。これによって、最小の労力で最大の成果を上げることが現実のものになる。

目的を設定するために大切なのは、何度となく「何のために」と問い、「それは本当か?」と検証することです。問いを繰り返すことで、目的そのものが磨き込まれていきます。

自分自身で納得した目的があってはじめて、メンバーが動いてくれるようになります。パーパスとゴールを明らかにし、それをストーリにして語ることで、メンバーが自走してくれるようになります。

大きな目標は小さく切り分け、メンバーに実現の可能性を示しましょう。実現できるサイズに目標を分解し、メンバーが結果を出せるようにするのです。目標を達成することで組織に自信が生まれ、やがて大きな目標もクリアできるようになります。

認知(本当に解決すべき問題を定義)、判断(正しい実行策を決める)、行動、予測、学習の5つのサイクルを回すことで、目的や目標を達成できるようになります。問題の真因を明らかにし、正しい解決策は何かを判断し、それを行動に移すことで、組織の成長は加速します。

しかし、ここにリスクという落とし穴があることをリーダーは忘れないようにしましょう。問題のタネが芽を出す前に対処することが、実は重要で予測の精度を上げ、リスク対策を行うことと、課題解決のための学習を怠らないようにすべきです。

目の前の現場で起きている問題を解決することだけがリーダーの役割ではない。現場が目的・目標達成に向かってつまずかないよう、将来の脅威を予測し問題が芽を出す前に取り除くこと。このように未来にまでマネジメントの射程を伸ばすことが、「予測」という基本動作だ。 リスクは、目の前の現実で発生していない将来の問題を扱う。この手触りのなさがリスクを考えることの難しさだが、起点となる「手段」を明確にし、他者の視点や既存の知見を参照することで、着実なリスクの洗い出しができるようになる。

未来に起こりうるリスクを特定できれば、具体的な対策を考えられるようになります。対処すべきリスクには「軽減」「回避」「移転」対策を打ちながら、影響度が低い・発生する可能性が低いリスクには「受容」を選ぶことで、未来を変えられます。 先手を打ち、リスクを事前につぶしておくことで、わずかな労力によって潜在的に大きな問題を解決できるようになるのです。

リーダーにとって、重要なことは次の2つの”目”を持つことです。
■最悪の事態に備える”冷めた目”
■最良の結果を期待する”明るいまなざし”
この2つの目を持ち局面に応じて使い分けることで、リーダーはメンバーを正しく率いることができ、結果、組織を強くできるのです。

マハトマ・ガンディーの「目的を見つけよ、手段は後からついてくる」という言葉を信じて、リーダーは目的から事業を考えるべきです。 「リーダーは、目的を成し遂げ、目指す未来を実現するために存在する」と著者は述べていますが、 目的=未来を描き、その実現をマネジメントすることが、リーダーの最も重要な仕事なのです。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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