クリアクション(creaction)がイノベーターに必要な理由。ジャスト・スタート 起業家に学ぶ予測不能な未来の生き抜き方の書評


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ジャスト・スタート 起業家に学ぶ予測不能な未来の生き抜き方
ポール・B・ブラウン,チャールズ・F・キーファー, レオナード・A・シュレシンジャー
CCCメディアハウス

本書の要約

「創造(クリエイション)」と「行動(アクション)」を組み合わせた「クリアクション(creaction)」が起業家には欠かせません。①行動する ②学ぶ(自らの行動から) ③学んだことを活かして、再び行動するという3つのサイクルを繰り返すことで、成功する確率を高められます。

起業家に必要なクリアクションとは何か?

ほとんどの起業家のやり方は私たちとは異なる。もちろん、彼らがプレディクションを用いることもある。とりわけ会社の業績が順調で、一般の経営幹部が直面するような問題に対処するようなときだ。だが、その一方で彼らは「クリアクション」と呼ばれる方法も採用する。「クリアクション(creaction)」というのは私たちが考えた造語で、「創造(クリエイション)」と「行動(アクション)」を合わせたものだ。簡単に言えば、こういうことなる──未来は過去と同じかもしれないし、違うかもしれないが、いずれにしても自分で未来を築けば(すなわち創造すれば)、未来はどうなるかを考えることに時間を費やさずにすむ。(レオナード・A・シュレシンジャー)

バブソン大学をご存知でしょうか?バブソン大学は全米屈指の起業家養成スクールで、「あらゆる分野における起業家精神」の教育でトップクラスの評価を得ていると言います。そのバブソン大学で大切にされているのが、「クリアクション」という考え方です。本書を読めば、そのクリアクションついて学べ、それを実践することで、起業家として成功できるようになあります。

バブソン大学では、プレディクション(予測)とクリアクション(創造的行動)を対比させます。
■プレディクション→予測可能で不確実性が低い際には、プランニングが有効
■クリアクション→不確実な未来で成功するために、まず行動からスタートする

現代のようなVUCAな時代には、あれこれ考えるよりも、まずは行動すべきです。起こったことから次の施策を考え、新たな価値を創造するクリアクションを優先すべきです。

彼らは考えついたアイデアを少し改良して世間の関心を引くかどうかを調べ、市場に受け入れられると判断すれば、さらに一歩先に進める。万が一思ったような反応を得られない場合には、アイデアを練り直して別の方向へ駒を進める。 ①行動する ②学ぶ(自らの行動から) ③学んだことを活かして、再び行動する 

クリアクションは、以下の5つのサイクルに細かく分類できます。
(1)Action/reflection trumps everything(まずは行動/省察が全てに勝利)
(2)Start with means at hand(今、手元にあることからスタート)
(3)Know how much you can accept or afford to lose(自分の許容範囲を知る)
(4)Enroll others to join your journey(他者を巻き込む)
(5)Uncover your desire(あなたの欲求を大切に)

起業家は、成功するまでこの5つのサイクルを繰り返します自分の欲求に基づき、まずは小さく行動し、当初決めた許容範囲の中で、実験を繰り返すのです。その際、他者を巻き込み、フィードバックをもらうことを忘れないようにしましょう。

起業家が今すぐ行動を起こすべき13の理由

プレディクションでは、計画を妨げるものや、決められた道筋から逸れる原因となるもの予想外の出来事や障害などはマイナスとなるが、クリアクションはまさに同じものをプラスと捉える。

予測できない将来に直面したとき、起業家はじっと座っていろいろな可能性を考える代わりに、行動を起こして現実を確かめようとします。起業家は行動することで、「ひらめきの瞬間」を得ています。

予測が難しくなる現代のような世界では、すべてをあるいは主要な部分だけでも考えることも、将来について細かい点まで決めることもできません。現在はプレディクションを用いて新たな行動を考える代わりに、行動を起こして思いどおりの未来を築くことが重要となります。

クリアクションでは、欲求を実現するために、自分の目指す方向へ、「賢い一歩」(行動)を踏み出します。周りの人を巻き込み、フィードバックを得ながら、ビジネスの確実性を高めていきます。

「賢い一歩」とは、手元にあるリソースのみを利用して、損失を許容範囲内にとどめた行動のことを指します。最初は自分だけで始めるとしても、途中で周囲の協力を得るのは構いません。ただ、許容できる損失の範囲を超えてしまった時には断念し、別のアプローチを考えるようにしましょう。

起業家はプレディクションとクリアクションを上手に使い分けるべきです。プレディクションとクリアクションにはそれぞれ向き不向きがありますが、ほとんどのプロジェクトは不確実な状態から始まって、進行するにつれて成功する確度が高まっていきます。

ビジネスを成功させたければ、プレディクションとクリアクションの両方を併用する必要があります。どちらを優先するかはそのとき次第ですが、不確実性が高い時には、クリアクションを優先すべきです。

クリアクションは常にプレディクションに代わる手段、あるいはプレディクションを補う手段だと考えるべきである。というのも、たとえ予測可能であっても、ある一定の状況ではクリアクションのほうが理にかなっている場合があるからだ。私たちはプレディクションを使う習慣が身についてしまっているので、クリアクションは使えないかどうかを意識して検討するようにしてほしい。そうすれば、プレディクションを使う習慣を断ち切って賢い行動を起こし、この2つの有益な考え方を臨機応変に用いることができるだろう。

■起業家が今すぐ行動を起こすべき13の理由
①行動すれば、何がうまくいくかがわかる
②うまくいかないこともわかる
③行動しなければ、何ができて何ができないのかがわからない。わかっていると思うかもしれないが、実際にそうだという具体的な根拠はない。
④行動すれば、「それ」が好きかどうかがわかる(「それ」=新たな行為は何でも)
⑤「それ」が嫌いかどうかもわかる
⑥行動は市場の反応を引き出すので、新たな視点を得られる。
⑦行動を起こすうちに協力者が見つかる。
⑧行動を起こすうちに、もっと手早く、安く、上手な方法が見つかる。
⑨行動を起こせば、残りの人生で「もし~を始めていたらどうなっただろう」と無駄に考えずにすむ
⑩考えてばかりいたら、人間として魅力がなくなるかもしれない。
⑪考えてばかりいても、知識は増えるかもしれないが、具体的なものは何も得られない。
⑫行動は必ず形になる。行動を起こせば、何かが変わり、その反応を観察することによって知識を得ることができる
⑬行動すれば、現実がわかる。これはとても大事なことだ

起業家はクリアクションのマインドセットを手に入れ、まずは賢い一歩を踏み出すべきです。その成果をもとにチャレンジを続けることで、成功する確率を高められます。

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