増税地獄 増負担時代を生き抜く経済学
森永卓郎
KADOKAWA
本書の要約
日本で国民負担率がジリジリと上昇しています。政府は今後増税路線をひた走り、さらなる増税地獄がやってくると著者は指摘します。国民全員が死ぬまで働き続けて、税金と社会保険料を支払い続ける納税マシンになる社会がくると言うのです。その時に備えて、日本人は暮らしの発想の転換を急ぎ、生活防衛する必要があります。
増税地獄で国民が不幸になる理由
今回の物価高は、2023年1~3月期には落ち着き〝再びデフレがやってくる〟と私は考えている。 その中で政府が増税をしてくることは間違いなく、日本国民はデフレで給料が上がらず増税で負担が増える、二重苦に襲われることになるだろう。(森永卓郎)
日本で国民負担率がジリジリと上昇しています。今年の2月21日に財務省は2022年度の「国民負担率」が47.5%になる見込みだと発表しました。国民所得のほぼ半分を税金や社会保障費に持っていかれる「五公五民」状態になることで、可処分所得が減り、日本人は貧しくなっています。
五公五民といえば、歴史で学んだ方も多いと思いますが、江戸時代の年貢率を表現した言葉です。全収穫量の5割を領主が取り、残り5割が農民の手元に残ることを示しています。江戸時代の初期は四公六民でしたが、徳川吉宗によって推し進められた享保の改革以降、五公五民になりました。
大飢饉に見舞われた享保から天明年間には、村役人や富農の屋敷を破壊するような『百姓一揆』が増えたといわれていますが、今の日本はこの五公五民状態で、一揆が起きてもおかしくない状態だと言えます。流石にこれには国民も悲鳴を上げ、このニュースが流れた時には、Twitterで五公五民がトレンド入りしました。
最近の負担率を振り返ると、1970年度には租税負担18.9%と社会保障負担5.4%で国民負担率は合計で24.3%でした。それが2021年度になると、租税負担が28,7%、社会保障負担が19,3%で国民負担率は48,0%までアップしています。10万円を稼ぐと、税金と社会保険料で4万8000円が徴収され、手元に残るのはその半分の5万2000円ということになるのです。
この30年あまりの日本の社会保障は、負担が大きく増える一方で、給付は据え置きか、削減されるという形になっているのだ。
どんなに一生懸命働いても、実に半額近くは国や自治体に強制的に徴収されてしまうのが現状です。財務省の増税路線で、日本人が納税マシンになっており、豊かさを感じられなくなっています。教育費や介護、医療費などの負担が増える中で、日本人はどんどん不幸になっているのです。
今後の日本が増税地獄になる理由
消費税率を引き上げるたびに日本の実質賃金(物価調整後)は、明らかに下がっている。消費税率を上げた年に大きく下がっているのだ。消費税率が上がれば、その分、物価が上がるため実質賃金が下がるのは当たり前ともいえる。
2011年の東日本大震災以降、財務省の増税路線により、日本の景気が低迷しています。消費税が上がるたびに実質賃金が下がり、日本人が貧しくなっています。
日本は完全な重税国家になっています。北欧は税負担が高い分だけ社会保障も充実していますが、日本は税金が高く、社会保障も低レベルで、国民負担が増しています。
政府は今後も消費税を15%から19%にアップすると言い、景気を冷やそうとしています。国民が一生懸命働いても手元にはほとんど残らないという恐ろしい未来が見えています。岸田総理と財務省が進める増税による財政再建によって、国民がますます不幸になるのです。
私はこれからさらなる増税地獄がやってくると確信している。その前に自分の生活を守る手段を考えておくべきだろう。
庶民を救うべき政府は今後増税路線をひた走り、さらなる増税地獄がやってくると著者は指摘します。国民全員が死ぬまで働き続けて、税金と社会保険料を支払い続ける納税マシンになる社会がくると言うのです。その時に備えて、日本人は暮らしの発想の転換を急ぎ、生活防衛する必要があります。
著者はトカイナカ生活で自給自足を行い、所得税を払わないレベルに収入を下げても幸せな生活ができると言います。国家が搾取をする中で、自分で考え、行動する必要が出てきました。
コメント