分散された信頼の時代をどう生きるか?

創造という行為はすべて破壊からはじまる。(パブロ・ピカソ)


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分散された信頼の時代

レイチェル・ボッツマンTRUST 世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか書評を続けます。 政治や宗教、メディアなど現代の制度への信頼が崩壊するにつれ、その穴を埋めるような新たなシステムが現れています。

人と組織と知性を持つ機械をつなぐ巨大な信頼のネットワークが生まれ、それが伝統的な信頼のピラミッドを解体しつつあります。そこには、新たな信頼(分散された信頼)の兆候が見えはじめています。たとえば、ブロックチェーン技術は、ひとりの人が消したり変更したりできないような、デジタルな履歴を作る力を持っています。ブロックチェーンは新しい信頼のモデルを提供していのです。政府や銀行といった中央権力によって信頼が仲介されるのではなく、普段は信頼し合うことのないまったくの他人が記録を共有することで、新たな信頼を築いています。

他人同士の信頼が成功の土台になるエアビーアンドビーやウーバーは、信頼が人脈や市場を超えて広がり得ることをはっきりと示しています。テスラも実は分散された信頼を元に成長しています。テスラのイーロン・マスクは次のように述べています。

テスラの携帯アプリのボタンに触れるだけで、自家用車をテスラのシェア車両に変えることができる。(イーロン・マスク)

テスラのネットワークに入ることで、自動車オーナーが車を使わない時間に、ネットワーク化された自動運転車が乗客を送迎し、オーナーにおカネが入るようになっています。このような分散された信頼はキックスターターなどのクラウドファンディングサイト、ソーシャルメディアプラットフォーム、P2Pレンディングといったプロジェクトの原動力になっています。

シェアビジネスのポテンシャルは巨大ですが、そこにはよいことばかりではなく、悪いこともあります。

分散された信頼はテクノロジー系リバタリアンの夢のように聞こえるかもしれないが、逆に言えば、世界中の見知らぬ人間同士をつなげるツールを極悪非道なことに使うこともできる。一般大衆への情報と知識の伝わり方がどれほど大きく変わったかを考えてほしい。メディアの氾濫によるダークサイドがそこにある。

ソーシャルメディアやブログの普及でそれを悪用する人も増えています。ネットの情報が恣意的に改ざんされ、新たな憎悪を生んでいます。政治や宗教ばかりでなく、個人の書き込みが改ざんされ、何が真実かがわからなくなっています。

私たちは何が真実かがわからない時代を生きている

1962年から1981年まで、数百万ものアメリ力家庭は毎晩ニュースキャスターのウォルター・クロンカイトの番組を見ていました。クロンカイトの自信のある語り口に毎晩2000万人が引き寄せられました。CBSのイブニングニュースの顔として、クロンカイトは、核爆発、市民権運動、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの死、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺を伝えるニュースを国民に伝えました。当時、夜のニュースは人々の生活の中心だったのです。

多くのアメリカ人が彼を尊敬し、彼の語るニュースを信頼しました。1972年、73パーセントの国民がクロンカイトを信頼すると調査に答え、クロンカイトはアメリカでもっとも信頼される公人となったのです。 クロンカイトは、人々がマスコミや権威を今よりはるかに信頼していた時代の恩恵を受けました。CBS、NBC、ABCの3大ネットワークはマスコミを独占していましたが、その支配もこの10年で終わり、ブログとソーシャルメディアに破壊されました。

今では、数千万もの情報源に細分化され、互いに視聴回数とクリック数を激しく競い合っています。

わたしたちの注意力はスナップチャット並みに短くなり、いわゆる「主流」マスコミのニュースは、フェイスブック上の友だちの誕生日の写真や夕食の写真と関心を奪い合う。クロンカイトは視聴者の信頼を得たが、「ポスト真実」時代のテレビ人ではなかった。マスコミに対する人々の信頼は華々しく炎上した。炎上は自業自得かもしれないが、一方で権力者や影響力を持つ人々が調査報道を貶めたことで、さらに炎が燃え上がったとも言える。

現代は何が真実かがわかりづらくなっています。メディアのニュースを信じる人が減り、友人の情報を信じる人が増えています。ソーシャルメディアのフィルターバブルによって、反対意見が届きづらくなっています。誰が真実を言っているのかについて、コンセンサスもほとんどわかりません。インターネットのせいで作り話と事実を分けるのが難しくなり、私たちは本当のことがわからない時代を生きているのです。自分のアンテナをしっかりとはり、正しい選択をできるようにしたいものです。

まとめ

ソーシャルメディアやブロックチェーン、シェアリングエコノミーによって、巨大な信頼のネットワークが作られています。そこには新たな信頼(分散された信頼)の兆候が生まれ、人々は既存のメディアや政治家よりも、知らない人を信頼するようになっています。そこにはよい面ばかりでなく、悪い面もあることを忘れないようにしましょう。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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