松本健太郎氏のアイデア量産の思考法の書評

新奇事象も、観察で得られた定性データです。普通の人が行っている、ちょっと変わっている消費者行動、最近のお気に入り・マイブーム・こだわり・工夫、あるいは提供している企業の側からすると間違った使い方や想定していなかった使い方、使い方は普通だが目的が面白いものを集めます。(松本健太郎)


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アイデアを生み出す新奇事象とは?

新奇事象という言葉をご存知でしょうか?消費者が商品の使い方を変え、違う目的でその商品を使用することがよくありますが、そこからアイデア生み出すことが可能です。一部の人だけが価値を感じている新奇な行動から、「私たちの隠された欲求や不満」を発見し、独創的なアイデアを作ることが可能です。

デコムR&Dマネージャーの松本健太郎氏アイデア量産の思考法は、そんな新奇事象のケーススタディを100集めた一冊です。これを読むだけで、異なる視点を養えるようになり、アイデアづくりが上手くなります。著者の松本氏は新奇事象には3つの特徴(メリット)があると言います。

1、アイデアにそのまま転換し易い
オンロード用自転車を改造して山道を楽しんでいる若者の行動から、「マウンテンバイク」のアイデアが生まれました。工事現場などで使用されるマスキングテープを使って、写真のコラージュなどを楽しむ女性の行動から、「女性用雑貨としてのマスキングテープ」というアイデアが生まれたのです。消費者行動の背景に隠れている「価値」を発見できれば、たとえ新奇性が高かったとしても「この消費者の行動には普遍的な価値があるのでは?」とアイデアを発想できるかもしれません。

2、顧客ではなく「人間」そのものを見に行ける
顧客の不満を聞くだけでは、どうしても商品・サービスを使っている人たちの声ばかりを集めてしまいます。しかし、それでは既存顧客の見えない不満が分かるだけで、新規顧客の開拓には繋がりません。

新奇事象をチェックすると顧客の新しい行動からヒントをもらえます。以前は、待ち合わせ場所に早く着いた時の暇潰しは、書店かアパレルショップが定番でしたが、今ではスマホゲームを使うことが大半です。ちょっとした「空き時間を潰したい」という充たされない心を上手く活用したスマホゲーム業界は巨大産業となり、書店やアパレル産業は衰退を続けます。待ち時間の奪い合いが産業の盛衰を決めているとしたら、消費者の新奇事象の重要性を理解できます。

3、消費者が時岡とお金を費やすカテゴリーは14個
自社に関係する生活力テゴリを観察するより、少し離れた生活力テゴリを観察した方が、良いアイデアに出会える確率はより高まります。著者は人の行動は、美容・ファッション、買い物・買い方などの14のカテゴリーに分類されると指摘します。

著者のnoteから引用

例えば、働き方が変われば、家に帰る時間が早くなり、旦那が家事を手伝ってくれるかもしれません。働き方改革により仕事の変化に注目することで、家事ばかり見ていると気付けない変化に気付けるようになります。

このように人の行動に注目し、新奇事象をヒントにすることで、新しいアイデアを生み出せるようになります。何も無い状態からアイデアを作りよりも、新奇事象を活用した方がはるかに楽です。アイデアは要素と要素の組み合わせであるというジェームズ・W・ヤングのルールを思い出し、異なるカテゴリーの新奇事象をチェックしましょう。

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新奇事象を活用し、新たなアイデアを生み出そう!

本書には前述の生活14カテゴリーごとに、100件の新奇事象が紹介されています。100人の特異な行動を分析し、著者が着眼点を示しながら、アイデアの作り方を紹介します。顧客ではなく人間(消費者)を観察し、彼らの新たな行動を知ることで、異なる視点を得られます。様々な人たちの行動をチェックするうちに、アイデア力が鍛えられるようになります。

いじめを受けた人間が、攻撃力の高い服で自分を強く見せたいというのは、人に対して虚勢を張ることです。「カ」を誇示して相手より優位に立とうとするのは原始的・動物的欲求ですから、ファッションで強さを表現して、自分を守ろうとするのも意味があります。学歴や収入でマウンティングを仕掛けるのも、虚勢を張ることだと著者は指摘します。

また、外見は属性を表すことが多いのです。ファッションはその人の所属する集団を暗に明らかにします。スーツは堅い仕事、ビジネスカジュアルはベンチャー風など、何を着るかでその人の雰囲気が決まります。ここから著者は人に負けたくない人のメイクやファッション提案をするアイデアを導きます。マウンティングを行う人への防御という形のファッションを提案します。 ノースウェスタン大学の研究では、白衣の着用有無が集中力に影響を与えると分かっています。何を着ているかがメンタルに影響する可能性があるのですから、メンタルを強くするファッションがあるべきです。

25歳の女性は100%ジュースの中に、「アイスの実」を入れて、より美味しく、健康を実現しようとします。不足しがちなビタミンを楽しくし摂取し、果汁100%以上のジュースを作り出しています。彼女の行動から「楽しくビタミン摂取」というコンセプトが浮かびます。 「自分であえて、工夫する楽しさ」というアイデアから新製品を作れるのです。

自分の好きな素材をトッピングすることで、楽しみながら健康的な身体を取り戻せます。習慣を変えるためには、自分の行動をより魅力的に見せると効果があります。楽しくビタミン摂取というキーワードは、習慣化にもつながるよいコピーだと思います。

まとめ

一般の人が行っているちょっと変わった事象(新奇事象)を活用することで、新しいアイデアを生み出せます。何も無い状態からアイデアを作りよりも、新奇事象を使う方がはるかに楽です。アイデアは要素と要素の組み合わせであるというルールを思い出し、異なるカテゴリーの新奇事象をチェックしましょう。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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