ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科 人生が変わるテクニック112個集めました
堀田秀吾
SBクリエイティブ
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科 人生が変わるテクニック112個集めました(堀田秀吾)の要約
習慣が続かないのは意志が弱いからではなく、やり方を知らないから。本書が紹介する習慣化の3原則は①まず動く やる気より先に行動することで脳が活性化し、自然とモチベーションが生まれる。②既存の習慣にくっつける 日常の流れに新しい行動を組み込むことで継続しやすくなる。③環境を整える 行動を促す仕組みを周囲に用意することで、無理なく習慣化が進む。意志に頼らず、自然に続く仕組みをつくることがカギです。
習慣化のための3つの原理
習慣化とは、「意志の強さ」や「特別な才能」がある人だけの特権でもありません。あるいは、精神力や自己管理能力の問題でもないのです。むしろ、原理とコツさえつかめば、驚くほどスムーズに身につけることができます。(堀田秀吾)
「なぜ、自分は決めたことを続けられないのか?」 そう自問したことは、一度や二度ではないはずです。朝活を始めたのに、数日でやめてしまった。ダイエットや筋トレも、始めた当初は高いモチベーションがあったのに、気づけば元の生活に戻っている。先輩に勧められて始めた日記も、三日坊主で終わってしまう。 多くの人が、こうした「続かない自分」に落胆し、自信を失います。
私たちは「習慣」と聞くと、つい「強い意志」が必要だと思いがちです。でも実は、習慣が続かないのは意志が弱いからではなく、正しいやり方を知らないだけなのです。そう気づかせてくれるのが、明治大学教授の堀田秀吾氏のハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科 人生が変わるテクニック112個集めましたです。
この本には、人生を変える3つの原理と112の習慣が、科学的な根拠とともに丁寧に紹介されています。驚くのは、どの習慣も「今すぐに始められる」こと。そして、難しい理論や特殊なツールは一切必要なく、日常の中で無理なく取り入れられる行動ばかりだという点です。
たとえば、この本の軸となる「3つの原理」は、どれも非常にシンプルで、しかも実感しやすいものです。
①まず動く(体が先、脳が後)
やる気が出てから行動しようとするのでは、いつまで経っても始められません。気持ちが整うのを待っていたら、ついスマホを見たり、他のことに気を取られてしまうものです。でも実は、行動が先で、やる気はあとからついてくるのです。
たとえば、仕事を始めるときも、まずパソコンを開いて、カレンダーを確認する。たったこれだけでも「始めるきっかけ」になり、自然とスイッチが入るようになります。脳は一度動き出すと、そのままの流れで“やる気モード”に切り替わる性質を持っているのです。
そのカギを握っているのが、脳の「側坐核(そくざかく)」と呼ばれる部位です。側坐核は、やり始めると止まらなくなるという特性に深く関わっていて、ここが刺激されることで集中力や意欲が高まることがわかっています。そして、この側坐核を活性化させるには、まず体を少しでも動かすことがとても大切なのです。
つまり、「始める前に考えすぎるな、まずは動こう」ということ。難しく考える前に、一歩を踏み出してしまえば、脳は自然とその流れに乗ってくれるのです。小さなアクションが、意志の力よりもずっと強い原動力になる──これは、習慣化の第一歩として覚えておきたい大事な原理です。
②すでに備わっている習慣にくっつける(ハビット・スタッキング)
新しい習慣を身につけたいとき、いきなりゼロから始めようとすると、うまくいかないことが多いんです。でも、すでに日常の中で無意識にやっている行動に“ちょっとだけ”新しい習慣をくっつけてみると、驚くほど自然に続けられるようになります。
これが「ハビット・スタッキング」と呼ばれる方法です。たとえば、「歯を磨いたあとに瞑想をする」や「朝コーヒーをいれたら、その流れで日記を書く」といった具合です。既存の行動に新しい習慣を組み込むことで、脳がそれを“当たり前の流れ”として覚えるようになります。
私自身も、まさにこの方法で変われた一人です。 以前は何度チャレンジしても続かなかった日記が、「朝のカフェラテをいれたら、感謝日記を開く」という流れを決めたことで、習慣化できました。特別な努力をしている感覚もなく、むしろ心地よいルーティンとして毎朝をスタートできるようになりました。
私たちが想像している以上に、「感謝」という行為は大きな効力を発揮します。たとえば、カリフォルニア大学デイヴィス校のエモンズ氏とマイアミ大学のマッカラフ氏が実施した研究では、1日に感謝できることを書き出す「感謝日記」をつけるだけで、幸福度が25%もアップすることがわかっています。
③環境を利用する(ナッジ=そっと後押しする仕組み)
たとえば、リモコンをテレビのそばではなく棚の中にしまっておけば、テレビをつけるのが少し面倒になって自然と視聴時間が減る。逆に、運動を習慣にしたいなら、ウェアと靴を見える場所に出しておく。人は、環境によって行動が驚くほど変わるのです。
自分を責める前に、まず「仕組み」を変える。そのほうが、ずっとラクに続けられるのです。 こうした3つの原理に沿った112の習慣が、この本には詰まっています。しかも、そのどれもが「自分を責めずに」「無理なく」「自然と続く」よう設計されているから驚きです。今日はこの中からいくつか紹介したいと思います。
「小さな習慣」が、人生を変える!
人間の行動の45パーセントは習慣化されたものである。
私たちの行動の約45%は、すでに習慣として定着しているものだといいます。これはデューク大学のデイビッド・T・ニール博士らの研究によって明らかになった事実です。言い換えれば、日々の行動のほぼ半分が、無意識のうちに繰り返されるルーティンなのです。面倒だと感じることも、いったん習慣になれば自然と行動に移せるようになります。
たとえ複雑に思えることでも、繰り返すことで自動化され、ラクに続けられるようになるのです。 私たちの脳はセルフトークで自分に問いかけることで働き始めます。「今日は何から始めよう?」「今できることは何だろう?」そんなふうに自分と対話をすることで、思考がポジティブな方向へと動き出します。
また、パブリックコミットメント──つまり、人に向かって目標を宣言することも、習慣化の大きな助けになります。「今日はブログの記事を10行書く」といった手軽な目標を自分に課すことで、プレッシャーなく達成感を得られます。その小さな成功体験が少しずつ積み重なり、自信や自己肯定感が育っていくのです。
実は私自身が著者になれたのも、このパブリックコミットメントのおかげでした。「本を出したい」とSNSで発信したことがきっかけです。最初は「無理だよ」と笑う人もいましたが、一方で応援してくれる人や、親身にアドバイスをくれる人たちも現れました。それが励みとなって、毎日書くこと、発信することをルーティンにできたのです。そしてそれが、やがて出版という形で現実になったのです。
そして、何より大切なのは「完璧を目指さないこと」。すべてを一度に取り入れる必要なんてありません。気になったことを、ひとつだけ。まずは一週間だけ試してみる。それだけでも、心と体に小さな変化が生まれはじめます。その変化がやがて人生の土台となっていく。まさにそれが、「本当の意味での習慣化」なのです。
作家の村上春樹氏は、1日に5時間と執筆時間を決めており、どんなに調子が良くてもその時間が来たら筆を止めるそうです。あえてキリの悪いところで終わらせることで、翌日また自然と続きを書きたくなる。そのやり方は、「ツァイガルニク効果」と呼ばれる心理現象を活用していると著者は指摘します。
脳は中断されたことを「気になる」と感じやすく、次の行動への意欲につながるのです。習慣を続けるためには、「やりすぎない」「余白を残す」ことも大切なのだと教えてくれます。
さらに、静岡大学が文部科学省の委託で行った大規模調査では、小中学生の生活習慣と学力の関係が明らかにされました。読書が好きな子どもほど、すべての教科で平均正答数が高く、特に「1日30分以上1時間未満の読書」が学力向上に効果的であることが示されています。
無理なく続けられるちょうどいい長さの読書が、集中力や理解力を育み、学びの質を底上げしてくれるのです。私も日々の読書とこのブログを習慣化することで、集中力を高められたので、効果を実感します。
習慣は、心の動きにも深く関わります。たとえば、ジャンクフードが無性に食べたくなるとき──それは、身体の欲求というより、心のストレスがサインを送っているのかもしれません。「ああ、今ちょっと疲れてるんだな」と気づくだけでも、無意識の選択を意識的に切り替えるきっかけになります。私の場合は、疲れるとラーメンが食べたくなるのですが、こうならないために仕事を上手にコントロールしたいと思います。
そういった小さな意識の変化が、心の安定や習慣の質にも影響していくのです。 この本の素晴らしいところは、そうした日常のほんの少しの行動を、習慣という力に変えてくれる視点を与えてくれるところにあります。
科学的なエビデンスをベースにしながらも、紹介されている112のアドバイスはどれもすぐに試せることばかりです。「これなら私にもできそう」と思えることがたくさんあるのです。 もし今、あなたが「なかなか続かない自分」に悩んでいたとしても、大丈夫です。この本がそっと背中を押してくれます。
大きな変化は、小さな一歩から始まります。そしてその一歩は、今日この瞬間からでも踏み出すことができます。科学が証明するすごい習慣、あなたの毎日に、ぜひ取り入れてみてください。
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