仕事の質を高める休養力
角谷リョウ
フォレスト出版
仕事の質を高める休養力(角谷リョウ)の要約
角谷リョウ氏の『仕事の質を高める休養力』では、疲労回復には「疲労を出す」「完全に休む」「充電する」の3ステップが必要と説かれます。エナジードリンクやサウナなどは疲労感を一時的に緩和するだけで、真の回復にはなりません。正しい休養がパフォーマンスやダイエットにも直結すると著者は指摘しています。
疲労回復の3ステップ
疲労回復の3ステップを理解しておけば、慢性疲労で手遅れになる前に、お金と時間を無駄にすることを避けられます。(角谷リョウ)
先日から出張が続き、疲れがなかなか取れない日々が続いていました。そんな中で手元に届いた一冊が、睡眠コーチ・角谷リョウ氏の仕事の質を高める休養力です。
疲れが取れないとき、多くの人が次のような解決策を思い浮かべるのではないでしょうか。
1.とりあえず寝る
2.日曜日にのんびり過ごす
3.日帰り温泉に行く
4.マッサージの施術を受ける
5.アスリート推奨の寝具やウェアを使う
どれも「疲労回復」に効きそうな方法ばかりですが、著者の角谷氏はこれらを「すべて間違い」だと断言しています。 角谷氏は、上場企業を中心にこれまで160社、延べ16万人のビジネスパーソンのパフォーマンスを改善してきた、まさに最強の睡眠コーチです。
そんな彼が伝えるのは、「多くの人が信じている疲労回復法は、実際には疲労感を取っているだけで、本当の意味での疲労は解消されていない」という事実です。
私たちの周りには、回復アイテムや健康情報があふれています。しかし、それらに頼る前にまず知っておきたいのが、疲労回復のための3つのステップです。このステップを理解しておけば、慢性疲労で動けなくなる前に、お金や時間を無駄にせず、確実に回復に向かうことができると言うのです。
・ステップ①「疲労を出す」
疲労・脳・胃腸・モノ・情報といった“不要なもの”をすべて出し切ることが第一歩です。体だけでなく、心と環境の整理も含めて、徹底的に“デトックス”する必要があります。
・ステップ②「完全に休む」
出し切ったあとは、とことん休むこと。ここで大切なのは「ちゃんと休んでいるつもり」ではなく、「完全に休み切る」こと。仕事のことを考えながらの休息は、実はまったく休めていないのです。
・ステップ③「充電する」
十分に休ませた心身に、はじめて“エネルギーを満たす”ことができます。この段階に入ってから、はじめて栄養や運動、ポジティブな情報が効果を発揮するのです。 「とりあえず寝る」では解決しない。だからこそ、順番が大事なのです。
今日は本書の中から気になった効果的なメソッドをいくつか紹介します。
栄養ドリンクやエナジードリンクは疲労に効果がある?
栄養ドリンクもエナジードリンクも疲労は取ってくれない。
以前の私は、栄養ドリンクやエナジードリンクを常備していました。出張や会議が立て込むと、つい手が伸びる。飲めばたしかに頭がスッキリして、やる気も出てくる。「これで疲れも吹き飛んだ!」と感じていたのですが……実はそれ、大きな勘違いだったのです。
以前、調子が悪かった時にドクターにこう言われたことがあります。「エナジードリンクは、疲れをごまかしているだけですよ」と。その一言が、私の意識を大きく変えました。
著者も日本人のエナジードリンクの使い方は明らかに間違っていると指摘しています。海外では「一時的にやる気を回復させる飲み物」として認識されているのに対し、日本では「本当に疲労を回復してくれるもの」と信じている人があまりにも多いというのです。
でも、エナジードリンクや栄養ドリンクに含まれる糖質、多リン、カフェインといった成分は、脳を一時的に活性化させたり、疲労感を感じにくくさせたりするだけ。疲労そのものを回復させる力は、実はまったくないのです。
むしろ問題なのは、疲労を感じにくくなることで、回復のタイミングを逃してしまうことなのです。つまり、「元気になった気がする」ことで、ますます疲れをため込んでしまうという負のループに入ってしまうのです。 そしてこれは、エナジードリンクに限った話ではありません。
サウナやマッサージ、日帰り温泉など、リラックス系のサービスも同じです。本来は「疲労感を和らげる」ためのものであるはずが、日本では「疲労そのものが回復する」と誤解されて使われているケースが非常に多いのです。 たしかに疲労感を取ることは大切です。でも、本当に大切なのは、身体と心に蓄積された疲労そのものをきちんと取り除くことが大切です。
疲労を回復させること不思議なほど理想体重に近づくのは珍しいことではありません。
現代人が太りやすくなっている原因について、著者は明確に2つのポイントを挙げています。 ひとつ目は、日々のストレスや疲労の蓄積によって、仕事中や夜遅い時間に太りやすい食事を我慢できなくなってしまうことです。 疲れていると、つい甘いものや揚げ物、ラーメンなどの高カロリーな食べ物に手が伸びてしまいます。これは意志の弱さの問題ではなく、脳が「エネルギーが足りない」と錯覚してしまうために起こる現象です。
ふたつ目は、慢性的な疲労によって、脂肪をため込みやすく、分解しにくい体になってしまうことです。疲れが抜けない状態が続くと、基礎代謝も低下し、自然と運動量も減っていきます。その結果、知らず知らずのうちに「太りやすく痩せにくい体質」ができあがってしまうのです。
しかし、逆に言えば―― しっかりと疲労を回復することができれば、夜中のドカ食いも自然と減り、日中の代謝や活動量も上がっていきます。無理な食事制限や激しい運動をしなくても、体が本来の機能を取り戻し、「痩せやすい体質」へと変わっていくのです。
つまり、疲労回復を優先することで、 過食の抑制 ・代謝の改善 ・運動量の増加という一石三鳥のメリットが得られるというわけです。
多くの人は、ダイエットといえばまず「食事制限」や「運動」を思い浮かべるかもしれません。しかし、その前に大切なのは「疲れを取ること」だったのです。実はそれだけでも、かなりのダイエット効果が期待できるのです。
また、休日の最終日、特に出勤前日の過ごし方はとても重要です。多くの人は「最後の休みだから」と夜更かしをしたり、だらだらと過ごしてしまいがちですが、これでは翌日の朝から疲れを引きずってしまいます。
角谷氏は、日曜日や出勤前日の休日こそ、できるだけ平日と同じリズムで過ごすことを勧めています。寝る時間や起きる時間を平日に近づけることで、体内時計が乱れず、出勤日の朝をスムーズに迎えられるのです。
これら以外にも、角谷氏のメソッドには、効果が期待できるものが数多くあります。
・温泉で疲労を出したら、休息をしっかりとる
・アクティブレストで疲労物質を体外に出す
・疲労を出し、完全に休んでからしっかりと充電する
・視界の範囲に自然を置く
・水、コーヒー、お酢、お茶を戦略的に摂る
・就寝前の体リセット
どれも、無理なく生活に取り入れられるシンプルな方法ばかりです。
角谷氏のアドバイスは、働く現代人にとって非常に実践的で、すぐにでも試してみたくなる内容ばかりです。自分の疲れがなかなか取れないと感じている方は、まず「疲労を出す」「完全に休む」「充電する」という3つのステップを意識してみると良いと思います。 これまでとはまったく違う、「本当の回復」が実感できるはずです。
本書は角谷氏からご恵贈いただきました。
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