「学ぶ姿勢」を学ぶ (エリカ・アンダーセン)の書評

the word learn spelled with scrabble letters on a wooden table

「学ぶ姿勢」を学ぶ
エリカ・アンダーセン
ダイヤモンド社

「学ぶ姿勢」を学ぶ (エリカ・アンダーセン)の要約

変化の激しい時代において、学び続ける力は必須です。エリカ・アンダーセンは、学びを深めるための4つの特性として「願望」「自己認識」「好奇心」「弱みの受容」を挙げています。これらは誰でも身につけられる能力であり、行動としての学びを通じて、変化を味方につけることができます。

学びを深めるための4つの特性

目まぐるしく変化する世界で成功するためには、単なる読書や教室での講義による知識の獲得ではなく、新たな物事に対する偏見に抗い、成長の機会を求めて周囲を見渡し、従来とはまったく異なる能力を身につけようとする学びの姿勢が求められる。(エリカ・アンダーセン)

変化のスピードがかつてないほどに加速している現代において、学び続ける姿勢は、もはや選択肢ではなく必須の要素となっています。テクノロジーの進化は止まることなく、AIやロボティクスなど、数年前には想像もできなかった世界が、今まさに現実となりつつあります。

働き方も大きく変化し、リモートワークや副業、ジョブ型雇用など、個人の生き方にも柔軟性と適応力が問われる時代です。 こうした環境下で、過去の成功体験や知識だけに頼っていると、気づかぬうちに時代の変化に置いていかれてしまいます。

これまで通用していたやり方が突然通用しなくなる。そうした経験をすでにされている方も多いのではないでしょうか。変化に直面したときこそ、私たちは「学び直し」や「自らをアップデートする力」が求められるのです。

変化に適応し、効果的に学びを深めるための「4つの特性」を明らかにしています。
①願望を持っていること
②自己を正しく認識していること
③好奇心があること
④自己の弱みを受け入れること

①Aspiration(願望)
まず大切なのは、「学びたい」「もっと成長したい」という内発的な動機です。人から言われて仕方なく学ぶのではなく、自らの意思で未来に向かおうとする意志。それがなければ、どんな学習プログラムも長続きしません。これはキャリアアップのためだけでなく、よりよい人生を生きるための根本的な欲求でもあります。自分自身がどんな未来を望んでいるのか、そのイメージを明確に持つことが、学びの原動力となるのです。

②Self-Awareness(自己認識)

次に重要なのは、自分自身を正しく理解する力です。自分の強みは何か、逆にどこに課題や盲点があるのか。それを客観的に見つめることができなければ、成長の方向性を見誤ってしまいます。正確な自己評価ができれば、自分に本当に必要なことが見えてきて、そこに学びの時間とエネルギーを集中させることができるようになります。

とくに現代は、SNSや周囲の評価に影響を受けやすい時代です。だからこそ、自分の内側にしっかりと軸を持ち、等身大の自分と真摯に向き合う姿勢が欠かせません。その際には、理想とする自分の姿を具体的に描き、今の自分とのギャップを認識することが、学びをより深めるきっかけになります。

自分の好奇心を大切にして、学びを深めよう!

我々には好奇心があるからこそ、自力でこなせるようになるまで何かを試し、理解できるようになるまで考えるのだ。

③Curiosity(好奇心)
変化の激しい時代において、好奇心は最大の武器になります。未知の世界に対して「怖い」と感じるか、それとも子どものように「面白い」と思えるか。その違いが、学びの質に大きな差を生み出します。

知らないことや、わからないことに目を背けるのではなく、自ら進んで触れていく。その姿勢こそが、新しい扉を開く鍵になります。日常の中にある小さな「なぜ?」に敏感になることが、学びの入口なのです。

私自身も日々、好奇心を原動力に、自分をアップデートし続けています。たとえば、新しいテクノロジーを積極的に取り入れたり、多様なジャンルの書籍を読んだり、各分野のスペシャリストと対話を重ねることで、新たな視点や知見を得るようにしています。

心理学者のキャロル・サンソーネによれば、「仕事のやり方をどのように変えれば、もっと面白くなるか」を考えることによって、必要な仕事に対する意欲が高まるといいます。

つまり、「この仕事は退屈だ」と感じたときに、そのままにせず、「もし私に◯◯ができたら、どうなるだろう?」と問いを立てることで、仕事そのものに対する見方が変わり、モチベーションが高まっていくのです。

好奇心を持って身の回りに目を向けることで、課題を解決するためのヒントが得られ、自然と学びへのモチベーションも高まっていきます。

優れた学習者は初心者という状態を受け入れ、自分の弱みをさらけ出すことができる。実際には彼らは内なる声を管理することで、初心者の状態に引き戻されてもそれほど悪いことではないと考えるようになる。 

④Vulnerability(弱みの受容)
最後に、最も大切なのが「弱さを受け入れる勇気」です。失敗を恐れず、完璧でなくても挑戦する姿勢は、現代の学びに不可欠です。従来の日本社会では、弱みを見せることはネガティブに捉えられがちでした。

しかし、本当の強さとは、弱さを隠すことではなく、それを認め、学びの材料に変えることだと私は感じています。素直になれる人ほど、成長も早いのです。 これらの特性を身につけている人は、ただ知識を詰め込むだけの学びではなく、変化を歓迎し、自らの枠を超えて成長する「本質的な学び」に取り組むことができるようになります。

私は長年、社外取締役やコンサルタントとして、これまで数多くの企業経営者と向き合ってきました。事業再編、業態転換、新規市場への挑戦など、大きな変化の波の中で成果を出し続ける人たちには、驚くほど共通したマインドセットがあります。それこそが、まさにエリカ・アンダーセンの示した4つの特性なのです。

そして注目すべきは、これらの特性が決して「特別な人にしか備わらない資質」ではないという点です。ある心理的なツールやフレームワークを活用することで、誰でも意識的にこれらの能力を育てていくことができます。つまり、学び続ける力は才能ではなく選択なのです。

今、私たちに求められているのは、教室や本の中だけで完結する学びではありません。世の中の空気を敏感に感じ取り、自分の枠を超えて動く「行動としての学び」です。

固定観念や過去の成功体験を手放し、変化を恐れるのではなく、むしろ変化そのものを味方につける。そして、未知の領域に一歩を踏み出す勇気を持つことが、これからの時代を生き抜く鍵になるのです。

その第一歩として、まずは「自分は何を学びたいのか」「どうなりたいのか」と、心の声に耳を澄ませてみてください。学びの扉は、いつだって外ではなく、内側から開くものです。そしてその扉の先には、きっとあなた自身もまだ知らない、可能性に満ちた未来が広がっています。

最強Appleフレームワーク


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

Ewilジャパン取締役COO
Quants株式会社社外取締役
株式会社INFRECT取締役
Mamasan&Company 株式会社社外取締役
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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