AI時代の[お金を稼ぐ力] (本田健)の書評

a person holding a cell phone in their hand

AI時代の[お金を稼ぐ力]
本田健
きずな出版

AI時代の[お金を稼ぐ力] (本田健)の要約

ベストセラー作家・本田健氏の『AI時代の[お金を稼ぐ力]』は、AIと共存しながら自分らしく豊かに生きるための視点を示す一冊です。創造力や段取り力、共感力、人脈力など人間ならではの力を活かし、信頼関係を築くキーパーソンとしての価値や、感謝が循環する収入の仕組みづくりの重要性が語られています。

AI時代に求められる10の要素

人間の感性や共感、創造性が必要な仕事は、これからますます価値が高まるでしょう。(本田健)

ベストセラー作家の本田健氏の最新作AI時代の[お金を稼ぐ力]は、AIが急速に社会へ浸透する現代において、働き方や生き方、そしてお金との向き合い方がどう変化していくのかを考える上で、大きな気づきを与えてくれる一冊です。

AIに仕事を奪われるという不安にとらわれるのではなく、AIをうまく使いこなして、自由で豊かに生きる力を育てていくことの重要性が語られています。

本書は、単なるお金儲けのテクニック本ではありません。「自分らしい人生を築くための武器」としてのお金を稼ぐ力を提案しており、読者がより人間らしく、情熱を持って生きるためのヒントが数多く詰まっています。

AIがルーティンワークや雑務を代行してくれることで、私たちは単純作業から解放され、より創造的で人間らしい時間を生きることが可能になります。

著者は、人生で守るべき大切なものとして「時間」「情熱」「自分らしさ」の3つを挙げています。自由な時間があれば日々の生活はより充実し、情熱を持てる仕事や人生を選ぶことで本当の豊かさを感じられます。また、自分らしさを失ってしまえば、どれだけ便利な時代でも幸福感は得られません。

さらに、AI時代に求められる人間的な力として、以下の10要素が紹介されています。これらは、AIでは代替できない、人間ならではの価値ある力です。AIが進化するほどに、こうした本質的な力がさらに求められるようになると説かれています。

・想像力
未来を描き、新しい可能性を創造する力

・思考力
物事を深く考え、本質を見抜き、最適な答えを導き出す力

・リサーチ力
氾濫する情報の中から真実を見つける力

・経済力
経済的に自立し、自由な選択をする力

・仕事力
仕事を上手に進める力

・段取り力
物事をスムーズに進めるために、見えないところで準備を整える力

・実行力
考えたことを実際に形にする実践力

・共感力
他者の気持ちを理解し、寄り添う力

・人脈力
良質な人間関係を築き、協働する力

・人間力
信頼される人格と魅力 

AI時代にはコミュニティが重要な理由

AI時代にどれだけテクノロジーが進化しても、人が本当に求めるのは、心が温まる「場」です。あなたの想いや理念に共感した人たちが集まり、お互いに刺激を与え合い、成長できる。その場を用意できる人が、これからの時代に選ばれ続けます。

お金を稼ぐ力を身につけるためには、まず、AIを恐れるのではなく可能性として捉え、好奇心を持って接する姿勢が重要になります。

未来の自分、10年後の理想の自分から逆算して、今の選択を考え、情熱を注げる仕事(ライフワーク)と安定した収入(キャッシュフロー)の両方を意識することが、これからの時代を生き抜くための軸になります。

さらに、AIに代替されにくい力として、創造力、共感力、そして物語を生み出す力を高めることが勧められています。こうした力を育てることで、AIと共演しながら活躍できる「ハイブリッド人材」としての価値が高まります。

本書では、AIを活用した学び直しの方法や、人と人との信頼関係を深める仕事の重要性についても語られています。特に、人の心を癒せる人や、先生やメンターのように安心感を与えられる存在、そして相手の気持ちに寄り添える共感力のある人の価値は、これからの時代にますます高まっていくとされています。

AIは情報を結びつけるのは得意ですが、人と人の「信頼関係」を築くことはできません。ビジネスマッチング、紹介、コラボレーションの場づくり、オンラインコミュニティの運営などは、人間だからこそ可能な仕事です。人脈をつなぎ、新しい関係性を生み出す「キーパーソン」になれば、そのネットワーク自体が大きな価値になります。

人と人をつなぎ、新しいつながりを生み出せる人は、今の時代にとても価値のある存在です。そうした人が持っているネットワークそのものが、大きな強みになります。こうした信頼関係を築く力は、AIやテクノロジーには真似できない、人ならではの力といえるでしょう。

また、お金の稼ぎ方についても、実践的な提案が数多く紹介されています。副業への挑戦、新たなマーケットの開拓、自動収入の仕組みづくり、SNSやオンラインコミュニティを活用したブランディング戦略など、AI時代に即した多様な手段が解説されています。

ただ稼ぐだけではなく、「ありがとう」が循環する仕組みを整えることが、持続可能な豊かさにつながるという考え方も印象的です。自動収入の流れを年に1本ずつ増やしていくことが推奨されており、AIの力を活用すれば、その実現も現実的になりつつあると本田さんは述べています。

あわせて紹介されている「感謝をお金に変える3つの習慣」も心に残る内容です。まずは、目の前の人を大切にし、どんなに大きな夢があっても、まずは顧客や仲間、家族に誠実に向き合うこと。

次に、自分の価値を自分自身が認めること。自信を持って提供した価値に報酬を受け取ることを遠慮しない姿勢が大切です。

そして、受け取った感謝を社会や周囲へ循環させること。感謝を還元することで、自分のもとにも再び豊かさが戻ってくるという好循環が生まれます。

AI時代に備えるマネープランとしては、時間や収入の可視化、自動収入ラインの構築、AIに任せる仕事を明確にする、価値ある支出の見極め、家族・仲間とのコラボ収入もでるなど、7つのステップで構成された具体的なアプローチが紹介されています。段階的に実行できる内容になっており、誰でも着実に取り組める実用性の高い提案です。

どれだけAIが進化しても、人々が本当に求めるのは、心が温まる「場」であると本田氏は述べています。自分の想いや理念に共感してくれる人たちが集まり、お互いに刺激し合い、共に成長できる空間を生み出せる人が、これからの時代に必要とされるのです。

そのためには、ただ情報を並べるのではなく、自分自身の物語を人間らしく伝えることが大切です。ストーリーが加わることで、メッセージはより深く心に響くようになります。

「未来は奪われるものではなく、自分で選び、創り出すもの」。これは本書全体を貫く強いメッセージです。AIは情報を整理し、効率化する力を持っています。だからこそ私たちは、創造し、共感し、物語を紡ぐといった人間らしい仕事に集中できるのです。AIは敵ではありません。私たちの可能性を広げてくれる、共に進化していくパートナーなのです。

最強Appleフレームワーク

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

Ewilジャパン取締役COO
Quants株式会社社外取締役
株式会社INFRECT取締役
Mamasan&Company 株式会社社外取締役
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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