独学の地図(荒木博行)の書評

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独学の地図
荒木博行
東洋経済新報社

本書の要約

学びは日常生活の一部であり、年齢や立場に関係なく、常に自己成長のために取り組むことができます。日常の経験をラーニングパレットに構造的に整理することで、新たなキャリアへの道が開けることもあります。つまり、学びは自己成長と新たな可能性を切り開く、日常生活の楽しい一部なのです。

行為、能力、土台、という独学の3階層の構造を理解し、実践しよう!

一般的な地図は、他者が描くもの。しかし、「独学の地図」は「自分だけのオリジナルの知の体系」という意味で使っています。 (荒木博行)

時代が大きく変化する中で、アンラーニングやリスキリングの重要性が指摘されています。テクノロジーの進化やビジネスモデルの変化に対応するために、新しい知識やスキルを学ぶことが求められています。しかし、学び続けることは容易なことではありません。

特に組織の中では、変化に対する抑制意識が働き、変化を負荷として捉えてしまうことがあります。こうした状況において、まずは個人から変わることが大切になります。一人ひとりが独学を習慣に取り入れることで、変化を予見し、やがてそれに適応できるようになります。日常の中にある様々な経験や課題を学びの場と捉え、自己成長を促進するために独学をスタートしましょう。

独学は、自らの意思で学びを進めることであり、自己責任が求められます。しかしその一方で、自分のペースで学ぶことができ、自分の興味や目標に合わせて学びを進める柔軟性があります。他者のスケジュールに縛られることなく、自由な時間に学ぶことで、より効果的な学習が可能となります。

また、独学によって自己成長を追求する姿勢を身につけることで、変化への抵抗感が薄れ、新しいアイデアやスキルを積極的に取り入れる姿勢が育まれるでしょう。組織内での変化にも柔軟に対応し、成長と発展を遂げることができます。

学びは、極めて日常的なこと。私たちが生きることと同義なのです。

「行為」「能力」「土台」という独学の3階層の構造を理解し、実践することで、日常を学びの場に変えられます。学びを自分の習慣に取り入れることで、よい人生を送れるようになります。

①行為
学びを深めていくためには、疑問を持ち、差異を認識し、他者と交流することが重要です。この3つの要素を「独学のトライアングル」と呼び、著者は日々実践していると言います。

学びで大事なことは、自分が生きてきた足跡を振り返り、何を学んできたのかを言語化することです。私たちはそれぞれ異なる経験を積んできました。同じ人生を歩んだ人など一人もいないからこそ、私たちは個々にしか描けない地図を持っています。

この地図は、私たちの独自の知的体系であり、自分だけの学び方や成長の道筋を示してくれます。 自分の足跡を振り返ることは、自己理解のために非常に重要です。過去の経験や学びを振り返ることで、自分がどのような人間であり、どのような価値観や信念を持っているのかを明確にすることができます。また、過去の成功や失敗から学んだことを言語化することで、将来の行動や選択に活かすことができます。 この独自の地図は、私たちが自分自身と向き合い、自己成長を遂げるための指針となります。

自分だけの地図を描くためには、疑問を持ち、差分を見出し、他者との交流を通じて学ぶことが重要です。疑問を持つことで、自分の知識や見解を深めることができます。また、他者との交流を通じて新たな視点やアイデアを得ることができます。さらに、差分を見出すことで、自分の経験や学びの中での成長や変化を認識することができます。

②能力
独学の地図を描くためには、自己学習の能力も重要です。自己学習のためには、「独学筋」と呼ばれる以下の5つの能力が必要だと著者は指摘します。
・自己批判筋
「自分の中に他者を飼う」自分の考えを客観的に見つめ、批判的に評価する力。

・保留筋
物事の判断をあえて決着させず、宙ぶらりんの状態に維持しておくのに使う力です。難しいコンテンツと対峙した場合、時間をかけて理解するようにします。

・抽象化筋
具体的な事実や経験から、一般的な概念や原則を抽出する力。

・具体化筋
一般的な概念や原則を、具体的な事実や経験に落とし込む力。

・表現筋
他社の心動かされる表現をストックし、模倣します。自分の考えや知識を、他人にわかりやすく伝える力。
これらの筋力を鍛えることで、自己学習の効果を最大限に引き出すことができます。

③土台
学びを継続的に行っていくためには、自分が何を学んだのかを整理し、そして今後自分が何を学んでいくのかを定めていく「地図(ラーニングパレット)」が必要になります。

独学にワクワクが欠かせない理由

パレットを整理するからこそ、自分が何を学びたいのか、ということが明確になる。そして、パレットが充実すればするほど、キャリアの可能性も開かれていくのです。 特定のキャリア像を目指して、今を犠牲にしながら歯を食いしばって学ぶスタイルではありません。今を十分楽しんで学んでいくからこそ、学びに彩りが増え、その結果後付けでキャリアの可能性は豊かになっていくのです。

パレットの解像度を高めていくか、それとも新しい色を探しに行くかという問いは、学習の方法論において重要なテーマです。一般的に言えば、まずは専門性を高めるために、既存のパレットの区分を細かくする深化型のアプローチを取ることが多いでしょう。これによって、より詳細な知識や技術を習得し、パレットの解像度を向上させることができます。

一方で、ある程度見通しが効く段階になったら、既存のパレットの外側の世界へと舵を切る探索型の学習も重要です。新しい色やアイデアを見つけるためには、既存の知識や技術だけでは限界があります。探索型学習によって、未知の領域にチャレンジし、新たな可能性を見つけることができます。

ただし、何をどの順番で学ぶべきかについては、統一的なルールは存在しません。学ぶべきことや始めるべきことは個人によって異なります。自分が興味や関心を持っていることに焦点を定めることが重要です。頭で考えるのではなく、心が求める学びたいことに向き合いましょう。ワクワクすることが見つかったなら、そこに学びの時間を割くようにするのです、

内発的な動機づけは、学びの世界においても重要です。学びを必要性だけから考えてしまうと、最低限の範囲にとどまりがちであり、必要性がなくなると終わってしまうことがあります。そのような悲しい性質があるのです。

実用的な知的欲求だけで動かされていた人こそ、純粋な知的欲求の駆動法を早いうちに知っておくべきです。実用的な知的欲求は、外部からの要求や報酬に基づいて行動するものですが、純粋な知的欲求は内発的な動機づけによって駆動されます。 純粋な知的欲求は、自己成長や学びの喜びに基づいて行動することです。それ自体にやりがいを感じているので、継続的に取り組むことができます。

内発的な動機づけは、自己の興味や好奇心に従って行動することであり、自己の主体性を発揮することができます。 内発的な動機づけを持つためには、まず自分自身の興味や関心を見つけることが重要です。自分が本当にやりたいことや学びたいことは何かを考え、それに向かって取り組むことが必要です。

さらに、学びの環境や人間関係も内発的な動機づけに影響を与えます。自分の学びの目標に合った環境を整えたり、共感や支援を受けられる人々との関わりを持つことが重要です。他者との交流や協力を通じて、自分の学びを深めることができます。

内発的な動機づけは、学びの世界だけでなく、人生に彩りを与えてくれます。自己の興味や好奇心に基づいて行動することで、より充実した人生を送ることができます。内発的な動機づけを持つことで、自己の主体性を発揮し、自己成長を達成することができるのです。

私は、ビジネスに関連する情報を得るために深耕型の読書と、ワクワクな読書を組み合わせることで、自分の人生を充実させることができました。ビジネス書をブログに書き続けることで、他の人に役立つ情報を提供することができるようになりました。同時に小説や歴史書を読み続けることで、自分の世界を広げることができました。

他の人々がビジネスに関する情報を得る手助けができるだけでなく、自分自身もブログを通じて新たな学びや洞察を得ることができました。ブログを通じて、自分の考えを整理し、他の人々との意見交換も行ってきました。

一方で、ビジネスだけでなく、ワクワクするための読書も重要です。小説や歴史書を読むことで、新たな世界や視点に触れることができます。これにより、自分の感性や創造性を刺激し、ビジネスにおいても柔軟な思考やアイデアを生み出すことができるようになりました。また、小説や歴史書を通じて、人間の心理や歴史的な出来事についても学ぶことができました。

このブログが私の独学の地図となっているのかもしれません。日々のアウトプットが、私の独学のモチベーションを高めてくれ、人生を良くしてくれたのです。 このブログを書くことで、私は自分の学びの道筋を作ることができました。自分自身の独学の旅路を追いかけるように、日々のアウトプットを通じて自分の成長を振り返ることができます。これはまさに私の独学の地図となっていました。

学びは日常生活の一部であり、年齢や立場に関係なく、常に自己成長のために取り組むことができます。それは義務感からではなく、日常の中から学びを見つける営みであり、その続行にはトレーニングが必要です。トレーニングは学習の習慣を形成し、学びを日々の活動に組み込むための重要な工程です。

さらに、日常の経験を「ラーニングパレット」に構造的に整理することで、新たなキャリアへの道が開けることもあります。つまり、学びは自己成長と新たな可能性を切り開く、日常生活の楽しい一部と言えます。日々、自分の好奇心に従い、ワクワクしながら学び続けることで、様々な知識と体験が積み上がり、自分の可能性を広げことができるのです。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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