多忙感(菅原洋平)の書評

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多忙感
菅原洋平
サンマーク出版

多忙感(菅原洋平)の要約

作業療法士・菅原洋平氏は、多忙感の正体を「脳疲労×外乱」とし、それは「やることが多い状態」ではなく「多いと感じている状態」だと指摘します。これを解消する鍵は「行為主体感」です。誰かに動かされるのではなく、自分で選び、自分のペースで動くこと。リアクションからアクションへと切り替えることで、心の主導権を取り戻せます。

多忙と多忙感の違いとは?

「自分がやりたいことを思うようにやれている感覚」こそが、多忙感を消し去る鍵だったのです。(菅原洋平)

私たち現代人は、毎日慌ただしく時間に追われるような生活を送っています。次から次へとやるべきことが現れ、気がつけば一日が終わっている。そんな「忙しさ」に支配される日々の中で、「この多忙感には解決策があるのだろうか」と悩むことがあります。

そんな時に出会ったのが、作業療法士・菅原洋平氏の多忙感でした。そもそも多忙感とは、「実際にやることが多い状態」ではなく、「やることが多いと感じている状態」を指すと、菅原氏は指摘しています。そこには、「現実」と「感覚」との間に明確なギャップが存在します。この差異こそが、多忙感の正体なのです。

たとえば、タスクを減らして物理的な多忙を解消したとしても、頭の中に“忙しいという感覚”が残ったままでは、私たちはいつまでも追われているような気分から抜け出せません。だからこそ、「多忙」と「多忙感」を区別して捉えることが、根本的な解決への第一歩になるのです。

実は、「自分がやりたいことを思うようにやれている感覚」こそが、多忙感を消し去る鍵だったのです。ただ目の前の作業をこなすのではなく、自らの意思で選び、行動しているという実感。それがあるだけで、心のざわつきは驚くほど静まっていくと言うのです。

「脳疲労」×「外乱」=多忙感。

菅原氏は、多忙感を生む背景には、「脳疲労」と「外乱(外部からの刺激)」という2つの要因があると語ります。脳疲労とは、情報処理が過剰になり、集中力や判断力が低下した状態。そして、そこに重なるようにスマートフォンの通知やSNS、騒音といった外部刺激が入ってくることで、脳はさらに混乱し、休む暇を失ってしまいます。

この「脳疲労 × 外乱」の組み合わせが、やるべきこと以上に“やることがある気がする”という感覚を増幅させ、多忙感を強めていくのです。どれだけ効率的にタスクを処理しても、脳が休めておらず、常に外からの刺激に反応し続けている限り、忙しさの感覚は消えてくれません。

だからこそ、ただ時間を管理するのではなく、脳の仕組みに沿ったアプローチが求められます。多忙感を充足感に変え、頭の中でタスクが勝手に増幅してしまう癖を解消する。そして多忙感に頭を占拠されることなく、すっきりとした思考で一日を過ごす。これこそが、本書が目指しているゴールなのです。

「行為主体感」を取り戻す! 忙しさを手放す第一歩は自分で選ぶことから

多忙感を解消するために私たちがやるべきことは、受動感覚を能動感覚に変えることです。能動感覚で、行為をしている主体感を得れば、心は充足感で満たされます。

著者は、多忙感を解消するために必要なのは、「受動感覚を能動感覚に変えること」だと述べています。つまり、何かに追われて行動するのではなく、自分の意志で選び、動いているという感覚を持つこと。それが「行為の主体感」となり、私たちの心に自然と充足感をもたらしてくれるのです。

そのための鍵となるのが「朝の使い方」です。たとえば、朝イチに自分がやりたいことをやる──たったそれだけのことで、能動感覚は簡単に得られます。スマホやメールのチェックを後回しにし、まずは自分の内側と向き合う時間をつくる。

それは、インターネットやテレビのなかった時代には、当たり前に行われていた習慣でもあります。 行動の順番をほんの少し変えるだけで、時間の流れの感じ方は驚くほど変わってきます。朝の最初の一歩を“自分が選んだ行為”で始めることで、脳は「自分でコントロールできている」という安心感を得られ、無意識のうちに多忙感を手放す準備が始まると著者は指摘します。

私自身も、毎朝のルーティンを大切にしています。カフェオレを飲みながら、「感謝日記」と「ビジョン日記」という2つの日記をゆっくり書く時間をとる。そして心が整った状態で、この書評ブログを更新するのが習慣です。

この流れが、私にとっての朝の充足感の源になっています。 こうした小さな習慣の積み重ねが、脳の余白を生み、心の余裕へとつながっていきます。多忙感から抜け出すのは、決して難しいことではありません。自分の時間を、自分の意志で始める。そのシンプルな行動こそが、満たされた一日をつくる第一歩なのです。

たとえば、菅原氏は多忙感の主な症状として、「物忘れが増える」「ぼーっとする」「あっという間に時間が過ぎてしまう」といった三大症状をあげています。これらは、実際のタスク量によるものではなく、脳の疲労や注意力の消耗によって起きるとされています。

スマートフォンの通知や絶え間ない情報の流入(外乱)によって、脳は常に反応を求められ、休む暇がありません。その結果、脳の処理能力が低下し、タスクが実際以上に重く感じられてしまうのです。

多忙感を手放していくために、何より大切なのは「自分で選ぶこと」だと、菅原氏は述べています。誰かに決められた予定にただ従うのではなく、自分のペースで、自分のやり方で一日を組み立てていく。その中で生まれるのが、「自分が選んで行動している」という実感、つまり行為主体感です。

これが、脳にも心にも余裕をもたらしてくれるのです。 予定を詰め込むのではなく、自分が今何を優先したいかを感じ取りながら動く。朝一番に、まず自分の“やりたい”を選ぶだけで、すでにその日は自分のものになっている。行為主体感を持ってスタートを切れば、それだけで多忙感はすっと軽くなっていきます。

逆に、朝から受動的にスマホの通知に振り回されてしまえば、一日の主導権は外の世界に握られてしまいます。心が置いてけぼりになるのです。 だからこそ、自分が主体となって動くこと。行為のハンドルを自分の手に取り戻すこと。それこそが、多忙感という霧を晴らしていくための一番のポイントなのです。

そしてもう一つ大切なのが、「〇〇をどうやってやろう?」というムービングエゴの感覚を取り入れることです。これは、自分が未来に向かって動いているという実感を持つための思考法でもあります。

目的に対して、能動的にアプローチしていく感覚が、自分の行動をさらに後押ししてくれるのです。ただやらされるのではなく、自分から“やりにいく”というマインド。それが、行為主体感をより強固なものにしてくれます。

シングルタスクを徹底し、余白の時間を作ろう!

多忙感の原因となる脳疲労を防ぐには、マルチタスクに自覚的になり、すべてをシングルタスクにすることです。 

多忙感から抜け出すために、菅原洋平氏は「シングルタスク」をすすめています。 頭の中に同時進行している“見えないタスク”を、自分の意志で一つずつ止めていく。 重要なのは「どのタスクを止めるか」を自分で選ぶことです。割り込みやメールも、自分のペースで処理するルールを決めておくことで、脳の混乱は静まり、集中しやすくなります。

ポイントは、1日15分だけの集中時間をつくること。短時間でも先延ばしせずに集中すると、大きな成果につながる可能性があります。これは脳が16分に1回、別のことを考え始める「マインドワンダリング」という現象に基づいています。

15分集中した後は、10秒だけ体を動かすと、脳のリセット効果が高まります。疲れ切る前に自分の判断で区切ることで、外からの邪魔による中断よりも、はるかに効率よく再集中できます。

さらに菅原氏は、単純作業を挟むことの効果も強調しています。脳には「競合の原理」があり、体を動かして感覚を刺激すると、使いすぎた思考が自然と静まります。浴槽掃除や食器洗いのような“無心”の行動が、脳疲労の回復に役立つのです。

多忙感の正体は、脳の中で起きている“過剰な思考の暴走”。 だからこそ、シングルタスク・感覚刺激・意識的な休憩という3つのアクションで、脳と心のバランスを取り戻していくことが大切なのです。

リアクションをアクションに変えるとは、 言い換えれば自分が起点となって動くということです。

特に、日常の中で無意識に行っている「リアクション」、つまり他人や環境に合わせて反応する動きが、私たちを見えない疲労に追い込みます。メールの着信音、誰かの依頼、通知、チャット……こうした外的刺激に都度対応していると、自分で動いているつもりでも、行為の主導権を手放してしまっているのです。

これに対して菅原氏がすすめているのが、「リアクションからアクションへ」の切り替えです。たとえば、メールを「届いたらすぐ確認」するのではなく、「9時と15時にまとめて対応する」と決めることで、自分のペースが取り戻せます。

自分で選び、自分で動くという“行為主体感”が、多忙感の軽減に大きく貢献するのです。 さらに、時間をむやみに使い切らないことも、多忙感を防ぐポイントです。成果を出している人ほど、無理にエネルギーを消耗せず、明日のために力を残すという習慣を身につけています。

空いた時間をすぐに別のタスクで埋めるのではなく、あえて余白を残す。その余白が、思考にスペースと自由を与えてくれます。その小さな積み重ねが、やがて「忙しさに追われる毎日」から「自分を取り戻せる日々」へとつながっていきます。 

「多忙感」に支配されていると、まだ何も始めていないのに疲れていたり、何から手をつければいいか分からず、ただ時間だけが過ぎてしまったりします。脳は情報であふれかえり、判断力も集中力も低下し、やがてはパフォーマンスまで落ちてしまう。そして、できない自分にイライラして、さらに自己嫌悪に陥る──そんな負のループが、静かに私たちを消耗させていくのです。

だからこそ、今大切なのは、「反応する日々」から「選んで動く日々」へと、少しずつシフトしていくことです。 主導権を自分の手に取り戻し、意識的に余白をつくることで、脳も心もゆとりを取り戻していきます。

リアクションで動かされるのではなく、自分の意志でアクションを選ぶ。 忙しさに振り回されるのではなく、作業の順番や時間の使い方を自分で決めていく。 そうした小さな選択の積み重ねが、少しずつ多忙感をやわらげてくれるのです。

日々を自分のリズムで進められるようになると、気づけば心も穏やかに整い、 やらなければならないことの中にも、やりたいことが見つかるようになります。 その一歩一歩が、やがて「忙しいけれど、満たされている」と感じられる毎日へとつながっていくのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

Ewilジャパン取締役COO
Quants株式会社社外取締役
株式会社INFRECT取締役
Mamasan&Company 株式会社社外取締役
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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