マーティン・セリグマンのうつにならないための2つの方法

人生は失敗だらけだ。欲しいものがすべて手に入ることはまずなく、日々挫折の連続である。私たちのような個人主義の文化では、社会が個人の喪失感をなぐさめてくれることはほとんどない。もっと”原始的な”社会では、個人が何かを失ったときはもっと親身な対応がなされるので無力感が絶望感に発展することはないのだという。(マーティン・セリグマン)


photo credit: Giuseppe Milo (www.pixael.com) A relaxing day – Florida, United States – Color street photography via photopin (license)

現代人がうつになりやすい原因

マーティン・セリグマンオプティミストはなぜ成功するかの中に
うつに関する記述があったので、今日はこちらを紹介します。
個人主義が広がることで、以前からのコミュニティが失われ
私たちは逃げ場を無くし、うつになる人が増えています。

心理人類学者のバック・シーフェリンは
ニューギニアで石器時代の生活をしているカルリ族には
うつ病がないことを見つけました。
カルリ族では、一人が飼っているブタが逃げ出したとき
持ち主が悲しむと他の部族がブタを与え、助け合うそうです。
喪失はグループによって補てんされるため
無力感が絶望感にエスカレートしません。
彼らは人との関係を築くことで、うつを発生させないのです。
一方、現代人は相互補助のシステムが脆弱化したために
無力感、絶望感から立ち直れずにいる人が増え
うつが社会問題化しています。

現代人の間にうつ病がまん延しているのは
相互補助の問題だけでなく、他にも理由があるとセリグマンは言います。

極度の個人主義は、いろいろな意味で悲観的な説明スタイルを極限まで拡大し、つまらない失敗を永続的、普遍的、個人的原因によるものと考えさせる傾向がある。個人の力が増すということは、失敗は自分のせいだということを意味する。

個人主義が広がることで、失敗が永続的で普遍的になってしまったのです。
現代人は自分よりももっと大きな存在(神、国、家庭)を
信じなくなっているため
自分の失敗を破滅的なものに捉えてしまうのです。

個人の失敗の影響が全て自分に帰結するため
失敗が人生全体に及んでしまうのです。
以前のようにより大きな存在を信じている社会では
個人の失敗がそれほど永続的でも普遍的でもなかったのとは対称的です。
個人主義の蔓延と失敗が許されないものだという考え方を
うつ病を増加させているとセリグマンは指摘します。

人間は自分がより大きな存在に属していると感じることが必要なのだ。より大きな存在に身を委ねることができればできるほど、より多くの意味を見いだすことができる。今の若い世代が神や国家との関係や義務を真剣に考えられず、いつでも帰ることのできる大きな家族の一員であると感じることができないでいるかぎり、人生に意味を見いだすことは難しい。

うつ病を排除して人生に意味を見いだすために
祖父母のような社会に戻るという議論は危険ですから
勝ち取った自由や、個人の尊重を簡単に明け渡すべきではありません。
全体主義や原理主義的宗教に憧れるのは、あまり得策ではないのです。
それではうつにならないために私たちはどうすればよいのでしょうか?

うつにならないための2つの方法

うつにならないためにもっと有望な可能性が二つあるとセリグマンは言います。

第1は、共通の認識へのコミットメントを増やすことによって、自己と共通の認識とのバランスを変えること、第2は楽観主義を身につけることだ。

共通の認識へのコミットメントを増やすためには
社会貢献が良いとマーティン・セリグマンはいいます。
寄付やボランティアなどの貢献が世の中とのつながりを生み
自分の価値を確認できるようになります。
ボランティア活動を行なっている人は
人生の意義を感じ、落ち込まなくなります。

かなりの期間このような活動を続けていると、誰でも人生に意義を感じるようになるはずだ。以前のように簡単に落ち込まなくなるかもしれないし、病気にもかかりにくくなるかもしれない。自分一人の楽しみにふけっているよりも、社会のためになることをしているという満足感が得られるだろう。いちばん大切なのは、気ままな個人主義によって生まれた空虚さがしだいに満たされてくることだ。

また、楽観主義になることで、うつを防げる可能性が高まります。
悲観論者は現実をしっかりと捉えるために自分の失敗に目を向け
必要以上に自分を責めてしまい、うつになりがちです。
マインドセットを変えて、楽観主義になるべき時には
その考え方を選択すればよいのです。
目の前のよくない状況を楽観的に眺め
それに反論することで、気分を落とさずにすみます。
楽観的な思考を選択することで、自分の未来を明るくできるようになります。

まとめ

個人主義の蔓延と失敗を許さない社会が
うつ病患者を増やしています。
これを防ぐ2つの方法をマーティン・セリグマンが紹介しています。
1つは寄付やボランティアなどを通じて、世の中に貢献することです。
そして、もう1つは悲観的に考えるだけでなく
楽観的な思考を身につけることです。
ネガティブなアイデアが浮かんだら
自分を追い詰めないために楽観的に反論を考えましょう。

参考図書 マーティン・セリグマンオプティミストはなぜ成功するか
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今日もお読みいただき、ありがとうございました。

    

    

 

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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