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シリコンバレー式超ライフハック
著者:デイヴ・アスプリー
出版社:ダイヤモンド社
本書の要約
①だれかに助けてもらえたらできる②その手段がない③方法がわからない④やりたくないと言う4つのネガティブワードをポジティブな言葉に置き換えることで、思考と行動が変わります。自分の言葉の使い方を変えるだけで、パーフォーマンスがアップするのです。
言葉が思考と行動を決める!
明快な言葉は、明快な思考と実行につながる。ふだん使っている言葉を聞いて、分析することで、無意識に自分のパフォーマンスを制限しているプログラムを解除できる。(デイヴ・アスプリー)
デイヴ・アスプリーのシリコンバレー式超ライフハックの書評を続けます。著者は私の大好きなジャック・キャンフィールドから多くのことを学びますが、言葉の使い方もその一つです。ネガティブな言葉を口癖にすると、人は悪い結果を引き寄せてしまうため、言葉遣いには気をつけましょう。
著者は以下の4つの言葉を使わないようにしています。
■できない(can’t)
■必要がある(Need)
■悪い(Bad)
■やってみる(Try)
1、できない(can’t)ーつねに100%嘘の言葉
「できない」という言葉は以下の4つに分類可能です。
①だれかに助けてもらえたらできる
②その手段がない
③方法がわからない
④やりたくない
大概のことは適切な手段と問題解決のための創造性があれば、解決できます。自分の力だけに頼らず、解決する方法を考えるようにするのです。「できない」はつねに嘘だと考える習慣を身につけておけば、脳が別の方法で問題を解決しようとしてくれます。
2、必要がある(Need)ーささいなことを重大事と勘違いさせる言葉
人間の原始的な神経システムに「必要がある」という言葉が届くと、あったらよいという程度の欲求が、生死を分ける重大事になってしまいます。意識的な脳はそんな取り違えはしませんが、脳の深い層にある原始的な部分は、「必要」が満たされなければ、死ぬと思ってしまうのです。「必要がある」という言葉は、たくさんある解決策を無意識の箱の中に押し込み、潜在意識の層でストレスを生じさせ、創造力を縛ってしまいます。
あれが必要これが必要と自分の脳に嘘をついていると、どんどん軟弱な人間になっていきます。人が本当に必要なものは、空気(1分、断たれると危ない)、水(5日)、食料(2カ月食べられなければ飢え死にする危険がある)、そして雨露をしのぐ場所と暖をとる手段くらいなものです。
「必要」という言葉は100%真実のときにだけ使うようにしよう。そうでない場合は、真実 を正しく表現する言葉に言い換えよう。たとえば「これが欲しい」「これを選ぶ」「こうすることに決める」など。
言葉を正しく選ぶことは、リーダーにとって特に重要です。選ぶ言葉によって、部下の行動が劇的に変わります。例えば、著者は自分のチームに、「締切りに間に合わせる必要がある」とは言わず、「これは重大なミッションだ。やり遂げよう。きみたちのために僕が取り除ける障害物はないか?僕が力になれることが何かあるかな?」と伝えることで、部下の行動を変えることに成功しています。
真実を伝える言葉を使えば、締め切りに間に合いそうもない場合でも、脳が解決する方法を考え、結果を変えられます。
3、悪い(Bad)ー解決の可能性を閉ざす言葉
「悪い」とレッテルを貼ることの問題は、潜在意識にその言葉が届くことで、抜き差しならない不運のように感じ、心理的にも身体的にも身がまえてしまうところにあ る。「悪い」という言葉は、実際には「好きではない」「望んでいるものではない」という意味でしかないことが圧倒的に多い。
人は雨が降ってきた時に運が悪いと感じますが、雨が降ったことで体を休めたり、読書に時間を使えます。物事の一面で善悪を判断するのをやめ、視点を変えるようにしましょう。
「悪い」という言葉は食べ物の評価基準になっていますが、そこに問題も生じています。食べ物の中には、ある人には効果があっても、別の人にはそれほどでもないというものがあります。また「悪い」食品でも、餓死しそう人に取っては、重要な食事になります。
「悪い」という言葉は、誤った二項対立を生み出す。世界は自然に2つの陣営に分かれるものではない。なるほど、暴力や自然災害など、本当に悲劇的なこともあるが、日常生活のあれこれを「善か悪か」のフィルターを通して見てしまうと、無用な軋礫が生じて、「白か黒か」の思考法に陥ってしまう。
何かに「悪い」とレッテルを貼ることで、自分の可能性を狭めてしまいます。善悪で判断する二項対立をやめ、どうしたらよくできるかを考えるようにしましょう。
4、やってみる(Try)
やるつもりがないことが織り込まれた言葉一「やってみる」には失敗の可能性の仮定がついてまわる。空港で出迎えてくれる人から、「迎えに行ってみます」と言われたら、あてにできるだろうか?できないはずだ。現れない可能心性が高いと考えるだろう。「迎えに行きます」と言われれば信じられる。
ダイエットをやってみようとか、本を読んでみようなどと自分に言い聞かせるとき、人は無意識のうちに失敗を計算に入れています。この言葉を使うことで、きっと実行せずに終わるだろうと考えています。
ジャック・キャンフィールドはある講演で、「やってみる」という言葉の影響力を納得できる形で示しました。まず聴衆に、ノートでもペンでも何でもいいから手近にある物をひざの上に置かせます。そして、「私に見えるように、それを持ち上げてください」と言います。聴衆は言われたとおりにそれをします。
次に「それをひざの上にもどしてください」と伝えると聴衆はこれも言われたとおりにします。ジャックは、「今度は持ち上げてみてください」と言うと聴衆の動きが一瞬止まります。ちらほらと数人が持ち上げだしましたが、今度は動きが鈍い人が出てきます。
「やってみる」という言葉を聞くと、それが何であれ、できないかもしれないという可能性が頭をよぎります。この言葉には脳に逃げ道を与える効果があるのです。重要なのは、自分に失敗の口実を与えず、潜在能力をフルに使って事に当たるよう脳をプッシュすることなのです。
なんでもかんでもやれば良いということではありませんが、時間と脳エネルギーの使い道として適切ではないと思うことがあれば、正直にはっきりとノーと言えばよいのです。ただし、やると決めたら全力を尽くしましょう。
『スター・ウォーズ』でのヨーダの言葉を思い出せば、やってみるでは駄目なことがわかります。
「『やってみる』はない。あるのは『やる』だけだ」(ヨーダ)
自分のパフォーマンスを下げるネガティブな言葉を使うのをやめ、ポジティブな言葉に置き換えましょう。言葉の習慣を変えることが、自分の生産性を高める早道なのです。
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