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科学的に幸せになれる脳磨き
著者:岩崎一郎
出版社:サンマーク出版
本書の要約
脳は「自分の取った行動に対してすぐに結果が見える」ということを繰り返していくと、その方向に向かって成長しようとします。食事や運動を記録するレコーディングダイエットが効果があるのも、脳がよい結果を確認することで、痩せようと言う意志が働き、正しいことが選択できるようになるからです。
なぜ、レコーディングダイエットはうまくいくのか?
脳は「自分の取った行動に対してすぐに結果が見える」ということを繰り返していくと、その方向に向かって成長しようとします。(岩崎一郎)
岩崎一郎氏の科学的に幸せになれる脳磨きの書評を続けます。記録すること、レコーディングすることは本当に重要で、脳の働きをサポートし、よい結果をもたらします。私は毎食、食べたものを詳しく記録していますが、カロリーや食事内容に気をつけることで、ベストなコンディションを維持できるようになりました。当然、レコーディングによって、体重のコントロールにも成功しています。
毎日、食べた物を記録したり、体重や運動を記録するレコーディングダイエットが効果的であることが、様々な研究結果から明らかになっています。食事や体重をレコーディングすることで、結果が可視化され、脳はその方向に向かってよい行動をしようとします。
米国・ドレクセル大学のローゼンバウム博士らの研究によると、米国の女子大学では、1年生の学生の70%の体重が増えることが明らかになりました。博士は米国の294人の女子大学生に協力してもらい、毎日体重を測定して記録をつける人たちと、それをしないグループに分けました。そして2年後の彼女たちの体重の変化を見てみると、2年間毎日体重を測定していた人たちは、しない人たちに比べてBMIが2.23倍減って、体脂肪率が2.25倍減少していました。
自分が取ったアクションに対してすぐに結果が見えるようになると、脳は「もっとやりたい」という気持ちを抱きます。自分のアクションの結果がレコーディングすることで、すぐに見えるようになると、「よし、もっとがんばろう!」という気持ちになり、積極的に行動を続けられるようになります。
セルフモニタリングがチームを強くする理由
セルフモニタリングの脳の使い方をしていると、現状と目標の差を埋めていく成長の喜びを感じる意思決定・反省・内省などの脳のネットワーク(前頭前野内側部、楔前部や後帯状回など)が活性化して、行動変化を起こします。
レコーディングはダイエット以外にも脳の働きをよくすることがわかっています。自分の行動を記録・モニタリングし、脳が成長の喜びを感じることで、自分の行動を改善できます。このセルフモニタリングはチームの力を引き出し、組織を強くすることもわかっています。
チームのメンバーがセルフモニタリングの脳の使い方をできるようになると、チームの目標達成に向けて各自が「がんばろう!」という気になり、そのための行動を取るようになります。チームのメンバーがセルフモニタリングの脳の使い方をしやすくするためには、次の3つのメソッドを取り入れる必要があります。
①成長が見えやすい指標を記録する
ダイエットの場合なら、毎日「食べたもの」だけを記録しても「成長」は見えません。食べた量やカロリーなどの具体的な数字が見えた方が、「自分はこれだけがんばれた」という成長度合いが見えます。レコーディングするものは、この「成長度合い」が見えるものがいいのです。私が食べたものの量やカロリーを記録することで、より健康になれたと書きましたが、がんばれたと思える具体的な情報を記録した方がよいのです。
リーダーはこの記録を「管理」のために使わないようにすべきです。上司が部下の管理のために使ってしまうと、「セルフモニタリング」の脳の使い方ができなくなります。管理されることで、部下のやる気はかえって削がれてしまうのです。
②成長できる具体的なアクションを決める
ダイエットなら、いまより摂取カロリーを減らして、運動量を増やせば体重は減ります。今月の支出を先月より減らせば、借金がない人なら確実に貯蓄額は増えます。「これをすれば確実に成長できる」という具体的なアクションを明確にすることで、人はより努力できるようになります。
③「自分は成長できる」という気持ちを持つ
何事も、人は苦痛になると続けられなくなります。苦痛にならずに、わずかでも「自分は成長できている」という実感が持てれば、行動を続けられます。周囲の適切なサポートがあれば、人は辛いことでも継続できます。リーダーは部下を応援し、ポジティブな関わりを持つことで、その人の能力を引き出せ、結果、組織を強くできます。
家族、学校、職場、さらに、地域のコミュニティでも、どんなコミュニティに属していようと、「心温まる、心をひとつにできる人間関係」を築くことで、人と人の絆が生まれ、「集合知性」が現れます。一人一人が成長できると考え、お互いをサポートすることで、脳のつながりが強化されるのです。個々の脳内ネットワークを強化し、利他の心を持って、それを他者につなげることで、素晴らしい組織を作れるようようになります。
また、チームを強くする集合知性を発揮するためには、次の3つの要素が不可欠になります。
①お互いの気持ちや視点を受け入れて、お互いの立場に立てる
②対等に発言できる、あるいは本音でぶつかれる
③メンバーが共感できる共通の目的に向かって心をひとつにできる
この3つの要素を満たしている関係こそが、「心がひとつとなるような関係」言えるのです。集合知性を発揮できる人間関係を育むことで、自分と周りの人も深い心の絆でつながり、チームで様々な困難を乗り越えられるようになります。
ハーバード大学のジョージ・バイラント博士の75以上続く研究でも、幸せで豊かに人の共通点が明らかになっています。生まれ育った環境には関係なく、どんな環境下の人でも、温かみのある、心をひとつにできる人間関係をずっと持ちつづけられていることで、幸せな人生を送れるようになります。知能指数や頭の良さは、幸せで豊かな人生との相関関係はないということもわかってきました。お互いが相手の成長や行動に目を向け、よい点に注目することで、私たちの幸福度はアップします。
幸せになるためには、人との関係を重視した脳をつくることがの方がはるかに重要なのです。脳のつながりをよりよくすることで、心温まる人間関係を作れ、「集合知性」が強化されていきます。脳というのは他者の存在から力を得ます。このことを忘れずに、他者を仲間と思い、お互いの力を引き出すようにしましょう。
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