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カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方
著者:唐澤俊輔
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
本書の要約
経営者はカルチャーを言語化し、可視化し、それを社内外に浸透させなければなりません。企業と社員の期待値ギャップを減らし、誰もが自分にとって「いい会社」を見つけられる「カルチャーモデル」を推進すべきです。カルチャーを明らかにすることで、社員が判断に迷わなくなり、組織の生産性が高まります。
企業にカルチャーが重要な理由
社員にとって「いい会社」とは極めて主観的な概念であり、普遍的に誰にとっても「いい会社」というわけではないことです。あくまで個人の主観として、自分の期待する通りの環境であれば、「いい会社」だと捉えられる。言い換えれば、「社員が期待する環境と、会社が提供する環境のギャップがない(少ない)会社」を「いい会社」だと定義することができます。(唐澤俊輔)
マクドナルド・メルカリ・SHOWROOMで事業と組織の成長を加速させてきた唐澤俊輔氏は、企業は事業戦略としてビジネスモデルを考えるのと同様に、カルチャーモデルもロジカルに考えるべきだと言います。
社員は会社に対して抱いていた期待と、実際の働く環境や条件に差分がある期待値ギャップがあることで、不満をつのらせます。自社を「いい会社」にして、社員を定着させ、ポジティブに働いてもらう絶えには、「適切な期待値を設定する」ことが重要になります。
■意思決定や情報共有の方法
■権限委譲の度合い
■残業の有無
■働き方
■コミュニケーション
などの業務遂行上のやり取りや環境、社内外で感じられる雰囲気や空気感のすべて、つまり「組織文化」や「企業風土」と呼ばれるものが、社員の期待値とズレないように設定します。
「組織文化」や「企業風土」は会社の歴史が積み重なりつくりあげられたもので、多くの場合きちんと明文化されてはいません。 組織におけるカルチャーは、企業にとっては無形資産となり得るものです。いわゆる「あうんの呼吸」と言われるように、暗黙知として共有され、その都度説明しなくても適切に物事が進んでいくわけです。けれども言語化されていないだけに、厄介な問題を引き起こします。 こういった不幸を生み出してしまうのは、期待値ギャップに起因しています。
経営者はカルチャーを言語化し、可視化し、それを社内外に浸透させなければなりません。企業と社員の期待値ギャップを減らし、誰もが自分にとって「いい会社」を見つけられる「カルチャーモデル」を推進すべきです。社員が会社に満足し、ロイヤルティ(忠誠心)高く働きつづけてくれることで、企業は長期的に成長できるようになります。
カルチャーモデルの7つのS
事業と組織は両輪と言われます。事業においては、ビジネスモデルが可視化され、その中で事業戦略が明示され、社内外に説明がされています。であれば、組織にも「カルチャーモデル」と言うべきものがあり、それが可視化され、社内外に説明がされるべきではないでしょうか。つまり、「どういうビジネスを顧客に提供するか」と同等に、「どういうカルチャーを社員に提供するか」が重要であり、企業にはその説明責任があるのです。
カルチャーを言語化し、社内外に共有することで、言行一致した強い組織を築きあげることができます。真に「人を大切にしている」組織を作ることで、企業は成長します。
カルチャーを言語化し共有化するために「カルチャーモデル」をつくる必要があります。
まずは、経営において重要な「ビジネスモデル」を7Sで捉えます。
・Proposition:プロポジション(顧客への提供価値)
・Strategy:ストラテジー(事業戦略)
・Business Development:ビジネス開発(事業開発やパートナーシップ)
・Product Development:プロダクト開発(製品・サービスの開発)
・Promotion:プロモーション(広告・広報などのコミュニケーション)
・Value Chain:バリューチェーン(調達・製造・販売チャネル)
・Sales:セールス(販売促進や営業・顧客接点)
自社のミッションを達成するため、カスタマーバリュープロポジション(顧客への提供価値)を定義し、それを実現するためのストラテジーを決定し、上記の7つの要素からビジネスモデルを作成します。
事業と両輪の組織(カルチャーモデル)は、次の7つの要素で構成されます。
1、ハードの3S→経営効率や競争優位性を高める。
・Stance:スタンス(組織としてのあり方)
・Shared Value:シェアドバリュー(行動指針)
・Structure:ストラクチャー(組織の構造・形態)
2、ソフトの4S→働く人の価値観や働き方
・System:システム(制度)
・Staff:スタッフ(人の採用や育成)
・Skill:スキル(組織としてのスキル、強み)
・Style:スタイル(組織風土)
この7Sを可視化・言語化し、組織全体へ浸透させていきます。この7Sを組織活動として行った結果、アウトプットとして生み出されたものがカルチャーになります。事業(ビジネスモデル)と組織(カルチャーモデル)の両輪を回すために、カルチャーモデルを7Sを基軸に考えていきましょう。
「カルチャーモデル」を設計することとは、設定されたビジョン・ミッションを実現するために、カルチャーの方向性を決め、整合性のとれた7Sを設計し言語化する営みのことだと言えます。そしてそれがピープルマネジメントによって組織において実行され、日々の行動や言動として現れることで「カルチャー」として組織に存在してゆくのです。
自社のカルチャーを言語化することで、社員は判断に迷わず、自立的に動けるようになります。
何を優先するか?
どんな意思決定をするか?
どんな戦略を立てるかを考える際、指針となる羅針盤のようなものです。
カルチャーがあるとトップやリーダーは指示なしで動けるようになるので、経営のスピードが上がり、生産性が高まります。会社としてのカルチャーが浸透し、意思決定の前提条件が揃うことで、無駄な仕事がなくなり、社員の残業も減らせます。
企業としてどんなカルチャーを目指し、製品やサービスを通じてどう体現していくかが重要になります。カルチャーモデルの推進によって、社員を通じてカルチャーを発信することで、ブランドを強化できます。カルチャーモデルのもと、人の力を信じることで、個々のメンバーの力を最大化できるようになります。結果、企業としての成長が加速します。
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