採用ブランディング完全版(深澤了)の書評

two people shaking hands

採用ブランディング完全版
深澤了
WAVE出版

本書の要約

採用ブランディングは良い人の出会いをデザインするブランディングの入り口で、理念に共感する人が集まることで、組織を成長させてくれます。自社の強みを明らかにし、理念経営を実践できる採用ブランディングに、経営者は今まで以上に力を入れるべきです。

採用ブランディングが効果がある理由

理念で採用すれば、会社に愛着をもつ活躍人材となり、それはすなわち売上に貢献、会社の発展につながります。(深澤了)

このブログではパーパス(MTP)の重要性を何度も紹介していますが、パーパスは採用にも効果があることがわかっています。パーパスを発信することにより、それに共感する人たちが集まってきます。彼らはパーパスを理解し、それを実現するために主体的に働いてくれるため、企業の成長が加速度的にアップします。

本書の著者の深澤氏も、採用成功のカギは「理念共感」だと述べています。自社にマッチした優秀な人を採用しなければ、すぐに組織からの離脱が始まり、絶えず採用活動を続けなければなりません。これを避けるためには、自社の強みや理念を明らかにし、それに共感する人を集める必要があります。

採用にブランディングを取り入れることで、最適な人を採用できるようになります。どんな企業にもある「強み」がありますが、その強みを丁寧に掘り起こして、発信することで、人との出会いが変わります。

「強みで勝負し、採用に勝つ」ことが、「採用ブランディング」で、これを行うことにより、中小企業が大企業に勝てるようになります。採用ブランディングを実践することによって、ジャイアントキリングが起こるのです。

「採用ブランディング」とは自社の強みを、採用市場で直接、またはさまざまな媒体やツールを利用して、一貫性を持って伝えていく手法です。

創業社長の熱い想いに遡り、自社のパーパスや理念を言語化していくことで、自社の強みが明らかになります。理念を前面に出した採用フローを組み、理念に共感し、ファンが増えていく採用方法を構築していくことで、採用で勝てるようになります。自社の強みに共感する仲間や同志を集めることで、定着率の問題も解決します。リファラル採用が増えることで、採用コストの低減にもつながります。

採用に効果を発揮するMOSEALSモデル

採用ブランディングのフロー
①ターゲットに近い応募者を集め(むやみに数を追い求めなくてよい)
②独自性のある選考フローを実施し
③フォローや教育を経てミスマッチの少ない採用を実現する

その結果、内定辞退者や離脱者が減少し、入社後の退職を防ぎ、活躍人材の育成に取り組めます。2017年にむすび株式会社が行った調査では、「あなたは現在働いている会社に愛着を感じていますか」という質問に対して、採用時に「企業理念・価値観」を理解していた社員の中で、自社への愛着を感じていると答えた人が71.8%にも及nんだと言います。

逆に採用時に「企業理念・価値観」を理解していなかったという人たちで、会社への愛着を感じているのは47.5%にすぎず、その差は2倍近くになっています。

「現在の会社で、将来活躍するイメージをもっているか」という調査では、「企業理念・価値観」を現在理解している新入社員で将来の活躍イメージをもっているのは52.3%。一方、「企業理念・価値観」を理解していない社員で将来の活躍イメージをもっていると答えた人は25.0%に留まりました。

著者は採用に効果のある「MOSEALSモデル」というフレームワークを紹介しています。
Meet(出会う)→Move(心が動く)→Search(調べる)→Experience(体験する)→Action(選考参加)→Love(ファンになる)→Share(人に伝える)

MOSEALSモデルは応募者の心理変容に応じた採用ツールですが、採用のマーケティングフローのそれぞれのステージで、経営者や担当者が理念をストーリーにして語ることが重要になります。サイトで書かれている内容、会社訪問、面接時の対応などが、理念に基づき一気通貫することで、応募者の行動に変容を起こせるようになります。

入社時に理念を理解してもらい、入社後も理解を深めてもらえれば、会社に愛着をもつ→愛着があるからこの会社で活躍したいというイメージが膨らむ→活躍人材になる。その可能性が高まるということなのです。 活躍するということは、その人が利益を生むということです。理念で採用すれば、会社に愛着をもつ活躍人材となり、それはすなわち売上に貢献、会社の発展につながります。

理念共感する人が職場に増えることで、企業は売上アップを以下のステップで実現できるようになります。
①理念共感する人が入社する
②理念浸透が進む
③活躍人材が増える
④実行力、変革力、知の創出力(部門間の深いコミュニケーション)が上がる
⑤ワーク・エンゲージメント、職場の一体感、業務の遂行、創造性の発揮、積極的な学習が上がる
⑥知覚品質、認知、ロイヤリティ、連想が上がる そして社会への影響力も高まる
⑦業績が上がる

採用ブランディングは良い人の出会いをデザインするブランディングの入り口で、理念に共感する人が集まることで、組織を成長させてくれます。自社の強みを明らかにし、理念経営を実践できる採用ブランディングに、経営者は今まで以上に力を入れるべきです。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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