チームワーキング ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方(中原淳, 田中聡)の書評

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チームワーキング ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方
中原淳、田中聡
日本能率協会マネジメントセンター

本書の要約

チームワーキングの状態は、ひとびとが目標を握り続け(GoaiHoiding)、解くべき課題を探求し続け(TaskWorking)、そして相互にフィードバック(Feedbacking)し合う状態です。こうしたチームは高い成果を残します。リーダーはパーパスを明らかにし、メンバーの力を引き出し、掛け合わせることで、強い組織を作れるようになります。

強いチームの特徴である「チームワーキング」とは?

日本型雇用システムは限界を迎えつつあり、かつて同質的なメンバーだけが暮らしていた村には、多様な人たちが集まるようになりました。そこでは、ただ与えられた仕事をするのではなく、価値観の異なる多様な人たちと共に、課題解決をしたり、新しいものを創り出したりすることが求められるようになっています。(中原淳、田中聡)

以前の日本の会社は、欧米のビジネスモデルを真似して、追いつけ、追い越せ型の経営を行っていればよかったのですが、現代のようなVUCAの時代にはその見本がなくなり、自ら課題を発見し、ビジネスモデルを生み出すことが必要になっています。

ITが発達し、マーケットがグローバルになる中で、ムラ型だった日本の組織にも多様性が生まれています。答えのない時代の経営はパーパス型にシフトし、リーダーは自社のパーパス・ビジョン・ミッションを明らかにし、チームをリードしなければ、結果を出せなくなっています。

多くの日本のチームが解決に向けて取り組んでいる課題は、より複雑で、より難解なものになっています。当然、リーダーひとりの力だけで、問題解決を行うことは無理があります。リーダーがしっかりと問題を定義し、多様なメンバーの知識やスキルを組み合わることで、ようやく解決策を見つけられるようになります。

個々のメンバーは自社のパーパスを理解し、自ら思考・行動することを求められています。その上で自分のスキルを磨き、チームに貢献することを考えるべきです。

チームに貢献する具体的なアクションを、各々が行うことで組織は成長します。個が個でありながら、チームを動かすスキル=「チームワーキング」の技術が、日本企業でも今後必要になってくると著者たちは指摘します。

組織が多様化する中で、コミュニケーションは伝わらないことを前提にし、「阿吽」の呼吸に頼らないようにすべきです。相手に分かりやすい言葉を使い、お互いの違いを認識しながら、チームビルディングを行う必要があります。

お互いが信頼できる組織を作るためには、「伝わらない」「分かり合えない」ことを前提に、コミュニケーションを設計すべきです。その際、積極的に他者に働きかけ、チームを動かしていく「チームワーキング」の技術が欠かせません。「チーム(Team)」が「ワーキング(Working:常に動いている状態)」している状態を目指して、リーダーは組織を運営しましょう。

チームを構成するメンバー全員の賢さと振る舞いによって、チームの成果が左右されます。組織のメンバーが全員チームに参加する状況が、「チームワーキング(Team+working:チームがダイナミックに動いている様)」なのです。

チームワーキングを良くするための3つの要素

チームワーキングの状態は、ひとびとが目標を握り続け(GoaiHoiding)、解くべき課題を探求し続け(TaskWorking)、そして相互にフィードバック(Feedbacking)し合う状態です。こうしたチームは高い成果を残します。そして、ひとびとは、そうしたチームにこそ「希望」を見るのです。

チームワーキング(Team+Working)には以下の3つの視点が必要になります。
①チーム視点:チームの全体像を常に捉える視点
②全員リーダー視点:自らもリーダーたるべく当事者意識をもってチーム活動に貢献する視点
③動的視点:チームを「動き続けるもの、変わり続けるもの」として捉える視点

この3つの視点をOSの上で、次の3つの行動原理(アプリ)を動かしましょう。
①Goal Holding(ゴール・ホールディング):目標を握り続ける
チーム活動の初期に目標設定を行うだけでなく、常にめざすゴールはどこか、実現したいことは何かを全員で確認し合うなど「目標を握り続け(Goal Holding)」ながらチーム活動をしていくことが重要になります。オープンに情報共有を行い、自分たちの今の立ち位置とゴールとの位置関係を見ながら、ときにはゴール設定は今のままでいいのか、見直すようにします。

②Task Working (タスク・ワーキング):動きながら「課題」を探し続ける
チームでの課題解決において、解くべき課題やその解き方が妥当なものなのかどうかを常に確認したり、修正したりして「動きながら課題を探し続ける(Task Working)」ことをしなければ、いつのまにか目標とズレた方向へ進んでいきます。

動きながら、常に課題はこれでいいのかと考え続け、課題を深掘りしていくことで、解像度が上がり、行動の精度も高まって、目標達成につながる効果的な課題解決ができます。

③Feedbacking (フィードバッキング):相互にフィードバックし続ける
チームで動いている際は、それぞれがチームメンバーやチーム活動に対して、さまざまな感想や感情を抱きます。「チームでの活動を通じて、それぞれが考えていること、感じていることを、チームメンバーに表明していくこと」=チーム視点で「相互にフィードバックし続ける(Feedbacking)」ことが、チームの行動の改善につながります。

1)チームメンバー全員参加で、
2)チーム全体の動きを俯瞰的に見つめ、
3)相互の行動に配慮し合いながら、
目標に向けてダイナミックに変化し続け、成果創出をめざすチームの状態が「チームワーキング」で、リーダーはメンバーにパーパスを伝え、彼らの力を引き出し、掛け合わせることが重要になります。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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