出口治明氏の還暦からの底力―歴史・人・旅に学ぶ生き方の書評


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還暦からの底力―歴史・人・旅に学ぶ生き方
著者:出口治明
出版社:講談社

本書の要約

長寿社会は人類の理想ですが、いくら長生きできても寝たきりになっては意味がありません。健康寿命を延ばし、人生100年時代をエンジョイするためには、年齢を気にせず、働き続けることです。年齢、性別フリーのダイバーシティーな環境に身を置き、自分の頭で考えることで、人生をより豊かにできます。

還暦を言い訳にして、あきらめるな!

古今東西広く世界を見渡せば、還暦を超えてもなおパワフルに活躍している人はたくさんいます。(出口治明)

著者の出口治明氏は、還暦でライフネット生命を開業し、古希を迎えた2018年にAPUの学長に就任しました。出口氏は還暦を超えても活躍するためには、色眼鏡(その人の価値観や人生観)をできるだけ外して、フラットに周囲の物事を見ることが大事だと述べています。

「数字・ファクト・ロジック」を活用し、エピソードではなくエビデンス(証拠)で世界を見るようにすれば、根拠のない不安で心配することはなくなります。また、根拠が明らかな問題は原因が明確なので、的確な解決法が見つかります。

もう歳だからと年齢を言い訳にして、自分にブレーキを踏んでいては、人生100年時代を楽しめません。ものごとをできるだけフラットに、「数字・ファクト・ロジック」でとらえ、「年齢フリー」で考えることで、還暦から底力を発揮できるようになります。そして、健康寿命を延ばすことで、やりたいことができるようになります。

日本老年学会と日本老年医学会は、高齢者の定義を65歳から75歳に変えることを提言しています。日本の高齢者像は急激に変化し、老化現象が遅延し、10歳ほど若返っています。私の周りにも70歳を超えても元気溌剌な経営者がたくさんいます。彼らを見ていると、高齢者という定義が意味のないもに思えます。自分が働きたければ、それを楽しめばよいですし、しんどいと感じたら、その段階でリタイアすればよいのです。次世代のためにできることが、高齢者にはあるはずですから、次世代を健全に育成することを目標に、新しい働き方を模索するのもありだと思います。

定年を廃止すれば、一石五鳥の効果が得られる!

世界に目を向けるとアメリカや連合王国(イギリス)をはじめ、ほとんどの国では定年がありません。なぜなら人間が大人になるということは、自分の食い扶持は自分で得るということです。だから人間は一生働くのが自然の姿であり、実は働き続けることによってのみ健康寿命も延びるのです。

著者の出口氏が50人ほどの医師に「健康寿命を延ばすにはどうすればいいですか」と質問したところ、全員が「働くことが一番」だと答えたそうです。健康寿命を延ばすのにもっともいい方法は、働くことなのです。

定年を廃止し、60歳以上の人たちが楽しく働くことで、一石五鳥のメリットを得られます。
1、健康寿命が延びて介護が減ります。
2、高齢者が働くことで支払う人が増え、もらう人が減るため、医療・年金財政が好転します。
3、年功序列がなくなり、業績序列にシフトしていくことが期待されます。
4、中高年の労働意欲が高まります。人生100年時代、20歳から数えれば60歳はマラソンでいえばちょうど折り返し点に過ぎません。定年がなくなることで、多くのビジネスパーソンんがチャレンジできるようになります。
5、労働力不足の日本では、定年を廃止して困る人はいません。定年の廃止は社会の現状に照らして整合的な政策なのです。

定年を廃止することで、日本の多くの課題が解決できるのです。健康寿命が伸び、ワクワクな高齢者が、若者たちと共に働く社会が実現できれば、世代間の不信感も減らせます。

日本からユニコーン企業が出ない理由

本書の中に日本が勝てない理由が経団連を具体例に説明されています。経団連と言う組織を見れば、日本企業の多くが超同質集団であることがわかります。
(1)全員男性で女性はゼロ人
(2)全員日本人で外国人はゼロ人
(3)一番若い副会長で62歳。50代以下はいない
(4)起業家もプロ経営者もいない
(5)転職経験がない
(日本経済新聞電子版2018年6月21日「経団連、この恐るべき同質集団」より)

日本からユニコーン企業が出ないのは、製造業の採用システムをいまだに行っているからです。GAFAなどの成長企業はダイバーシティがあり、高学歴な人たちを組み合わせます。外国人や女性、高学歴な人たちの力を取り入れ、新しいアイデアを生み出しています。勝者になるためのルールが変わる中で、日本企業も働き方改革を行い、早く職場を出て、様々なことを学ぶべきです。

世界のトップ企業たるGAFAやユニコーンでは、自分の頭で考え、新しいアイデアを創造することが大切な「頭を使う仕事」が中心です。世界はとっくの昔にパラダイムシフトしているのに、日本だけが製造業の工場モデルに固執し続ければ、競争力を失い世界に置いていかれるのは当然です。

人生100偏時代には、私たちの働き方も変わります。何度も転職できますし、途中で大学院に入り、学び直すことも可能です。日々、自分がワクワクすることを選択する(リスクを積極的にとる)ことで、人生をより面白くできます。60歳になっても若い人との出会いを意識していれば、彼らとベンチャーを立ち上げることもできるのです。年齢を気にせず、ワクワクなことを選べるように、広い世界に出ていくようにしましょう。

私もあと3年で還暦を迎えますが、出口氏の「60歳は折り返し地点」に過ぎないというアドバイスから、勇気をもらえました!年齢に意味はないのですから、やりたことに自分の時間を使いましょう。ダイバーシティーな環境に身を置き、自分の頭で考えることで、人生をより豊かにできます。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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