BUILD 真に価値あるものをつくる型破りなガイドブック
トニー・ファデル
早川書房
本書の要約
起業家としての役割は、新たな事業やアイデアへの挑戦を絶えず追求することです。この道のりには数々のハードシングスが立ちはだかり、それらを乗り越えるためには、パーパスやパッションだけではなく、知識やスキルの向上も必要不可欠となります。その際、優秀なメンターがいることで、ハードシングスを乗り越えられるようになります。
起業で成功するために必要なこと
社会に出るとは、いつの日か多少うまくやれるようになるまで、ひたすら失敗を重ねていくチャンスを手にすることだ。 20代のあいだは、あなたの選択はだいたい間違っていて、入った会社、あるいは立ち上げた会社は失敗すると思ったほうがいい。(トニー・ファデル)
本書は、アップルやグーグルで数々のヒット商品を生み出した伝説のエンジニアであるトニー・ファデルが、自身の経験を基に「真の価値を持つ製品を創造する」ための秘訣や、起業家としての思考法を培うヒントを提供しています。
今日は、若い時期に獲得しておきたいスキルや思考法を本書から学びましょう。20代でキャリアをスタートする際には、失敗を恐れずに挑戦する精神が求められます。本当に情熱を感じる何かを見つけたとき、その時までの経験や築いた人間関係が大いに役立つはずです。
起業家としての役割は、新たな事業やアイデアへの挑戦を絶えず追求することです。この道のりには数々のハードシングスが立ちはだかり、それらを乗り越えるためには、パーパスやパッションだけではなく、知識やスキルの向上も必要不可欠となります。自分の夢を実現するためには、行動を起こし、失敗に怯えることなく前進し続けることが求められます。
そして、その結果は必ず後からついてきます。行動を開始し、失敗から学び、そこから進化することで、起業家は自身の可能性を拡大することができます。自分の夢を実現するためには、自分自身の価値観を理解し、自分を信じ続けることも重要です。
起業で成功するためには、優秀な経営者、理想の人物がいるチームで学ぶことが効果的です。成長企業に所属すれば、自身の成長の機会も広がることは言うまでもありません。
しかし、そのチャンスを掴むためには自分自身の価値を高め、一緒に働きたいと思う仲間を見つけることが大切です。成長する企業で働きたいと思うなら、理想の上司に直接連絡を取ることをためらってはいけません。ここで大切なのは、粘り強さと、相手の役に立つことです。 要望を伝えるだけでなく、自分から何かを提供することも忘れないようにしましょう。
好奇心と情熱に溢れた人であれば、誰でも他人に提供できるものがあるはずです。優れたアイデアはいつでも共有することができます。 そして、その一連の行動が新たな仕事につながる可能性もあります。
あなたが尊敬する人、あなたのヒーローと一緒に働くチャンスにつながることだってあるかもしれません。そして、その人と一緒に働くのであれば、どんな仕事であっても良い仕事になることでしょう。 確実に言えることは、あなた自身がヒーローの助けとなり、その信頼を獲得することです。やがて、彼らがあなたの意見に耳を傾け、信頼し、尊重してくれる日が来るはずです。
そして、あなたが次の仕事へ、また次の仕事へとステップアップしたり、起業する際に彼らがサポートしてくれます。 ヒーローを持つことの素晴らしさはここにあります。彼らから受ける刺激が、あなた自身の原動力となるのです。
自分の仕事を真剣に行い、彼らの言葉に耳を傾ければ、彼らは何十年にもわたる経験から得た知識を分け与えてくれます。そして、いつかあなたが起業で成功した際に、その恩を返す日が来るかもしれません。
ただ与えられた仕事をこなすだけが仕事ではありません。上司やCEOのように考えることもまた、あなたの重要な役割です。
最終的な目標がはっきりと描けないとしても、それを理解しておくことは大切です。それはあなたの日々の仕事に対する理解を深め、優先順位をつけ、適切な判断をするための指針となります。
すばらしい技術があるだけではダメだ。すばらしいメンバーがそろっているだけ、資金があるだけでもダメだ。
新規事業で成功するためには、プロダクトやサービスを顧客に見つけてもらうことが欠かせません。また、タイミングは早すぎても遅すぎてもいけません。
見渡すかぎり破綻したスタートアップの屍が転がり、過去30年で数十億ドルが泡と消えたという事実は、ゴールドラッシュにおける成功者と失敗者の格差を物語っています。成功するためには、単に流行に乗るだけでは不十分であり、マーケティングマインドを養うことや経営センスを磨くことが必要です。
「プロダクトをつくれば顧客は自然と湧いてくる」という考えは、幻想でしかありません。マーケティングを行い、顧客に情報を伝えない限り、彼らに見つけてもらえません。たとえ、見つけてもらっても、テクノロジーがまだ成熟していなければ、顧客にはなってくれないのです。
また、テクノロジーが完成していても、タイミングを見極めることが重要です。市場の需要や競合状況を把握し、適切なタイミングでプロダクトをリリースすることが成功の鍵となります。遅すぎても早すぎても、市場に受け入れられず、結果として失敗に終わる可能性があります。
世界にそれを受け入れる準備が整っていなければならない。あなたのプロダクトは遠い将来に抱えるかもしれない問題ではなく、今直面している現実の問題を解決してくれる、と顧客に思わせる必要がある。
真に価値あるものをつくるためには、まず「顧客のニーズを理解すること」が重要であると説いています。顧客が本当に欲しいものを理解し、それを実現するために、技術力やデザイン力、そしてチームワークを駆使して、新しいものをつくり出していくことが大切です。
若い時にメンターが必要な理由
あなたは有益なアドバイスをくれる親以外の誰か、親以外のメンターを見つけなければならない。
著者は若い頃に優秀なメンターを見つけるべきだと言います。メンターは親以外の人を選ぶべきです。過去の常識に縛られないメンターを選ぶようにしましょう。自分の決断を支持し、的確なフィードバックをもらえるメンターがいることで、ハードシングスを乗り越えられるようになります。これは起業家になるマインドセットを養う上で、とても重要なことです。
優れたメンターは答えを与えるのではない。目の前の問題を新たな視点で見られるように手助けしてくれる。自分が苦労して身につけた知恵を差し出し、自分なりの解決策を見つけられるようにしてくれる。 学ぶことに終わりはない。学校の勉強で、その後一生うまくやっていく備えができるわけではない。
若者がメンターを見つけることの利点はいくつかあります。
①豊富な知識や体験からのアドバイス
メンターは経験豊富なプロフェッショナルであり、自分自身が経験してきた困難や成功の道筋を教えてくれます。彼らはあなたのキャリアの方向性を示し、目標を達成するためのアドバイスや戦略を提供してくれます。
②成長をサポート
メンターはあなたの成長をサポートしてくれる存在です。彼らはあなたの強みや弱点を理解し、あなたが持つ潜在能力を引き出すための指導やフィードバックを提供してくれます。彼らはあなたの成長を見守り、必要なときには助言やエールを送ってくれるでしょう。
③ネットワークの拡大
メンターはあなたの人脈を広げる手助けもしてくれます。彼らは自分の経験やネットワークを通じて、あなたに有益な人々との出会いの機会を提供してくれます。ビジネスの世界では、人脈は非常に重要な資産です。メンターを通じて得られる人脈は、将来の成功につながる可能性があります。
メンターはあなたが働いている分野や興味のある業界で経験豊富な人物を選ぶようにしましょう。また、相性や信頼関係も重要な要素です。メンターとの関係は長期的なものであり、お互いに信頼し合える関係を築くことが求められます。
私も40代の半ばでプロフェッショナルな経営者にビジネスコーチをお願いしましたが、彼のアドバイスや人脈のおかげで、ハードシングスを乗り越えることができました。経営者のマインドを身につけることで、サラリーマンをやめ、社外役員として独立することができました。
著者のファデルは、数多くの失敗を経験してきた人物ですが、彼が特に重視しているのは、経験豊富なメンターの存在です。優れたメンターとは、答えを教えてくれる人ではなく、遭遇した問題を新たな視点で見ることを助けてくれる存在だと著者は言います。
本書に書かれていることを、日頃、特任教授をしている情報経営イノベーション専門職大学の授業で話していたので、とても共感を覚えました。本書をメンター代わりに使い倒すことで、起業の成功確率をアップできそうです。
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