上司と部下は、なぜすれちがうのか 本音を伝え/引き出す 仕組みと方法(本田英貴)の書評

two women sitting on leather chairs in front of table

上司と部下は、なぜすれちがうのか 本音を伝え/引き出す 仕組みと方法
本田英貴
ダイヤモンド社

本書の要約

企業は従業員から選ばれるよう、パーパスやビジョンを明かにしたり、働く環境を整えなければなりません。企業は、メンバー一人ひとりを真に「支援」し続けなければ、優秀な人材を他社に持っていかれてしまいます。マネージャーは企業のビジョンを実現するために、メンバーとの関係をよりよくすべきです。

VUCAの時代に求められる上司とは?

ただ、正解が見出せないビジネス環境で苦闘を続ける今の上司たちのありようは、会社の無理解によって一層、厳しいものになっているように感じられます。(本田英貴)

時代が変化し、未来が見通せなくなり、経営の不確実性が高まっています。中間管理職であるマネージャーは経営陣と現場の板挟みになり、多くのペインを抱えています。

KAKEAI CEOの本田氏はリクルート時代に中間管理職として、部下との関係に悩み、やがてはうつを発症します。その後、多くのマネジャーが同じ悩みを抱えていることに気づき、1on1のAIクラウドシステムを開発し、上司と部下の関係改善を行い、導入企業の業績アップに貢献しています。

現代はVUCAの時代と言われますが、経営の不確実性が高まる中、リーダーは目の前の状況を正しく捉えて、迅速に、できる限り適時適切によい判断を繰り返す必要があります。同時に、メンバー一人ひとりの志向や状態を踏まえながら、つねに彼らの力を引き出すために、サポートすることでビジョンを達成できるようになります。

現代のような正解が見えない時代は、100点を目指すことも減点主義も現実的ではありません。「スピード感のある仮説検証」こそが今の上司に求められています。当然、前向きな積極性でチームを巻き込んでいく姿勢も欠かせません。マネジャーはコミュニケーション力を高め、経営陣と現場の結節点になるべきです。

一人ひとりが主体的、自律的にビジネスを行える環境を作るためには、現場がどのような状況にあるのかを知り、その上で部下がつかんでいる情報を把握して、それを支援することが重要になります。

上司が置かれた厳しい現実には5つのポイントがあると著者は指摘します。
・自身のプレイヤー業務との両立
・ハラスメントへの意識
・企業の液状化と、従業員の顧客化の同時進行
・世代間の意識ギャップ。介護や育児など部下の状況の多様化
・企業と従業員の物理的・心理的距離の拡大

働き方の多様化という流れの中で、副業、兼業を制度として認める企業が続々と増えていますが、一旦導入すれば、これを元に戻すのはとてもハードルが高くなります(企業の液状化)。

ある目的で進めてきた何らかのビジネスや新たに取り組むプロジェクトについて、企業は、今、目の前にいる「稼働できる人」に仕事を割り振る器、仕事を斡旋し続ける場所のようなものになっていく可能性もある。お互い覚悟の上で人生を共にする場だった企業というものが、ひたすら目的的に人が集うだけの場所に近づいていくかもしれない。企業が固形ではなくなっていく、まさに「液状化」です。

副業やリモートワーク当たり前になるなか、上司と部下のコミュニケーションも以前とは別物になっています。

働く環境が多様になれば、人材の流動化も起こります。「会社は社員に選ばれなければいけない」となってきたときに、社員はお客さまのような立場になります(従業員の顧客化)。顧客だけでなく従業員から選ばれる企業を目指さなければ、企業はやがて存続できなくなります、

1on1は「部下のための時間」

メンバー一人ひとりを深く理解し、それぞれのメンバーの視点で自社の仕事の魅力を伝え、機会を提供し続けて、メンバーにとってこの会社に60%とか80%のパワーを使う意味がある、というような状況をつくり続けること。それができないと、そのメンバーは来月にはいなくなり、上司たちは自分が組織に期待されている業績や成果を残すことが難しくなるかもしれない。

企業は従業員から選ばれるよう、パーパスやビジョンを明かにしたり、働く環境を整えなければなりません。企業は、メンバー一人ひとりを真に「支援」し続けなければ、優秀な人材を他社に持っていかれてしまいます。マネージャーは企業のビジョンを実現するために、メンバーとの関係をよりよくすべきです。

そのためには、日常的な上司部下のコミュニケーションを活性化すべきです。正しい1on1を定期的に行い、部下のやる気と本音を引き出す必要があります。

成果につながる1on1を行うためには、以下の3つを意識すべきです。
・経験や立場の違いが招く「本音が言えない、聞けない」。これを取り除く仕組みが必要。
・継続してコミュニケーションし続ける、連続的な対話を行うということにおいて生じがちな、心理的・物理的な負担を減らす仕組みが必要。
・クローズドでありながらも、コミュ二ケーションの質を改善させていくために、双方のコミュニケーションカや対人力、上司のマネジメントカへの依存を減らし、自律的な改善に取り組める仕組みが必要。

1on1は基本的に「部下のための時間」という位置付けで行う、継続的なミーティングです。業務報告や進捗の確認とは違い(その要素が入ることがあってもいいのですが)、仕事について抱く思いや、先々のキャリアについてなど、部下自身が「ここでの仕事」をより意味のあるものにするために、その時々に伝えたいことを言葉にする機会です。一方、ハラスメントは上司側からの指示や強い要望、感情的な言葉を投げかけるときに発生しがちな事態です。ですから、「部下のための時間」という位置付けが定まっている1on1には、ハラスメントのリスクがほぼありません。

「カケアイ」は、状況も関係性も多様な上司と部下の間に入り、コミュニケーションを取り持つプロダクトです。これを導入すれば、個々人の特性と、部下が置かれている状況を踏まえ、上司が部下に適時適切に関わることができます。結果、上司は正しいアドバイスを行えるようになり、部下のモチベーションも高まります。

実際にこのサービスを導入した企業では、売上伸び率の上昇や離職率の改善が起こっていると言います。正しい1on1を行うことで、マネジャーと部下の関係が良くなり、個々のメンバーの力を引き出すことで、企業は持続的に成長できるようになるのです。NPSだけでなく、eNPSが企業の業績を左右することを経営者は忘れないようにしましょう。


 

 

 

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