SUPER NORMAL――凡人が上位1%の「成功者」になる抜け道(チュ・オンギュ)の書評

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SUPER NORMAL――凡人が上位1%の「成功者」になる抜け道
チュ・オンギュ
ダイヤモンド社

SUPER NORMAL(チュ・オンギュ)の要約

99%のノーマルな人も、①突然変異を発見する、②プロセスを運と実力に分解する、③自分の領域を征服する、④『運の領域』では提案の回数をとことん増やす、⑤成功を無限リピートしていくという「スーパーノーマル5段階の法則」を実践することで、成功を手に入れることが可能になります。

スーパーノーマルとは何か?

生まれつきのセレブでもなく、ずば抜けた天才でもないが、平凡の範囲内でいい暮らしを送っている人。僕はこんな人々を「スーパーノーマル」と呼んでいる。(チュ・オンギュ)

チュ・オンギュ氏は、韓国で活躍するYouTuberであり、作家です。彼は自身の経験と成功哲学を基に、一般の人々が経済的成功を収めるための実践的なアドバイスを提供しています。

本書SUPER NORMALは、チュ・オンギュ氏の最新作として韓国で大きな話題を呼んでいます。発売直後から大手書店のベストセラーリストで2位、自己啓発分野では1位を獲得するなど、多くの読者の心を掴んでいます。日本でも「自分を変えられる本」として注目を集め始めており、その人気は国境を越えて広がりつつあります。

私たちの多くは、自分は平凡な存在だと思い込んでいます。しかし、本書が提唱するのは、誰もが上位1%の「成功者」になれるという画期的な考え方です。著者が提案する「スーパーノーマル」という概念は、凡人からの脱却を目指す人々に新たな希望を与えています。

スーパーノーマルは、必ずしも世界レベルの才能や能力を持つ必要はありません。むしろ、継続的なトレーニングによって、一般的な水準を大きく超える実力を身につけた人々がスーパーノーマルなのです。

著者は、特別な才能や生まれ持った環境がなくても、誰もが経済的成功を手に入れる可能性があると説きます。月に数百万円を稼ぎ、数億円の資産を築いたスーパーノーマルが、私たちの身近に存在しているといいます。

月給16万円程度のサラリーマンだった著者は、結婚後も半地下の住まいで生活するほど経済的に厳しい状況にありました。しかし、彼は現状に甘んじることなく、自らの運命を変えるべく起業を決意します。ところが、事業は思うように進まず、4000万ウォン(約400万円)もの借金を背負うことになってしまいます。

多くの人であれば、このような状況に直面すると夢をあきらめ、安定した仕事に戻ろうとするかもしれません。しかし、彼は違いました。挫折を経験しながらも、決して諦めることなく前進し続けたのです。

彼の成功への道のりで最も重要だったのは、失敗から学ぶ姿勢でした。事業が失敗した原因を徹底的に分析し、それを「運」と「実力」の二つの領域に分けて考えたのです。「運」の要素は自分でコントロールすることが難しいものの、「実力」の部分は自己努力で改善できると考えました。 この分析に基づき、彼は「実力」でカバーできる部分に全てのリソースを集中させていったといいます。

具体的には、自身のスキルアップや市場分析の深化、顧客ニーズの理解などに時間とエネルギーを注ぎました。また、失敗から学んだ教訓を活かし、ビジネスモデルの改善や経営戦略の見直しも行いました。 彼の努力は次第に実を結び始めます。事業は軌道に乗り始め、収入も徐々に増加していきました。借金を返済しながらも、着実に資産を築いていったのです。

そして最終的には、月収数百万円、総資産数億円を持つスーパーノーマルな成功者となりました。 この物語が示唆しているのは、成功への道のりが決して平坦ではないということです。むしろ、困難や挫折は避けられないものかもしれません。しかし、それらを乗り越えるための努力と学習の姿勢が、成功への鍵となるのです。

スーパーノーマル5段階の法則

不運続きの最悪の状況でも、しっかり結果を出す人がいます。そんな人を僕は「突然変異」と呼んでいます。どんなに大変でも、あきらめずに成長を遂げた人やその成功事例。まずはこれを見つけ出すことが、あなたの成長の第1歩となることでしょう。 

チュ・オンギュは、成功の秘訣を「スーパーノーマル5段階の法則」としてまとめています。 著者は、多くの人が金持ちになりたいと願いながらも、その夢をあきらめてしまう現状に疑問を投げかけます。そして、99%の平凡な人々も、正しい方法を実践すれば億万長者になれると主張し、5つの重要ステップを紹介します。

①突然変異を発見する
自分と同じような境遇=ノーマルな状況からスーパーノーマルに突然変異した人を徹底的にリサーチし、その要素をすべて明らかにします。そして、自分との違いを明らかにし、彼らの思考と行動を真似るのです。

著者は成功の突然変異の3つの条件を上げています。
1、自分と似たような状況にある
2、自分にもできて、続けていけそうなことをやっている
3、予想外の圧倒的な成果を上げている

また、突然の成功を長期的なものに変えるためには、徹底的な分析と、その結果に基づいた独自のアプローチの構築が不可欠です。

なぜその成功が起こったのか、どのような要因が重なって良い結果につながったのか、細部にわたって検証するのです。この過程で、自分自身の強みや、市場のニーズ、タイミングの重要性など、様々な要素が浮かび上がってくるでしょう。

研究に研究を重ねて最良のものを生み出した人、誰も追いつけないような「差別化」を成し遂げた人だけが、圧倒的な成果を上げ続けることになる。

ここで注意すべきは、単なる模倣では不十分だということです。他人の成功事例をそのままコピーするだけでは、持続的で爆発的な成長を繰り返すことはできません。なぜなら、環境や条件は常に変化しており、かつての成功要因がそのまま通用するとは限らないからです。

成功の要因を深く理解し、それを基に自己を進化させ続けること。それこそが、一時的な成功ではなく、持続的で爆発的な成長を実現する鍵となるのです。

②プロセスを運と実力に分解する
プロセスを「運の領域」と「実力の領域」に分解する作業は、成功への道筋を明確にする上で非常に重要です。あらゆることの成否は、運と実力という2つの要素の作用によって決まるのです。

まず、実力の領域に注目しましょう。ここでのポイントは、自分の能力を高めるために必要なリソースを惜しみなく投じることです。例えば、新しいスキルを習得するための学習時間を確保したり、最新の設備や道具に投資したりすることが考えられます。実力向上には時間とお金がかかりますが、これは自分自身への投資です。長期的に見れば、必ず大きな見返りがあるでしょう。

一方、運の領域では異なるアプローチが効果的です。できるだけ多くチャレンジすること、行動することで運を高められるのです。最低限の費用と時間でトライの回数を増やし、成功の確率を高める戦略を取ります。

運と実力の領域をうまくバランスを取りながら進めることで、より確実に目標に近づくことができます。実力で制御できる部分に集中し、運の要素を最小限に抑えることがポイントです。

成功への道は、決して直線的ではありません。失敗や挫折を経験しながらも、それらを糧として成長し、前進し続けること。そして、その過程を楽しむことができれば、結果はおのずとついてくるでしょう。諦めずに行動を続け、常に改善を心がけること。それこそが、確実に結果を出すための最も効果的な方法なのです。

③自分の領域を征服する 

実力を上げればいい。運を蓄えることはできないが、実力を蓄えることはできる。

成功への道は、地道な努力の積み重ねです。ただし、ただ闇雲に頑張るだけでは不十分です。ここで重要となるのが「成長の解像度を上げる」という考え方です。 これは、大きな目標を小さな達成可能なステップに分解することを意味します。各ステップは具体的で、かつワクワクするものであるべきです。

小さな勝利の積み重ねが自信とモチベーションを育み、継続的な実践が能力と効率性を高めていきます。時間とともに、同じ時間でより多くのことをこなせるようになるでしょう。

つまり、細分化された目標への着実な取り組みが、爆発的な成長を生み出す鍵となるのです。諦めずに行動し続ければ、成功の確率は劇的に高まります。この方法で、自分の成長を実感しながら、長期的な目標に向かって着実に前進することができるのです。

④『運の領域』では提案の回数をとことん増やす
運に左右される分野では、単純に試行回数を増やすことが成功の確率を高めます。アダム・グラントはバッハやベートーベンなどの天才も作曲数が多いほどヒット作が生まれやすいことを明らかにしました。彼ら楽曲がすべて名曲として評価されているわけではありません。

エジソンは1093件の特許を取得しましたが、私たちの人生を変えたのはその一部だけです。アインシュタインも多くの論文を発表しましたが、広く知られているのは主に相対性理論です。 これは、世界的な天才たちも圧倒的な数のチャレンジで成功し、歴史に名を残したことを示しています。

彼らの偉業の裏には膨大な試行錯誤がありました。天才でさえチャレンジを続けたのですから、私たちのようなノーマルな人間こそ、努力を重ねるべきなのです。失敗の回数が増えるということは、成功の確率が高まることと同義なのです。

⑤成功を無限リピート
一度の成功で満足せず、そのプロセスを分析し、再現可能なものにしていくのです。睡眠を削るのをやめ、スタッフを雇ったり、マニュアルを作ることで、自分のリソースを新たなチャレンジに使えるようになります。成功体験を積み重ねることで、自信と実力が相乗効果を生み、さらなる高みへと登っていくことができます。成果が出たら、次のステージに進むことで、自分をアップデートできます。

スーパーノーマルへの道のりは決して平坦ではありません。しかし、これらのステップを意識し、着実に実践していくことで、誰もが平凡を超越し、卓越した存在になる可能性を秘めているのです。重要なのは、自分の可能性を信じ、諦めずに挑戦し続けることです。 

ネットワーク効果やスティーブ・ジョブズのコネクティング・ドットという考え方が、成功には欠かせないという著者の指摘に共感しました。諦めずに行動を続け、運の力を味方にすることが成功の秘訣だったのです。


最強Appleフレームワーク


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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