アイデアをお金に変える「マネタイズ」ノート: 新商品、新事業をつくる人は、最初にどこを見ているのか? (市原義文)の書評

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アイデアをお金に変える「マネタイズ」ノート: 新商品、新事業をつくる人は、最初にどこを見ているのか? 市原義文
三笠書房

本書の要約

アイデアづくりには「拡大(拡げる)→収束(絞る)」という2つの段階が必要です。まずは、アイデアを「拡大」するところから始めます。その次に、アイデアの糸口をまとめ、融合させ、収益化可能なアイデアに育て上げます。その過程で、顧客をワクワクさせるストーリーを必ず考えるようにしましょう。

アイデアづくりのための「拡げる→絞る」という2つのステップ

お客様が困っていることを解決し、お客様の役に立ち、お客様を喜ばせるアイデアだからこそ、社会的な価値があると認められ、新しい商品やサービス、新しい事業につながり、マネタイズができる(お金を生み出す)わけです。 (市原義文) 

経営コンサルタントの市原義文氏は、「Pontaカード」の企画から導入までを行ったアイデアマンとして有名です。このPontaカードは国内最大の会員数1億人を超える成功を収めました。コンビニのセルフレジのアイデアも彼の手によるものです。市原氏は顧客の不便、不満などの「不」を解決するアイデアが、良いアイデアだと指摘します。

市原氏のアイデアには、お客様の問題を解決し、役立ち、喜ばせる社会的な価値があります。このようなアイデアは新商品やサービス、新事業の創出に繋がり、結果として収益化が可能となります。 著者は一般的に「いいアイデア」とされるものを、「社会的な価値を生む=マネタイズできるアイデア」として認識しています。

逆に、「社会的な価値を生まない=マネタイズできないアイデア」は単なる思いつきに過ぎないと指摘されています。 このようなアイデア創出のスキルと視点は、ビジネスにおいて重要な要素であり、新たな成果と成功をもたらす可能性を秘めています。

ただのアイデアではなく、実際にお客様の問題を解決し、役に立つことができるアイデアでなければ、社会的な価値を生み出すことはできません。 したがって、営業やビジネスにおいては、お客様のニーズや課題を把握し、それに対する解決策を提案することが重要です。

アイデアづくりには「拡げる→絞る」という2つのステップがあります。アイデアを生み出すためには、まずは「拡げる」ことが重要です。これは、アイデアのヒントを見つけることを指します。制約を設けずに、できるだけ多くのヒントを集める行程です。

アイデア作りにおいては、質より量を意識しましょう。多くの人々が「アイデアは質が大切」と考えるかもしれませんが、実は質よりも量が重要です。なぜなら、優れたアイデアを生み出すためには、多くのアイデアを出すことが必要だからです。

アイデアは、一つの成功につながるためには数千もの発想が必要です。質の高いアイデアを見つけるためには、まずはたくさんのアイデアを出すことが重要です。質よりも量を意識することで、自由な発想が生まれ、新たな視点やアプローチが見つかるかもしれません。

そのためには顧客やマーケットの観察が欠かせません。観察して気づいたことをすぐに記録するためには、携帯性に優れた小さなメモ帳が大活躍します。小さなメモ帳は、いつでもどこでも手軽に持ち運べるため、アイデアが降ってくる瞬間を逃さずにメモすることができます。

例えば、街中を歩いていて、突然目に留まった風景や人々の行動、気になる言葉など、さまざまな観察結果をメモすることができます。これによって、日常の中で見逃してしまいがちな細かな発見や気づきを記録し、後から振り返ることができます。

次に、「絞る」という行程に移ります。ここでは、アイデアのヒントを整理し、組み合わせ、マネタイズできるアイデアに仕上げていきます。不要な情報と必要な情報を整理したら、必要な情報同士を組み合わせて、マネタイズできるアイデアに仕上げていくのです。この時には、A4サイズの方眼ノートを使うと効果的です。

A4サイズの方眼ノートは、情報を整理したり、組み合わせたりするのに最適なツールです。特に横向きにして使うと、アイデアを形にするうえで非常に便利です。方眼ノートのマス目を活用しながら、観察や記録した情報を整理し、関連性のある要素を組み合わせて新しいアイデアを生み出すことができます。

また、ノートの余白には自由にスケッチやダイアグラムを描くこともできます。これによって、言葉だけでは表現しにくいアイデアをビジュアル化することができます。

メモ帳を活用することで、アイデアづくりの行程を円滑に進めることができます。観察や記録を通じて情報を拡げ、方眼ノートを使って情報を絞り込むことで、より具体的で創造性豊かなアイデアを生み出すことができます。

また、メモ帳を使うことでアイデアの整理や組み合わせが容易になり、新たな発見やアイデアの連鎖を生み出すことができます。自分自身の人生を豊かにするためにも、メモ帳を活用してアイデアづくりに取り組んでみましょう。

アイデアは要素と要素の組み合わせ!

「すでにあるもの同士を組み合わせることで、新しい価値があるものへと生まれ変わらせる」それこそが、アイデアの本質であり、アイデアをお金に変える秘訣です。

アイデアは要素と要素(すでのあるものとすでにあるもの)の組み合わせによって生まれますが、現代の成熟したマーケットでは、関連性の薄い要素を組み合わせる必要が出てきています。既存のものをただ漠然と眺めるだけでは、インスピレーションが湧きにくいものです。そのため、新しいアプローチが必要とされています。

それは、「問題意識を持って見る」ことです。 問題意識を持つことで、市場や顧客のニーズに対して鋭敏に気づくことができます。お客様の抱える課題や不便を理解し、それらを解決するためにはどのような要素を組み合わせるべきかを考えることが重要です。この問題意識を持つことで、関連性の薄い要素でも新たな視点や可能性を見つけ出し、革新的なアイデアを生み出すことができるのです。

自社の業界だけではイノベーションを起こしづらくなっているので、様々な業界の成功例を学んで、ヒントを見つけることが大切です。未来から逆算したり、顧客を観察することで、アイデアの種が見つかるようになります。

アイデアのヒントを見つけるためには、関心のあるテーマを決め、それに関連する情報や出来事に注意を払いながら、さらに焦点を絞って探求していくことが重要です。このようなアプローチを通じて、新たな発見や創造的なアイデアを生み出すことができるでしょう。日常の中でも、目にする機会の多いテーマを選ぶことで、より効果的なアイデアのヒントを見つけることができます。

お客様が、商品やサービスを購入する時の動機を考えてみましょう。ごくシンプルに考えると、次の2つに集約できます。
①今、困っていることを解決したい。
②満足したい。

ここから導き出せる答えは、「お客様が困っている(満足したい)ことをきちんと把握して、自分たちの商品・サービスの付加価値に、お金を払ってもらえるかを考える」ということになります。

「お客様が困っている(満足したい)ことをきちんと把握して」ということが先に書かれていることびポイントです。なぜなら、お客様のニーズや問題を正確に理解することが、新たな価値創造に欠かせないからです。 

その際、「観察→記録→整理→組み合わせ→仕上げ」のステップが重要になります。まずは周りの環境や人々を観察し、そこからヒントを見つけ出します。そして、小さなメモ帳を使ってそのヒントを記録します。次に、記録したヒントを整理し、関連する情報同士を組み合わせていきます。最後に、マネタイズできるアイデアに仕上げていくのです。

この一連のプロセスが、アイデアをつくる際の正しい手順です。アイデアづくりには創造力や柔軟な思考が求められますが、この「拡げる→絞る」という行程を経ることで、より効果的なアイデアが生まれることでしょう。アイデアを生み出す際には、この手順を意識して取り組むようにしましょう。

当然、アイデアには顧客体験を高めるワクワクが欠かせません。

人があなたのアイデアに賛同する理由とは何でしょうか?一言で言えば、「ワクワク」です。なぜなら、人を動かす原動力とは「ワクワク」にほかならないからです。あなたがアイデアをつくる時、きっとワクワクしていたはずです。アイデアに賛同してもらうためには、あなたの「ワクワク」を、あなた以外の人にも感じてもらい、そのアイデアのファンになってもらう必要があるのです。

ワクワクするストーリーをつくるのは、人を惹きつけるうえで効果的です。頭の中で漠然としていたアイデアを言語化し、実現した時の世界を提案します。 ストーリーテリングは、人々の心を捉えるための強力なツールです。私たちは、物語に引き込まれることで感情を共有し、共感することができます。

ワクワクするストーリーは、人々の興味を引きつけ、彼らを行動に駆り立てる力を持っています。 頭の中にあるアイデアを言語化することは、ストーリーテリングの重要なステップです。アイデアを言葉にすることで、それを他の人々と共有することができます。

また、実現した時の世界を具体的に想像することができます。この想像力は、ストーリーの魅力を高めることができます。

アイデアがうまくいくかを見極めるために、最後に以下の4つの質問をすることで、アイデアの質がアップします。
1、誰が?
2、何に困っている?
3、今はどうしている?
4、自分のアイデアは、その問題をどう解決し、 人を幸せにする?(ワクワク体験)

本書には「空・雨・傘」、4Cやジム・コリンズの「ハリネズミの概念」などマーケティングの様々なフレームワークや理論が紹介されています。これらを取り入れ、観察→記録→整理→組み合わせ→仕上げのステップを進むことで、効果的なアイデアを生み出せるようになります。その際、ワクワクなストーリーを考えることを忘れないようにしましょう。


 

 

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