プレデターシンキング/略奪思考 欲しいものはすべて「誰かのもの」(デイブ・トロット著)の書評 #習慣化

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プレデターシンキング/略奪思考 欲しいものはすべて「誰かのもの」が面白い!
プレデターとは捕食者のことで、著者のデイブ・トロット
獲物にだけはなるな!と言います。
内容や文章が結構ハードなのでで、最初は戸惑いますが
慣れてくるとこの世界が心地よくなる不思議な一冊です。

私は広告関係者なので、本書の広告に関するデイブ・トロットの言葉が
特に、印象に残りました。
クリエイターはクリエイティブの善し悪しを考える前に
イギリスの広告の90%がリーチしていないことを憂慮すべきだと指摘します。

広告のメッセージが正しいかどうかは問題ではない。問題は「どうやって広告の存在に気づいてもらうか」だ。イギリスで各種の広告媒体に費やされる金額は年間183億ポンド(約2・9兆円)に上る。制作される広告のうち、良い印象を残すものは4%、悪い印象を残すものは7%。目に留まらず記憶にも残らない広告は、89%。懸念すべき数字は「7%」ではない(いい広告が好かれる広告であるとは限らない)。「89%」のほうだ。広告の約90%は、新人警官の目の前で警部補にメモを渡した男性のように、見えていない。無駄な163億ポンドの一部になりたくないなら、広告に対する問いを変えなければならない。「これは正しいか」は正しい問いではない。問うべきは、「これに気づく人はいるか」だ。

広告はもはや見つけてもらう仕掛けを考えるべきで
クリエイティブとは、人に気づかせる広告を考えることなのです。
ソーシャルメディア時代のクリエイターは、正にここを求められてます。
マスメディアで広告を発信してもリーチしない今
広告業界もソーシャルメディアを意識しないわけにはいきません。
ユーザーが自らシェアしたくなるコンテキストを
考えられないクリエイターは最早お払い箱なのです。

また、広告業界の人は賢過ぎ、自分のレベルでモノを考えすぎていると
業界人の立ち位置を批判しています。
これは、私も耳が痛い話なのですが
要は、商品の本当のターゲットに対する考察を高め
そこにしっかりと満足感を与えられるか?を考えるべきなのです。
見つけてもらえないのは存在しないのと同じ
そんな広告を作っても仕方がないという著者の指摘は、最もなことなのです。

広告業界の人間は賢すぎる。賢いやり方がいいやり方だと思い込む。大学で教育を受けた者ばかりの業界人は、知的な人間が納得する解決策ばかり思いつく。自分と同じような人間が納得する解決策を。問題がひとつ。業界の外の現実の世界にいるのは、ほとんどがそんな人ではない。彼らはロンドンのメディア業界というちっぽけな世界に興味はない。そんな世界のことはまったく気にしていない。そんな彼らに訴えかける何かが欲しいなら、業界的発想は捨てなければな嵐ない。必要なのは「彼らの世界」に入り込むこと。業界人が納得する何かではない。必要なのは、彼らが納得したがる何かだ。

必要なのは現場主義なのです。
広告業界の外に出て、自分たちの発想を捨てて
ターゲットが納得することを考えるべきなのです。

そのケーススタディとして、サッチャーの経済政策が紹介されていましたので
以下プレデターシンキングから引用します。

サッチャーが経済について語るBBCの番組を見たことがある。経済政策に関する閣僚の進言を聞き入れなかった理由は何か、とインタビュアーは質問した。彼女はこう答えた。「ご承知のとおり、私たち女性はずっと家計のやりくりをしてきました。だから、お金のことは、男性よりも女性のほうがわかっているのではないでしょうか」なんて愚かな発言だと、中道左派のガーディアン紙を愛読するような男たちは呆れ果てた。だが、それよりはるかに多くの主婦が、イギリス各地でそのとおりだとうなずいていた。有権者に占める主婦層の割合は、ガーディアン読者の割合よりずっと多い。そして主婦たちは、ミセス・サッチャーの言葉に深く納得した。肝心なのは、訴えかけたい層が自分の言うことを信じたがるかどうか。これこそ、広告業界における大問題だ。

ターゲットが信じる情報を発信できるか?
これは、マーケティングデータだけを見ていては判りません。
彼らの生活に入り込み、彼らの思考や行動を理解しないと
彼らを共感させるメッセージ開発はできないのです。

最近、マーケッターの新井庸志さんと話をする機会が何回かあったのですが
彼は成長する企業、衰退する企業を数ヶ月前に的確に予測しています。
広告会社で養ったマーケティングセンスに加え
現場の肌感覚を大事にしているからできるのだと思います。
いくつかの店舗の定点観測を定期的に行い
ターゲットやマーケットの変化の兆しをいち早く見つけているのです
忙しい中でも現場主義を徹底している新井さんの姿勢は見習いたいといつも思います。
新井庸志さんのAll Aboutの連載は面白いので、ぜひお読みください。

デイブ・トロットの著作を読みながら、全く違うタイプの新井さんを思い出したのは
2人の間に現場主義という共通点があったからかもしれません。

今日もお読みいただき、ありがとうございます!

  
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