道端の経営学 戦略は弱者に学べには,
アメリカのシャープな経営者が数多く紹介されています。
まさに彼らは道端の経営者たちなのですが
彼らの経営は、参入障壁や規模の経済を意識するなど戦略的で
本書道端の経営学からは、多くのことを学べます!
AppleやGoogleなどの有名企業の経営が、日本では注目されていますが
本書には数人規模で成功しているアメリカの中小零細企業が紹介されています。
こういった中小企業がアメリカ人の生活を支えているのですが
日本ではほとんど評判になりません。
しかし、彼らのメソッドをモデリングすれば、成功の可能性を高められます。
私も本書を読むことで青果用ミストシステムのプロデューや
年配者の女性をターゲットにしたフィットネス・ジムの
フィットタイム・フォー・ウィメンなどを今回、初めて知り
ビジネスアイデアをいくつももらえました。
1850円でこれだけの価値があれば、超安い投資です。
コールセンターを駆使して自家用ジェットで
診療に出かける矯正歯科医チェーンのブレイシズ・バイ・バリスや
大学生を相手にした価格を押さえて一気に成功したレストランチェーン
マグショット・グリル&バーなどの仕組みは、日本の経営にすぐにでも応用できそうです。
有名経営学者の著者の3人がアメリカの多くの経営者をインタビューして
彼らの成功理由を明らかにしてくれているのですが
これが、小難しくなく、とても面白いのです。
著者のマイク・マッツェオ、 ポール・オイヤー、 スコット・シェーファーの3人が
人間らしい生活者視点で、アメリカの小さな町を旅しながら
成功する経営とは何かをわかりやすく紹介してくれるのです。
特に、本書のネットワーク効果の分析は面白く
人が集まるネットワークを意識するビジネスには魅力を感じました。
Facebookという巨大なネットワークに同じ土俵で
今更戦いを挑むSNSはないのですが
このネットワーク効果が最大の参入障壁になるのです。
成功している大きなショッピングセンターも同じような
ネットワーク効果を持ち、参入障壁を築いているのです。
この視点で会計士の就職というニッチな就職サイトを運営している
カレッジフロッグを彼らは分析しています。
会計士になりたい大学生をネットワークし
全米の会計事務所と彼らを繋いでいるカレッジフロッグですが
この分野で成功できれば、教師やIT、エンジニアなどでの
マーケットも獲得し、成長できそうです。
職種ごとのネットワークを一気に拡大できれば
カレッジフロッグは参入障壁を作れ、面白くなるかもしれません。
また、「銀行を儲けさせない8割の顧客」を最初から排除するという戦略をとった
バンク・オブ・モンタナは、独自の戦略で高額の預金者だけを引き寄せました。
口座の残高が多い顧客や電子決済の多い顧客に優遇金利を払うかわりに
ATMなどの設備投資は、ほとんどしないのです。
その代わり、ファックス代や口座維持管理料をとらないなど
一部の顧客が喜ぶ仕掛けで、欲しい顧客を選別しているのです。
手厚いサービスを求めるうるさい顧客は断るというスタンスが
無駄な設備投資を不要にさせ、利益をあげる仕組みをつくっているのです。
逆に、低金利なのにクッキーで顧客を集めるコミュニティ・ファースト・バンクの事例も
紹介されていますが、スモールビジネスではターゲットを絞ることが重要だと
この二つの銀行のケーススタディから学べます。
本書では以下の優位性でアメリカの中小企業の成功例を分析しています。
■事業規模を拡大する。
■参入障壁を築く。
■商品の差別化を測る。
■価格を適切に設定します。
■ブランドを管理する。
■交渉を有利に進める。
■人を雇う。
■インセンティブ制を導入する。
■権限を移譲する。
■大企業と戦う。
戦略は置かれているマーケット環境によるのですが
本書の「マイクの法則」を何度も読んで、自分にあった経営手法を学べば
ビジネスでの成功の可能性を高めてくれそうです。
各章ごとに成功するヒント満載なので、何回かに分けてご紹介したいと思います。
積ん読の一冊だったのですが、もっと早く読んでおけばよかったです。
日本の中小企業の経営者にはぜひ読んでいただきたい一冊です。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
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