シェリー・タークルの「一緒にいてもスマホ ―SNSとFTF― 」の書評

私たちは、テクノロジーによって沈黙させられている。「おしゃべりという悪癖をやめさせられている」とでも言おうか。テクノロジーによる沈黙は子供のいる場でのことも多いが共感の危機につながり、家庭や職場、公的生活で私たちを傷つけてきた。(シェリー・タークル)


photo credit: FootMassagez Smartphone via photopin (license)

スマホとソーシャルメディアの弊害を考えてみよう!

タイトルに惹かれ、シェリー・タークル
一緒にいてもスマホ ―SNSとFTF―を読んでみました。
スマートフォンやソーシャルメディアが日常の当たり前になることで
私たちの会話がおろそかになっています。
いつでもどこでも離れた相手と連絡を取れることが
目の前の相手をないがしろにしてしまいます。
デジタルネイティブはコミュニケーションのやり方を学ばずにきたために
目の前の人との会話を大切にしなくなっています。
スマホの世界と目の前の人を両天秤にかけて
上手にコミュニケーションしているつもりでも
全てが中途半端になっています。
これが、親子、友人、恋人同士の関係性にも大きな影響をもたらしています。

デジタル機器の世界で育った子供たちが、違いがあることも、昔は違っていたことも知らないのを、私たちは忘れている。大人がしゃべるのを耳にする機会が減った子供たちは、自分もあまりしゃべらなくなると、いくつもの研究が示している。大人がスマートフォンのほうばかり見て子供たちから目をそらしていると、子供は最初から何かが足りないまま、いつまでも気づかず成長することになるだろう。たくさんおしゃべりをするかどうかの問題ではない。話し相手のことをどれだけ理解するかが問題なのだ。

私も人のことを偉そうに言える立場にはいません。
ソーシャルメディアで世界中の人と繋がることに幸せを感じ
自分の大切な時間や目の前の人を犠牲にしてきました。
ソーシャルメディアを使いすぎると
人間の感情に無関心になり、共感力を失うという調査結果が出ています。

ありのままの自分を表現したいという願望と、オンラインで最高の自分を見せなければというプレッシャーとのあいだで、葛藤することになるのだ。頻繁なソーシャルメディア利用が抑轡感や社会不安につながるのも不思議はない。そして、共感も阻害される。調査によると、ソーシャルメディアを最大限利用する人たちは、自分自身の感情も含めて、人間の感情をなかなか読み取れない。

これだけ普及したデジタルギアやソーシャルメディアを
全否定しても意味がありません。
iPhoneやソーシャルメディアで上手に付き合い
フエイス・トゥ・フエイスで会話をするうちに
自尊心が高くなっていき、他者に接する能力が磨かれて行きます。

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時にはスマホと距離をおく!

私たちは傷つきやすく、電子機器によって無理強いされ、気を散らされる。だが、食べものの消費のしかたを変えてきたように、テクノロジーの消費のしかたを変えるようになってもいいのではないだろうか。食欲をそそるからといって、それが必ずしも必要な栄養分ではないとわきまえるようになった今、私たちの食べものに対する意識はかなり高くなってきた。テクノロジーに対してもそうすべきだろう。

健康を意識し、食事を改善できたように
デジタルギアとの付き合い方も見直しましょう。
スティーブ・ジョブズは自分の子供たちに
iPadやiPhoneの利用を勧めませんでした。
逆に、ジョブズの家では、フエイス・トゥ・フエイスの会話が重視されていたのです。

会話をしなくなった私たちは、ソーシャルメディアで
絶えず繋がることを意識し、孤独になることを恐れています。
ソーシャルメディアをチェックすることで
退屈な気分を紛らわし、会話の時間を減らしています。

モバイル機器は3つの願いをかなえてくれたようだ。ひとつ、いつでも話を聞いてもらいたい。2つ、どこでも望むところへ注意を向けたい。3つ、ひとりぼっちになりたくない。そして、その3つの願いがかなうと、おまけもついてくるもう退屈しなくてすむということだ。

しかし、創造的会話をするには、多少の退屈を我慢する必要があります。
新たなことにに取り組む際、人はたいてい躓きます。
新たな発見をするためにが、沈黙の時間が欠かせません。
沈黙を「中だるみ」だと避け、スマートフォンに頼ってしまうのです。
沈黙から逃げてばかりでは、何も生み出せなくなります。

会話の場合、思いも寄らない方向へ向かう可能性があるし、人は必ずしも”適切に”話そうとはしない。そこで、他者の言うことに驚かされるという経験をする。その意外性を楽しむことも覚える。哲学者のハインリヒ・フォン・クライストはこれを、「話しているうちに思考が徐々にまとまっていく」と言う。フォン・クライストは「食べると食欲がわいてくる」というフランスのことわざを引いて、それと同じように「話すと考えがわいてくる」と述べている。

自分をさらけ出したり、真摯に会話することで
面白いアイデアが浮かんできます。
最もすぐれた思考は。ほとんどとらえどころのないかたちで出現するのです。
危険でスリリングな会話をしない限り、よいアイデアは生まれません。

常時起動、常時携帯のテクノロジーが手の中やテーブル上に便利な機械装置があるという厳然たる事実が相手に直接しゃべるときの会話を変えてしまう。スマートフォンがあると、スマートフォンが目につくところにないときよりも人は互いに自分をさらけださないし、つながりを感じないのだ。

スマートフォンが目の前にあると会話は盛り上がりません。
大事なミーティングするときには
iPhoneを目の前におくのをやめて、今ここに集中すべきです。

まとめ

孤独な時間が、実は脳を活性化してくれます。
しかし、スマホの登場で、常時接続が当たり前になり
私たちは孤独な時間を退屈に感じるようになりました。
ソーシャルメディアやメールをチェックすることで
生産性を高めているつもりになっても、意味はありません。
アイデアやひらめきを得るためには
フエイス・トゥ・フエイスの創造的な会話が必要です。
家族や生との会話を意識し、スマホを触る時間を減らしてみましょう!

今日もお読みいただき、ありがとうございました!!

     

    

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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