なぜ、あの「音」を聞くと買いたくなるのか―サウンド・マーケティング戦略 (ジョエル・ベッカーマン&タイラー・グレイ著)の書評

五感から入る情報のうち、満足のいく顧客体験をもっとも効率的に提供することができるのが音だ。その場にふさわしい音がちょうどいいタイミングで聞こえると、スト ーリーのすべてが聴き手に伝わる。音は聴き手が気づかないうちに記憶を呼び覚まし、感情を動かす。一瞬で聴き手に何かを感じさせるのだ。(ジョエル・ベッカーマン&タイラー・グレイ)

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なぜ、あの「音」を聞くと買いたくなるのか―サウンド・マーケティング戦略

(ジョエル・ベッカーマン&タイラー・グレイ著)
が面白い。
五感マーケティングは、日本ではデザイン重視の時代が続いていますが
アメリカでは耳を活用する企業の成功事例が増えています。
聴覚を制覇するものが、勝利者になることを本書で学べます。

私たちは普段はあまり音に注意を向けていませんが
耳をすますと様々な音に囲まれて暮らしていることがわかります。
この「音」を有効活用することで、ビジネスを強化できるのです。
本書には、アメリカの成功事例がいくつも紹介されていますから
企業のマーケティングを考える際に参考になります!

「音」は、私たちの潜在意識に働きかけ、嗜好や、行動、選択などにに大きな影響を及ぼします。
これをマーケティングに活用するのが、本書のテーマのサウンドマーケティングです。
私たちは普段は「音」を無意識に聞いていますが
実は、この「音」の好き嫌いで、商品やサービスを選択していることが多いのです。
静かな環境でミーティングをしたければ
私たちはホテルのラウンジを選びますし
カジュアルな会話を楽しみたい時には
センスのよい曲がかかるスタバに行きます。
また、同じ店でも、スピーカーの位置を気にして、席を決めたりします。

レストランでシズル感のあるジュージューという音を聞くと耳が驚きます。
この「音」が肉の美味しさを思い出させてくれます。
聴覚が、知覚や嗅覚を刺激し、その料理を食べたくさせるのです。
アメリカで成功しているレストランのチリーズは、店舗だけでなく
このジュージューというサウンドをTVCMに使うことで、大成功しています。
音がマーケティングの武器になることを証明したのです。

著者は、音が感情を揺さぶる(ブームモーメント)と指摘しています。
音によって、感情が動き、脳内ではさまざまな反応が起きるのです。
それは、聴覚だけでなく、記憶、恐れ、喜び、視覚、身体的感覚、運動をつかさどる部分など
広範囲に及び、あなたの選択に影響を及ぼします。

映画を見た時に、バックに音がないと印象は変わります。
恐怖映画もBGMや効果音を変えてしまうと、怖くなくなります。
音によって、多くの情報をコントロールできることがわかってきました。

実は、五感情報の中で、最も素早いのが聴覚なのです。
匂いも脳に影響を及ぼしますが、耳が音に反応するスピードのほうがはるかに早いそうです。
ですから、音を基軸にマーケティング戦略を考えることは価値があるのです。
音でオーディエンスの五感を刺激し、過去の記憶を呼び起こさせましょう。
自分の伝えたいストーリーを設計し、よい感情を引き出せれば、顧客は動いてくれるのです。
音と五感を活用しながら、過去のユーザーの体験を思い起こさせることで
顧客がその企業を選ぶようになります。
チリーズは、店の雰囲気やメニューなどあらゆる要素をサウンドと結びつけて
ユーザーに店での体験を思い出させ、再来店させる仕掛けを作っています。

企業のブランド戦略やマーケティング戦略とサウンドをマッチさせることで
ユーザーから選ばれる企業に生まれ変われれます。
本書に書かれている企業の成功体験を読むと
このブームモーメントの力の凄さを認識できるはずです。

今日もお読みいただき、ありがとうございました!

   

photo credit: Radiola via photopin (license)

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