未来化する社会(アレック・ロス著)の書評

あらゆる場所で、市民とそのネットワ ークが新たな力をもち、既成の秩序に反抗している。古びた独裁政治に立ち向かうのも、新しいビジネスモデルをつくるのも、その一環である。近い将来、下半身麻痺をわずらう人がロボットスーツを着て歩けるようになったり、ある種のガンだけを溶かす特効薬が登場したりするだろう。コンピューター・コードには、国際通貨としての面も、また地球の反対側のインフラを物理的に破壊する兵器としての面も加わってくる。(アレック・ロス)

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未来化する社会 世界72億人のパラダイムシフトが始まった
(アレック・ロス著)
を読むと
私たちの未来に何が起こるのかがよくわかります。
未来を予測して行動するのと、何もせずに動くのでは、仮説の立て方が全く変わります。
本書から、今後のビジネスチャンスを見つけることも可能でしょうし
どんな仕事に就けば面白いかのイメージも作れます。
この先に何が起こるかを手っ取り早く知りたければ、本書を活用すべきです。

進歩と富は公平に分配されるわけではない。一部の人は儲けるだろう。ごく一部の人は途方もなく儲けるだろう。だが多くはかやの外に置かれる。デジタルの力が牽引したグローバル化とイノベーションの直近の波ー10億人以上を低賃金労働の貧困から引き上げたーとは違い、次の波は大勢を貧困に逆戻りさせるかもしれず、世界中の中流層にとってつらいものになるだろう。

本書は明るい未来だけでなく、人がグロバール化とイノベーションによって
不幸になる事実も教えてくれます。
自分や子供たちの未来を考えたときに、準備を怠ると
職を失うなど大変なことに遭遇することを理解できました。
未来を明るくするためには、しっかりと自分に投資をしていた方が良さそうです。

本書はロボットが巻き起こす未来予測からスタートしますが
そのケーススタディに我が日本の介護が取り上げられています。

日本の平均寿命はいま男性80歳、女性87歳だが、今後45年のうちに男性84歳、女性91歳に達すると見られている。2010年から2025年のあいだで、65歳以上の人ロが700万人増える予想だ。現在、日本の人口の25パーセントがすでに65歳以上であり、2020年には29パーセント、2050年には39パーセントを占めると推定される。長寿の高齢者には当然、介護人が必要になる。だが日本の低出生率を思えば、かつてはふつうにおこなわれていた、祖父母も曾祖父母も家族で看るというのは、国レベルではもはや非現実的なモデルになってしまった。孫の人数が足りないからだ。

日本は少子高齢化にも関わらず、外国人労働者の受け入れを拒否しています。
高齢者の介護に2025年時点で400万人が必要であるのに
現時点では149万人しか、働き手が確保できていないのです。
数字を見ている限り、何か劇的な変化が起こらない限り、この問題は解決できません。

ここで、介護用のロボットが私たちの未来を変えてくれます。
実は、日本はロボテックスの世界では先進国なのです!
世界中の140万体の産業ロボットのうち、なんと41万台が日本で稼働しています。
そして、この産業用ロボット技術が、介護用にシフトしています。
老人の気持ちを理解できるロボットが開発できるのか?などの問題は残りますが
もしも、介護ロボットで日本が成功できれば
少子高齢化に悩む海外にこの技術が輸出ができるようになり
新たなビジネスチャンスを生み出します。

もう一方で、自動運転ロボットが実用化されれば
タクシードライバーは職を失うことになります。
ロボティックスというイノベーションの新しい波は
サービス産業の仕事を奪う可能性が高いのです。
宅配便の運転手はドローンと競合しますし
アディダスなどはロボティックスでの生産をドイツで始めることを発表し
アジアで生まれた雇用を奪っています。

また、人がロボットを許容できるかという課題も指摘されています。
ロボットが交通事故や医療事故を起こした場合に
人はその死を受け入れられるか?という問題が出てくるはずです。
全体での交通事故死は減っても、ロボットの安全性が保証されない限り
ロボットカーは普及しないかもしれません。

ガンの手術などにもロボット技術は使えますが
人間の医師が行った方が良い手術まで、経済的に安上がりだという理由で
ロボットに置き換えられる可能性も指摘されています。

人間とロボットが本当に共存できるのか?
ロボットが人間の頭脳を追い越すなど存在を脅かさないか?など
本書を読むことで、未来について真剣に考える機会を得ました。
ロボット以外にもゲノム、通貨などの未来について学べましたが
また、別の機会に記事を書きたいと思います。
未来化する社会 (アレック・ロス著)は、刺激的な一冊で、オススメです!

今日もお読みいただき、ありがとうございました!

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photo credit: OECD Forum 2016: Session: The Digital.Economy & the Future of Work via photopin (license)

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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