トレーシー・アロウェイの脳のワーキングメモリを鍛える!の書評

ワーキングメモリとは、情報を処理する能力である。もっと正確にいえば、意識して情報を処理すること。意識するとは、その情報を頭のなかに置くことだ。それに注意を払い、頭のなかでそれにスポットライトをあてて集中したり、その情報に関する決断をくだしたりすることだ。と同時に、そのあいだはほかのことに関しては無視を決め込む。(トレーシー・アロウェイ)


photo credit: smilla4 Christmas Morning on Penobscot Bay via photopin (license)

ワーキングメモリは、いわば脳の「指揮者」である。指揮者は、オーケストラの楽器すべてをコントロールする。指揮者なしでは、ただ不協和音が奏でられるだけ。そうなればピアノを弾くべきとことどろうでピッコロがさえずり、打楽器が大きな音を轟かせるところで搾バイオリンがなめらかな音色を奏でるかもしれない。ところが指揮者がステージに歩いていけば、カオスはすぐに秩序を取り戻す。

ワーキングメモリの2つの機能

脳のワーキングメモリを鍛える! 情報を選ぶ・つなぐ・活用する
私たちの脳の働きを解説してくれた良書です。
脳にはワーキングメモリがあり、この脳の司令塔とも言える認知機能のおかげで
仕事やプライベートなど日々の生活が送れるのです。
ワーキングメモリという指揮者をしっかりと活用することで
より良い人生を送れるようになります。

このワーキングメモリには、以下の2つの機能があると
トレーシー・アロウェイは言います。

1、優先順位をつけてから、情報を処理する。関係のないものは無視し、必要な情報から処理できるようにする。
2、情報を利用して作業できるよう、保管する。

ワーキングメモリのおかげで、私たちは的確な判断ができます。
集中力を保てたり、今何を優先すべきかを決めるのも
ワーキングメモリが機能しているからなのです。
良い決断をするためには、ワーキングメモリを活性化すべきです。

ワーキングメモリはすでに知っている情報を引き出し
解決するための答えを見つけ出してくれるのです。
そして日常生活で重要な役割を担っています。
トレーシー・アロウェイはワーキングメモリの役割を以下のように整理しています。
■情報に優先順位をつける
■重要な物事に集中する
■物事を素早くこなす
■賢くリスクを冒す
■勉強をスムーズに進める
■個人的な判断を下す
■新たな環境に適応する
■モチベーションを維持し、長期的目標を達成する
■切迫した状態でもポジティブでいられる
■自分のモラルに従う
■すぐれたスポーツ選手になる
これだけの役割を担っているワーキンングメモリですから
しっかりと働いてもらいたいものです。

IQよりワーキングメモリ!

現代の知能の鍵を握っているのは、そうした事実を統合し、情報に優先順位をつけ、それを利用して建設的な作業をすることだ。そうした作業をおこなううえで欠かせない機能、それがワーキングメモリである。ーQとは、あなたが知っていること。いっぽうワーキングメモリとは、あなたが知っていることを利用してできることだ。

IQが高いからといって、良い仕事ができるわけではありません。
複雑になった世の中を生き残るためには、ワーキングメモリの方が価値があります。
知識がいくらあっても、それを上手に活用できなければ、意味はありません。
ワーキングメモリをしっかり機能させ、目の前の課題を解決させるために
自分の知識や体験を上手に活用しましょう。

ワーキングメモリが低くなった途端に、私たちの生産性は下がります。
睡眠不足やマルチタスク、情報過多がワーキングメモリに悪影響を及ぼします。

残念なことに、24時間休みなしのあわただしい社会で暮らしていると、ワーキングメモリは衰弱していく。こうしてワーキングメモリがフルスピードで稼働できない状態にあると、生活のさまざまな場面でトラブルが起こりうる。

ワーキングメモリが好調に機能していないと、的確な判断ができず
私たちは衝動買いに走ったり、ハシゴ酒をしてしまいます。
例えば、衝動買いをしそうになったら
「買えば買うほど、人生そのものを楽しめなくなる」と自分に言い聞かせましょう。
これで、クレジットカードでの買い物をぐんと減らすことができるはずです。
満足を先延ばしにしたり、誘惑に負けず、注意をほかの対象に向ける能力を鍛えることで
私たちはより結果を残せるようになります。
トラブルを避けたり、仕事の効率を上げるためにも
意識的にワーキングメモリを確保する必要があるのです。

ワーキングメモリを確保する方法

情報過多を防いだり、良質な睡眠を取れば、ワーキングメモリを疲弊させません。
そのためには、スマートフォンとの関係を見直す必要があります。
ついついチェックしがちなスマートフォンですが
使用するルールを作りましょう。
■就寝前にはスマートフォンを見ない。
■食事の際には使わない。
■ミーティングや仕事に集中したい時には使わない。
特に、就寝前はスマホは使わないようにすべきです。
スマホのブルーライトが睡眠サイクルと関係するメラトニンに影響を与えます。
光を浴びることで、メラトニンの分泌が減り、よく眠れなくなるのです。
ベッドに入る前にメールやSNSをチェックするのはやめ
その時間を瞑想などリラックスすることに当てましょう。 
睡眠を減らすようなことが続くと、ワーキングメモリの能力は50%に半減するそうです。
毎日、意識をして、良質な睡眠をとることを考えましょう!

まとめ

ワーキングメモリをしっかりと確保することで、豊かな人生が送れます。
そのために、良質な睡眠をとったり、情報過多を避けるべきです。
マルチタスクを避け、今ここに集中しましょう。
スマートフォンとの付き合い方にも注意が必要です。
寝る前の使用や食事の際のマルチタスクをやめるために
スマホの活用ルールをしっかりと作るべきです。

今日もお読みいただき、ありがとうございました。

      
     

 

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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