矢部輝夫氏の奇跡の職場 新幹線清掃チームの働く誇りの書評

意外な言葉で夢を語ることが、「人」の心を動かす。(矢部輝夫)


photo credit: : : Ys [waiz] : : Tōkaidō Shinkansen 東海道新幹線 新幹線N700系 via photopin (license)

新幹線劇場のキャストたちの仕事のおかげでよい思い出が作られる!

世界一綺麗な車両と言われる新幹線の清掃を請け負っているのが、JR東日本の子会社の株式会社JR東日本テクノハート(TESSEI)という会社です。新幹線の清掃チームの素晴らしさが数多くのメディアで取り上げられ、興味を持っていたので、今回奇跡の職場 新幹線清掃チームの働く誇りを読んでみました。
私の中にはこの清掃チームへの以下の疑問がありました。
■3K職場であるはずの清掃チームがどうしておもてなしの心を身につけられたのか?
■エリートではない普通の清掃員がなぜここまで誇りを持って、働けるのか?
■なぜ、短時間であれだけの清掃量をこなせるのか?

私たち日本人は世界一綺麗な車両で旅に出かけることができます。綺麗に車両を清掃してくれる人たちのおかげで、私たちの旅は、良い思い出から始められます。そのために、22人のTESSEIの社員が一つのチームを組んで、清掃を行なっています。東京駅の新幹線の停車時間はわずか12分しかありません。そのうち清掃に使える時間はそのうちの7分だけです。私は出張中に彼らの清掃作業をよくみていますが、清掃員の方が笑顔で手際よく作業を行なっているのに驚きを感じていました。車両のゴミ拾い、テーブル拭き、座席の向きの変更、トイレの清掃などわずか7分間でこれら全てをこなしているのです。それだけでなく、彼らは必ず私たちに深々と挨拶をしてくれます。ここまで笑顔や挨拶にこだわった清掃チームは世の中に存在しないはずで、世界中が驚きの声をあげています。CNNは彼らの仕事ぶりを「7分間の奇跡」として賞賛しているほどです。

みなさんは、川下にいる掃除のおばちゃん、おじちゃんじゃない。新幹線を支える技術者だ。

本書の著者のTESSEIの取締役の矢部輝夫氏は従業員のモチベーションを高める魔法の言葉を見つけました。言葉の力で清掃員という仕事を技術者という素晴らしい職業に一瞬で変えてしまったのです。お客様に満足感を与えるためには、自分たちがプライドを持って働かなければなりません。新幹線のメンテナンスを支える技術者たちは、清掃のプロフェッショナルでわずか7分間の掃除に全力を傾けているのです。
当社では清掃活動を「新幹線劇場」と呼んでいます。これはお客さまが主役で、私たち従業員が脇役となって、一緒にこの場所で素晴らしい思い出を作ろうという意味合いです。
 
ディズニーランドのキャストのように日々清掃員たちはお客様の旅の思い出のために、新幹線劇場の中で清掃というストーリーを紡いでいるのです! リーダーがビジョンを示し、誇りを持って働いてもらう組織を作れれば、どこでも奇跡の職場はつくれるのです。

3Kのイメージを徹底的に変える!

危険で汚い仕事だと思っている限り、何も変わらない。

矢部氏はスタッフの服装を変えることで、意識改革を行いました。イメージを変えることで清掃員にプライドを持って働いてもらうことにしたのです。同時に、整備係を「技術サービス係」に、東京クリーンセンターを「東京サービスセンター」に変え、組織のネーミングからも意識の変革を促しました。どんなに優秀な人たちでも自分に対してのイメージが低ければ、人を喜ばす事はできません。ましては3K職場の清掃チームの人たちは自分たちのことを卑下しています。そのイメージを変えるために、ユニフォームを変えることを矢部氏は決めます。清掃という素晴らしい仕事を3Kにさせないためには、プライドを持ってもらう必要があります。ファッションやネーミングを変えることで、清掃員の意識が変わり、彼らが7分間の奇跡を起こすようになったのです。

また、彼らがおもてなしマインドを身に付けることで、チームはより強くなったと言います。自分たちの仕事は清掃だけでなく、お客様に気持ちよく旅行や出張に行ってもらうことだと気づいてから、現場力は上がったのです。彼らが東京駅のキャストに生まれ変わることで、挨拶や笑顔が自然なものになりました。自ら挨拶し、動く人たちはお客様を感動させます。自分たちを3流の会社だと見下していた現場の人間がお客様を感動させ、評価されたことで社員がどんどん提案するようになったそうです。

まとめ

新幹線のキャストたちの仕事ぶりから私たちは多くのヒントをもらえます。どんな職場にもプライドが必要です。彼らの力を引き出すために、どうすれば誇りを持ってもらえるかを考える必要があります。求人難のなか多くの職場で採用が課題になっているはずです。従業員のやる気をひきだすヒントが本書には満載です。

今日もお読みいただき、ありがとうございました!

       

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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