ビジョンとは、何かを選びとるという選択の問題であり、それは得たビジョン以外のものを捨てる、という怖い行為でもあります。企業がビジョンを創るということは、どのような業種であれ、この世界を少しでも良きものにするための一歩を踏み出すということです。なぜならビジョンは、企業が、すべての組織が、この世に存在する理由に他ならないからです。定めたビジョンに向かって進むということは、自らの手で世界の何かの問題を解決し、価値を反転させ、たくさんの人に喜びを与えようとすることです。(江上隆夫)
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ビジョンを持つ企業が強い理由
ブランドコンサルタントの江上隆夫氏のTHE VISION あの企業が世界で急成長を遂げる理由を読了しました。コピーライター、クリエイティブ・ディレクターとして18年近く、広告会社でブランド構築に携わった江上氏の話には説得力があります。バブル崩壊後の日本企業が元気を失った理由は、ビジョンを無くし、方向感を失ったからだと江上氏は喝破します。
ビジョンをお題目にせずに、本物のビジョンをもつ企業だけが、成長を続けられ、勝ち組になれるのです。未来は、無数のビジョンが創ります。ビジョンを生きるということは、夢を描き、希望とともに生きるということです。
何かを情熱を持って創造する生き方を実践したSONYは、設立趣意書の中に「理想工場」という言葉を掲げ、敗戦直後の約20名の若者を奮い立たせ、短期間で世界企業に成長します。井深大と盛田昭夫の2人がビジョン経営が戦後の多くの日本人に元気に与えたのです。
一方、今の日本人の多くは、自らの未来像を描かずに突き進んでいます。外界の状況の対応をするだけのリアクション型では、変化の激しい時代に適応できません。しかし、日本の経営者はビジョンを語ることなしに「リアクション経営」を続け、人々は「リアクション人生」を送る病理に陥っているのです。この病理を克服してもらためにはビジョンが必要で、著者は本書を書いたと言います。
社員や世の中を動かす真のビジョンとは何か?
組織は本来、目的があって生まれます。しかし、語るべき未来、
目指すべき未来がない組織は何かを創造することから離れていきま す。そこに自身の存在意義を反映したビジョンがないからです。 すると、 組織のエネルギーは自己維持のためだけに費やされていきます。多くのエネルギーが無駄になります。これが、 どれほど不健康な状態であるかは、 少しでも経営をかじったことのある方ならお分かりでしょう。
ビジョンとは会社の目指すべき未来を世の中と共有することで、これがなければ組織は創造をやめ、迷走しはじめます。2000年代初頭の日米の経営者のビジョンに対する考え方が、その後の両者の企業価値に大きな差をもたらしました。ビジョン経営を推し進めたGAFAは、毎年国家の予算レベルの売り上げをあげるほどに成長しました。4社はプラットフォームをおさえ、シェアを拡大し、世の中への影響力を増しています。その一方、日本を代表する企業であった東芝やシャープは外資に買収されたり、会社を切り売りするなど苦境に陥っています。未来を捉えるビジョンがあれば、これほどの差は生まれなかったはずです。
本書にはamazonのビジョンが紹介されています。
われわれのビジョンは、地球上で最も顧客中心の企業であること。
つまり人々がオンラインで買いたいと思う可能性のあるあらゆるも のを探し出し、発見しに来ることができる場所をつくることである。
当初はオンライン書店をスタートさせたamazonですが、ビジョン実現のために次々に施策を打ち出します。顧客中心の企業であるために、顧客から初めて逆向きに考え、行動しています。
『「我々はモノを売って儲けているんじゃなく、
優れたビジョンを持つ企業は、
時代の流れを洞察し、顧客と触れ合い、ライバルと闘う中で、 こうしたビジョンの深化を経験します。
amazonは未来を熱く夢見つつも、
企業のすべての行動、パワーを、
まとめ
ビジョンのある会社は世の中の人から共感され、応援される存在になります。リーダーは目指すべき未来を語り、それを世の中に示し、自社の商品やサービスを生み出すべきです。企業のすべての行動、パワーを、
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