VUCAな時代を生き残る方法。デザイン思考と英雄の旅を組み合わせることが成功の鍵。

経済学者ヨーゼフ・シュンペーターによれば、経済成長をドライブさせるイノベーションの本質は、アントレプレナー(起業家)による「新結合」にある。つまり、まったく新しい何かを創出するのではなく、すでにある要素を「組み替える」ことによってこそ、停滞している経済をブレークスルーできるというわけである。(佐宗邦威)

VUCAな時代を生き残る方法

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佐宗邦威氏は直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVENの中で、新結合(要素と要素の組み替え)によって、イノベーションを起こせるという考え方を紹介しています。全くのゼロから新しいことを生み出すことは、とても難しいことです。全くのオリジナリティなどはなく、要素の組み替えによって、イノベーションが起こると考えるべきです。

このようなイノベーション観を持つことで、VUCA(ブーカ)な時代をいく抜くことができます。VUCAという言葉を最近よく聞くようになりましたが、Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字から取った言葉です。現代の経営環境や個人のキャリアを取り巻く状況がまさにVUCAで、これを乗り越えるために、デザイン思考を身に付ける必要があります。変化が激しい時代には、戦略思考では対応できません。右脳と左脳を同時に活用して、課題に対処するようにすべきです。

妄想の「切り口を変える」というのは、まったく別の独創的なアイデアをつけ加えることではない。そこに新奇性を生むうえで肝要なのは、その妄想が持っている要素に「組替」を与え、「新結合」を起こすことなのである。

「組替=分解+再構築」という公式を覚えることで、私たちはビジョン思考を身につけられます。デザインという言葉には、分解したうえで、再び組み立て直すというニュアンスがあります。著者は自分の内側から塊のまま出てきた妄想を、できる限り細かく「分解」し、全体がどんなパーツから成り立っているのかを把握することを薦めています。妄想のパーツをしっかりと把握しない限り、うまく組み替えることはできません。

妄想を起点にビジョン思考を行う際に、組み替えのプロセスをするで、アイデアを客観的なものに変えられます。「あたりまえを覆す」ために3つのステップに分解し、アイデアを再構築するのです。
①「あたりまえ」を洗い出す
②「あたりまえ」の違和感を探る
③「あたりまえ」の逆を考えてみる

少し 「意地悪」な人格を自分のなかにつくりあげて、違和感を探し、「あまのじゃく」スイッチを入れることで、様々なアイデアが浮かんでくるようになります。難しい課題解決をするために、デザイン思考と戦略思考を組み合わせて、斬新なアイデアを作りましょう。それを繰り返すことで、VUCAな時代を生き残れるようになるはずです。

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アイデアをわかりやすくするために、英雄の旅を活用しよう!

再構築によって生まれたアイデアをわかりやすく表現し、周りの人からフィードバックをもらう。その際、英雄の旅を活用するとよい。

「英雄の旅」(ヒーローズ・ジャーニー)を活用すると相手に共感してもらえるようになります。人は太古の時代から、英勇の旅が大好きです。これはアメリカの神話学者であるジョゼフ・キャンベル氏が提唱したもので、古今東西の神話の英雄物語を研究した結果、そこには共通した流れ(8つのステップ)があることがわかりました。

  • Calling「天命」
  • Commitment「旅の始まり」
  • Threshold「境界線」
  • Guardians「メンター」
  • Demon「悪魔」
  • Transformation「変容」
  • Complete the task「課題完了」
  • Return home「故郷へ帰る」

主人公を「ユーザー」、試練を「ユーザーが抱える問題」、メンターを「問題を解決する商品・サービス」へと置き換えることで、ビジネスシーンなどにも応用できます。

ユーザーが試練を乗り越えて、幸せを手に入れるストーリーを生み出すことで、新たなアイデアやプロダクトの理解が進みます。そのために以下のフレームワークを使って、英雄物語を作るようにしましょう。

①[現実] 主人公は現状でどのような課題に直面しているか?
②[冒険への誘い] 主人公はどのようなきっかけで新たな世界の存 在を知るか?
③[迷いとメンターの支援] 主人公は旅立ちを前にどのように感じ、メンターが持つどのような力によって、その世界へ入ることを後押しされるか?
④[一線を越える] 主人公は、どのような覚悟と期待を持って(商品やサービスの世界に飛び込むという)旅立ちを決めるか?何が覚悟を決めるきっかけとなるか?
⑤[試練] 新たな世界のなかでどのような(複数の)試練と直面するか?メンターはどのように主人公を支援するか?
⑥[克服と報酬] 主人公はどのようにして試練を克服し、それに よってどのような宝物を得るか?

⑦[宝を得て帰還] 宝物を得た主人公は、元の世界に住む仲間を見て、何を思うだろうか?彼らにどんな声をかけるか?

 「自分だけのオリジナルな妄想」を突き詰め、英雄の旅として発信することで、新たな出会いをデザインできるようになります。「自分と似たような妄想を持っている人」に出会い、プロジェクトをスタートできます。

妄想を駆動力にして思い思いに行動していた人たちが、やがて「社会」と接点を持つようになると、ますますそうした「出会い」は起こりやすくなると著者は指摘します。ビジョン・ドリブンで動いている人ほど、「同じビジョンを持つ人と一緒に何かを成し遂げたい」と考えています。マーケットを見て動いている人ほど、「差別化を図って競合を出し抜きたい」と考えているので、そういった人たちとチームを組むことで、良い結果を得られるようになります。

まとめ

VUCAな時代を生き残るためには、デザイン思考を身に付ける必要があります。「組替=分解+再構築」という公式を使って、斬新なアイデアを生み出しましょう。それを英雄の旅にして発信することで、新たな出会いが生まれ、プロジェクトが動き始め、やがて結果を出せるようになります。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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