マクロには個人と企業がよりパワーを獲得する一方、国家はパワーを失ってきています。その中で、先進国では、国家に対してパワーを強めた(自律した)個人と、パワーが弱まり、パワーを減じている国家に依存する、それ以上にパワーが弱まった個人(パワーの低下が止まらない国家は、彼らをパワーの再強化に利用します)への二極化が明確に進行しつつあります。つまり、国家と企業と個人の3者間のパワーバランスが、「開いた社会」を志向する人々と「閉じた社会」を望む人々との間で異なっているということです。(小笠原泰)
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グローバル化の本質は何か?
明治大学教授の小笠原泰氏のわが子を「居心地の悪い場所」に送り出せを読むと、今の日本のヤバさを実感できます。多くの親は子供の教育について悩んでいるはずです。グローバル化が進む世界においては、日本に生まれた子供であっても能力がなければ、今よりもっと生きずらくなるはずです。英語や数学、IT、コミュニケーションのスキルがなければ、ITやロボットに仕事を奪われてしまう時代に、どう学ばせるかを親は真剣に考えなければなりません。
国家と個人のあり方も代わり、閉じた社会と開いた社会のどちらを選ぶかを私たちは選択する必要があります。「開いた社会」は革新力、活力、包摂力がありますが、現代の日本は急速に「閉じた社会」となり、そのパワーを失っています。
日本は、階段を駆け降りるように世界(主に欧米)から相手にされなくなっています。誰も褒めてくれなくなったため、最近は「ガイジン」を使って日本がよいと宣伝する番組が増えています。閉じた世界だけで生きていると本当の日本の実力がわからなくなります。力を失い「閉じた世界」になりつつある日本の常識に従い、自分の成長を止めてしまうとあっという間に負け組の仲間入りです。
生き残るためにはグローバル企業のように変わらざるを得ないことを理解し、変身を始める必要があります。
「変わりたくない、変えてはいけないと悪あがきをする国家」、その狭間で「リスクテイクの判断を迫られる、変わらなければいけないと思いつつ、体が動かない個人」といった構図であると思います。この構図の中で最初に大きく動くのは、やはり生き残りがかかった企業です。
戦後からバブル崩壊まで成功してきた国家主導の「閉じた社会」で、同じような考え方をする人間を育成するという方法が機能しなくなってきました。世の中で起こっているグローバル化とは、多様化へと向かう世界のことです。多様化に向き合うとは、自分の意見や考えをしっかり持ち、明確な判断を下す能力を身につけることです。
自分の意見や考えがしっかりしていなければ、当然不安に陥ることになるので、多様化へ適応するには、その不安を克服する強さが求められます。しかし、日本においては、この多様性を学ぶ教育がされぬまま、時間だけが無為に過ぎています。多様性は重要だと言いながら、就活する学生たちが同じリクルートスーツを着ながら、面接では自らの個性をアピールせずにマニュアルを使った没個性的な発言を行います。多様性を理解しない学生を量産する日本の教育はどこか間違っています。
では、多様性を身につける教育とは何なのでしょうか?
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正解のない時代を生き抜く力を養おう!
いまだ大企業信仰が強く年功序列を脱しない日本においても、実は「偏差値の高い大学に行き、勉強しなくても卒業して大企業に就職してしまえば人生安泰」という勝利の方程式が壊れてきています。これだけ聞くと、学校の勉強が嫌いな学生には朗報と思えるかもしれませんが、そうではないのです。偏差値とか大企業とかいう共通の物差しが消失してきているということは、人生の「正解」がなくなってきているということです。
日本の一流大学のレベルが下がり、大学ランキングでも順位を落としています。日本は世界標準の教育から遅れを取っています。グローバル化が進む中で、この状況は見逃せません。多くの海外の大学が課題解決型の授業にシフトする中で、日本の旧来型の大学教育では学生たちは変化のチャンスを失っています。
グローバル社会には習うべき先例はなく、現状維持では適応できないと厳しい現実を理解しなければなりません。
変化を当たり前のことと考えるマインドセットを身につけ、失敗しながら成長を目指すべきです。
「デジタル・テクノロジの高度化と融合したグローバル化」を「進化(グローバル化は不可逆でコントロールが困難)」と捉えて、自分はどのように環境変化に適応するかを考えた方が、生存確率は高まるのではないか、ということです。環境変化への適応努力をしても、必ず成功するわけではなく、失敗するかもしれません。しかし、何もしなければ適応できず、淘汰される可能性が高いのです。
ダーウインが指摘するように変化しないものは生き残れません。知識と体験を重視し、自分に投資することで自分の自信を持てるようになります。私は年に一回明治大学で授業をしていますが、そこで紹介するのがJ.D.クランボルツの計画的偶発性理論です。
計画的偶発性理論の運を高めるための5つのルールを実践することで、未来を変えられます。行動を最大化すれば、素晴らしい偶然にたくさん出会えます。私はこの5つのルールを実践することで、生まれ変われました。
■「好奇心」たえず新しい学習の機会を模索し続けること
■「持続性」失敗に屈せず、努力し続けること
■「楽観性」 新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること
■「柔軟性」 こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
■「冒険心」結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと
失敗を恐れず、行動すること、居心地の悪い場所に身を置くことで、自分を鍛えられます。あらゆる困難にチャンスを見いだせるようになるとワクワクしながら行動できます。
たとえ当初のイメージと異なる人生になるとしても、その試み自体が有意義であると考えています。ただし、自分自身の人生が良いものであったと思うかどうかは、人生の最期にならないとわからないものでもありますが。
私たちはデジタル・プラットフォームの最新の動向に対する感度を高め、いかにプラットフォームを活用するかを常に考えておく必要があります。そのために英語やテクノロジのリテラシーを高める教育を子供に受けさせましょう。プログラミング、アルゴリズム、コンピュータサイエンス、統計、微分積分などの基礎的な知識を習得するようにすべきです。
これからの世界は 、「Ever changing(変わり続け) 」、「Everything possible(あらゆることに可能性がある) 」であり、 「why not ?(なぜやらないのか、やればよい)」が当然となり、「完璧な企て (机上の計画 ) 」から 「不完全な試み (行動 ) 」が重要になるのではないでしょうか。このような予測が難しい環境変化への適応は 、学校教育のように正解ありきではないので、「人と同じだから大丈夫」は通用しません 。多様性こそが環境変化への適応可能性を高めるからです。そして、絶えず変化する、つまり、当たり前が常に変わるので、適応率の高いモデルを探そうとしても無駄であることを、お子さんたちに理解させることが大切です。
慣れ親しんだ場所(居心地が良い場所)にい続けることは危険です。新たなことにチャレンジすることはリスクが高く、不安になりますが、変化を選択することで、どんな環境でも適応できる力が身につきます。そのために居心地の悪い場所、海外に子供を積極的に送り出し、語学やコミュニケーションスキルを高めるようにすべきです。
まとめ
日本の一流大学を卒業しても、グローバル化が進む世の中では生き残れなくなる可能性が高まっています。変化が当のスピードが早まる中で、適応力を鍛える必要があります。そのためには居心地の悪い場所に身を起き、変化に適応できる力を養うようにすべきです。
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